【東北の魚種別攻略】
ハタハタ(鰰)
毎年、冬の入りと同時に接岸、大漁をもたらし、東北日本海側で古くから冬のタンパク源として利用されてきたハタハタ(鰰、鱩)。秋田県の季節はたはたが有名だが、青森西海岸から山形沿岸にかけての東北日本海側各地の漁港・岸壁で期間限定の釣りを楽しめる。
ハタハタの生態とシーズン
ハタハタは水深200m以深に生息する深海性の魚。日本海に分布する系群(生態的なグループ)は通常は秋田沖から新潟沖、鳥取沖までを回遊。12月上旬頃から秋田、山形、青森西海岸に接岸し、岩礁帯の藻場に粘着性の卵を産卵する。
産卵のために接岸した時が堤防から釣れるチャンスで、毎年12月上旬頃に第1陣が接岸した後、何回かの群れに分かれながら12月下旬か翌1月上旬にかけてシーズンが続く(シーズン後半は群れが薄くなることが多い)
ハタハタは鱩(魚に雷)と書かれるように、北西風が吹いて時化ると岸に寄せられる。悪条件と重なることもあり、釣行時は十分な注意が必要。
ハタハタを狙える釣り場
ハタハタを堤防から狙うなら青森の西海岸から山形県酒田港周辺までが主な釣り場になる。シーズンにより釣れ始めるエリアが異なり、接岸状況も年によってバラツキが大きい。
例年、実績があるのは山形県は酒田北港の水路付近や吹浦漁港。秋田県は南端から象潟、金浦、松ヶ崎、そして秋田港周辺。ハタハタ釣りのメッカともいえる男鹿半島周辺は、南磯と北浦とで状況が大きく異なることも多い。秋田県北部の八森周辺から青森の深浦、鰺ヶ沢などの五能線沿いも高実績。
堤防からのハタハタの釣り方
ハタハタ釣りは胴突きのサビキ釣りか1本バリのエサ釣りで狙う。サビキ釣りの竿はコンパクトロッドやノベ竿でも良いが、堤防竿や磯万能竿など、ある程度の長さのあるリール竿の方が仕掛けをさばきやすい。
サビキ仕掛けは、東北日本海側の地域では専用の「ハタハタ仕掛け」を売っているので、それを使うのが一番。カエシが無く、手返しよく釣ることができる。手に入らなければスキン系など普通のサビキ仕掛けでも大丈夫。コマセで寄せなくても十分釣りになる。
エサ釣りはシーズン終盤など、群れが薄くなって渋くなってきた時期に効果的。オキアミなどをエサに、ウキ釣りでタナを調整して攻める。
一定規模の群れが寄っている状況ならソフトルアーもOK。メバリング、アジングなどのライトリグで狙う。他、サビキ釣りのハリにオキアミ等のエサを付けるハイブリッド仕掛けで釣る人もいる。
ハタハタ釣りの禁止事項、注意点
ハタハタシーズンの日本海はとにかく連日大荒れの天候が続き、時化とともに釣れ出すことからカミナリ魚と呼ばれる程。ハタハタ釣りシーズンは毎年、転落などの事故やトラブルが絶えない。安全装備を万全に整え、海況が悪い日は釣りを回避するなど、十分な注意を払って釣行するようにして頂きたい。
ハタハタには禁止漁法があり、可能なのは竿釣りのみ。カゴ、たも網や竿釣りでもガラ掛けなどは禁止されている。資源保護のためにブリコ(ハタハタの卵)の採捕も禁止されているので、藻などと一緒に釣れてしまった場合は即刻海に戻さなければならない。
[各県の条例など]
■青森県
ハタハタ遊漁者の皆さんへ
■秋田県
秋田県の海面利用の手引き | 美の国あきたネット
はたはた卵の採捕等の禁止について | 美の国あきたネット
■山形県
委員会指示(ハタハタ釣りの規制、火光釣りの制限、遊漁禁止区域) | 山形県
これがブリコと呼ばれるハタハタの卵。個体によって様々な色をしている。そこらへんに落ちていても持ち帰るのは×。やさしく海に返してあげよう
ハタハタの食べ方
鱗が無いため処理しやすく、骨が太くて小骨が少ないため身離れ良く食べやすい。シンプルな塩焼き、水煮に鍋物などが定番。干物や塩漬け、みそ漬け、甘露煮などにすれば保存もきく。最近は作る家庭は少なくなっているが、秋田ではハタハタ寿司というなれずしを各家庭で作って冬の保存食にしていた。
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