連載☆ハンター式磯ロック攻略術【第2回】 初夏のシーズン盛期の攻め方
6月中旬。
三陸界隈の海もようやくぬるみ始め、海水温も徐々に上昇し15℃を越えるようになると、いよいよ待ちに待ったロックフィッシュがハイシーズンに突入します♪
ただし、7月の頭くらいまでは底水の水温がまだ低いために水温が安定せず、海がシケたり冷たい海流の当たり具合により魚が一気にタフってしまうなんてこともしばしば…。
今回はそんなハイシーズンの攻めかたをお話ししたいと思います。
水温が12℃を安定して越えるようになるとロックフィッシュは徐々にシャローへと向かい、15℃を越えるようになると、いよいよ本格的なシャローゲームシーズンが始まります。
この季節の魚の動きとしては、ざっくり分けると下記(1)~(3)の3つに分けることができます。
(1)ミドル水深エリアで越冬し、早い季節からシャローで活動していた魚
(2)ディープで越冬し、コンタクトポイントなどを通過して徐々にシャローへ移動した魚
(3)ベイトフィッシュの動きにあわせて動きまわる半回遊タイプの魚
この3パターンの特徴はというと
(1)浅いエリアで越冬した体力のある大型が多く、シャローの水に体が慣れているため水温変化にも適応しやすく、急激な水温低下などや荒れた時でもディープへ逃げることが少ない。
海藻が密生する一等地に居着くので、海藻が多く、種類も多様なエリアに潜伏する傾向にあります。
(2)いわゆるこの季節の一般的なロックフィッシュの動きです。
岬や島かげ、大きな根など、潮流やウネリの直撃するエリアを避けられる場所のブレイクラインでシャローへ上がる準備態勢に入り、身体が慣れるといよいよシャローへ。
シーズン初期は、荒れた時やシャローの水温低下などの際に水温の安定したディープへ逃げるため、ディープが隣接したエリアを好みます。
中期以降は(1)の魚と同じエリアに入るので見分けはつかなくなります。
(3)ベイトフィッシュがこの季節になるとちらほらと接岸するようになります。
イワシ、ウミタナゴ、コウナゴなんかが代表的なベイトフィッシュになるのですが、これらのベイトが接岸すると普段は甲殻類をメインベイトとしているロックフィッシュ達もベイトフィッシュライクになるため、一定のステイ場所は持たずにふらふらと根の周りやブレイクラインを泳ぎ回ります(かと言って捕食するのはベイトフィッシュのみを食べるのではなく、甲殻類もあわせて捕食します)。
まず(1)の魚はシーズン初期からシャローをメインの捕食場所に選んでいるため、ポイント1~2のミドルエリアと、シャローのやや荒れたときにサラシが出るような少し潮がきくエリアに居座ります。
荒れてもディープへ落ちることはないので、狙いがハズれなければ時化の後でも比較的見つけやすい魚になります。
図中1~2にステイしているシーズン初期はメインベイトがモガニ類なので、クロー系やホッグ系のバルキーなワームに良い反応を示します。
海藻が密生する中に、ベビーウエイトのシンカーを使用してワームをカバー内にねじ込んで攻略したりもします。
図中3~4へ移動する頃にはベイトも多様化し、甲殻類の他にイカ、ベイトフィッシュ類、ハゼ類なども頻繁に捕食するようになります。
この季節になるとガルプ!イールのようなビッグワームへの反応がすこぶる良くなるので、1日の始めは、アピールを重視したワームをその日の状況を見るためのサーチベイトとして使用してみるのも1つの手だと言えるでしょう。
ちなみに活性が落ちて渋くなってしまったときはメインベイトが甲殻類に偏るので、クロー系やホッグ系のワームでスローに刻むような細かいリフト&フォールで攻めるのがオススメです。
(2)の魚は水温の安定したディープで越冬した個体なので、シーズン初期はシャローの不安定な水温や水質に馴染むためミドルエリアにステイし、荒れた時や水温が低下した時などはディープへ戻ったりします。
シーズン中期になると体もだいぶシャローの水に慣れてくるため、(1)の魚と合流し活発にシャローで捕食活動を行います。
(1)の魚との区別としては、上がって来たばかりの個体は体色が日に焼けたり海藻色に擬態しきれていないため全体的に白っぽいのと、(1)の魚は大型メインなのに対して、小型>中型>大型の割合で構成されているので、小型が連発したら(2)の魚の群れにあたったと思って良いでしょう。
ちなみに、(1)の魚は単体で行動するのであまり連発はせず、(1)の魚は群れを形成しながらシャローへ移動してくるため、シャローのポイントでテリトリーを作っても比較的その距離は短く、狭い範囲で数釣りが楽しめるのも特徴の1つです。
(2)の魚のベイトは、シーズン初期はゴカイ類のムシエサを食べたりしているためガルプ!パルスワームなどに良い反応をしめし、シーズン中期になると甲殻類をメインベイトにするためガルプ!パルスクローやパワーホッグ類のようなバルキーなワームへ良い反応を示すようになります。
(3)の魚はベイトフィッシュが大量接岸した時のみのイレギュラーパターンになります。
(1)や(2)の魚達がベイトフィッシュが入ることでメインベイトが切り替わるためベイトフィッシュを追いかけ(もしくは回遊を待ち受け)、回遊に近い浮き気味の動きになります。
ベイトフィッシュの好む潮がきくエリアやブレイクライン、サラシが出来るような溶存酸素濃度が高いエリアがメインポイントになります。
ただしここで1つ注意することは、ベイトフィッシュについて回遊している個体であってもカニやホヤなども捕食しますし、さらに言うと活性が落ちるとベイトフィッシュつきの魚であっても甲殻類をメインに捕食したりする変則パターンも稀にあります。
ベイトフィッシュについている魚を狙う時のアクションは、基本的には高いリフトからのカーブフォール(出来ればカーブフォールも手前に引くように長いスライドフォール)かスイミング(たまにボトムを取りながらレンジ調節するとやり易い)。
ボトム付近を軽く浮かせながらのアクションを心がけるため、普段使うシンカーよりはワンランク軽めを使用するとやり易いでしょう。
また、魚の捕食スイッチを強制的にオンにさせるリアクション的な誘いが効果的なのも(3)の魚なので、リアクションを狙った力強いリフトからのカーブフォールやグリグリグリ~っと6~7回転分くらい早巻きのただ巻きをしてからカーブフォール、なんてアクションも効果的な時があります。
オススメのワームはパワーベイトのパルスワームやTテイルミノー、ガルプ!イールの8インチなどになります。
さて、これを踏まえて先日行った金華山での実釣を交えてちょっと見てみましょう。
金華山での実釣を例にパターンを解説!
ちなみにシーズン初期の初期なので狙いは(1)の魚になります。
まず灯台下のポイント。
ここはディープ、ミドル、シャローと3つのエリアを撃つことができ、シーズンを問わず魚がストックされるので、釣行日時点での魚の動きを全体的に見るのにも最適なポイントです。
狙うは(1)のランカーサイズなのでシャローにあたります図内1.のポイントを集中攻撃。
アイナメよりも接岸が早く、シャローに順応するのが早いベッコウゾイが狙いなので、ガルプ!イールの10インチで攻めてまずは一撃。
アイナメと同じで体色が白っぽいとディープから上がったばかりの個体なので、↑これはしばらくシャローにいた間違いなく(1)の魚です。
その後は(1)の魚らしく単発だったので、(2)の魚や(3)の動きの魚がいるかもしれない、図内2.のミドルエリアや図内3.のディープエリアもチェック。
しかしミドルエリアは無反応、ディープエリアはチビが少し反応したのみなので、まだ(2)の魚がほとんど着岸してきていないと判断。
これで(2)と(3)を無視して(1)の魚を男らしく狙う、「一発大物狙い」で確定。
ちなみに(1)の魚は単発で数が少ないので、一ヶ所で粘る釣りではなく、ある程度足であちこち釣り歩く釣りになります。次に入ったエリアはチップ灯台側のポイント。
すでに(2)と(3)を否定したので、(1)狙いのシャローがメインのポイントです。
沖目に根が沢山入っており、潮流をブロックしてくれるため、(1)の魚がすでにこのシャローに入っていると読みポイント選択。
読みが的中してランカーサイズゲット。
やはりシャローに上がってしばらくした個体です。
しかし、ここもしばらく攻めはしたものの反応がないので(1)らしい単発の展開に…。
お次はチップ西側のポイント。
沖に潮流れやウネリをシャットアウトしてくれる大きな島や根が点在するシャローエリア。
潮流と潮流がぶつかるエリアを丹念に探ってランカー捕獲♪
で、やはり(1)の魚らしく単発…。
このようにどの魚を狙うかによりポイントの選択幅を狭められるので、無駄に体力や時間を費やさないためにも、魚の動きを早い段階で見極めることが大切になります。
そのためにも1日の始めに入るポイントの理想としては1つのポイントで状況の判断が出来るディープ、ミドル、シャローと全ての水深が混在するようなエリアの選択がオススメと言えるでしょう。
この記事を皆さんがお読みになる頃には水温も上昇し、初期よりも中期の最盛期に突入しているエリアの方が多いでしょうから、ハイシーズンのロックフィッシュを今年も思う存分楽しんでみて下さい♪
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