[連載]常笑upcoming fishing!☆第18回 秋は疾走系回遊魚の季節!
プレミアム連載:針生秀一さん 第18回 秋は疾走系回遊魚の季節!
※この記事は2014年9月にプレミアムメルマガで配信したものです。
夏~秋は回遊魚、青物のベストシーズンですね。堤防、岸壁のコマセサビキからショアジギング、そしてオフショアジギング、沖釣りまで、強力な走りを味わえます。ワカシ、イナダからワラサというブリ。ヒラマサ、カンパチにサバ、ソウダガツオにマグロ類。そしてマアジから、南方からのギンガメアジなどのメッキ、GT系にシマアジといった、いわゆる死滅回遊魚まで、多種の魚がターゲットになってきます。
SOLAS条約が改正される前は、仙台港、塩釜港に相馬港、いわき小名浜港などでGT(ジャイアントトレバリー)系の幼魚、いわゆるメッキと呼ばれるアジ類を狙う釣りができました。こんな南方熱帯の魚が東北の港で釣れたのは、黒潮に乗っての回遊よりも南国からの大型船のバラスト注水に入り、排水によって港内に放たれたと考えられます。ポイントが国際港だったという点からも合致しますね。これがあまり釣れなくなったのは、バラスト注排水の浄化条約ができたあたりからで、現在はSOLAS条約で港内に釣りで立ち入りできなくなったことからも難しくなりました。
しかし、火力発電所などの温排水に集まって生き延びるらしい個体もあって、現在も七ヶ浜の堤防、磯でシマアジの幼魚が釣れることがあります。オキアミエサのクロダイ釣りや小型回遊魚狙いのショアジギング、アジングにヒットしてきます。
私は松ヶ浜港テトラからウキフカセのオキアミエサで釣りました。コマセを打ってウキが潮に馴染んだあたりでスーっとウキが走り、アワセを入れると強く持ち込む引き込み。ボラとも違うし、たまに釣れるメジナよりもシャープに走る。レバーブレーキを操作して浮かせると、思ったよりも小さな魚体でしたが慎重にタモ取り。25cmくらいで体高があり、黄色い縞がある。なんとシマアジでした。
こんなサイズでも強い引きに驚き。以前に伊豆七島新島の民宿「梅利」でオオカミと呼ばれるサイズの大シマアジを見たことがありましたが、あんなのを掛けたら凄まじいだろうなと思い出しましたよ。湊浜テトラや萱島などで釣った釣友もいて、今年も松ヶ浜で釣れていたのを確認しました。
シマアジは離島や銭洲などの遠征のイメージですが、死滅回遊と思われる個体が地元宮城で釣れることもあるのです。そして千葉県南房総の小湊港、白間津港からはシマアジ狙いの乗合船が出ています。ロマンを抱いて小遠征も面白いですよ。
今年の夏も小型カンパチが七ヶ浜の港まわりに回遊してきました。これの30cmクラス、いわゆるショゴ、潮っ子と呼ばれるサイズは引き込みも強く、食味も良いです。以前は入れた仙台港南防波堤付け根の漁港、石炭置き場やテトラ手前からのサーフなどで、シーバスのミノーだけでなくマゴチ、ヒラメ狙いのソフトルアーにもヒットしてくることが多かったですね。今夏は松ヶ浜の港内や堤防まわり、隣の湊浜のサーフに向けた小磯や御殿崎、菖蒲田港周辺などにショゴの群れが入り、投げサビキやショアジギングで釣られています。秋まで楽しめるでしょう。
手軽にオフショアライトジギングが楽しめるのがサバです。タックルは3000~4000番くらいのスピニングリールに60g表示程度のロッドの組み合わせ。小型両軸リールや強めのバスロッドでもOKですよ。道糸はPE2号前後にリーダーはフロロカーボン5号前後を3m結びましょう。ジグは40~80gくらいを主に使います。
釣り方は底、または指示ダナまで沈めたら、やや速めのワンピッチジャーク。ひとシャクリでハンドル一回巻きというのを基本に、幅、速さを変えてヒットレンジ、パターンを探ります。ベイト、潮、水温水色などで反応が変わります。カラーはシルバーベースの赤、青系、ゴールドベースなら緑、オレンジ系などを数種類持ち込めば、だいたいOKです。
今夏は好調でハガツオも交じっています。私もハガツオが仙台湾で釣れたという記憶はなく、これは珍しいです。ハガツオは血合いの多い魚で鮮度落ちが早く、身の痛みも多いですが、これを刺身で食えるのは釣り人の特権。即締め血抜きで美味しく食べられます。オフショアジギング入門にも最適ですよ。
そしてヒラマサは船からのジギングだけでなく沖提、磯からも狙える大型青物です。初夏からシーズンに入り、外海に向いた堤防、磯場や、沖の岩礁、漁礁に回遊してきます。同サイズのワラサと比べても引きが強く、特徴としてテトラ、岩礁のストラクチャーなどに走り込みます。強力な走りを止められず根ズレなどでのラインブレイクも。私も相馬港沖防波堤でのカゴ釣りでヒラマサを狙い、テトラに走られてのラインブレイクとリールの道糸を全部出されたことがあります。道糸が10号でリールに60mくらいしか巻けなかったのですが、止められず全部出されるとは予想外でした。
昨年は網地島沖の宮重根で「東北丸」のひとつテンヤ船でマダイを狙っていたとき、船中でヒラマサらしき魚がヒット。しかし瞬殺のラインブレイク。次は私に食ってきて、なんとか海面まで浮かせて黄色い縞からヒラマサだと認識しましたが、船下に走られてラインブレイクでした。ヒラマサは手強いですね。
金華山の東沖はヒラマサジギングのポイントですが、地磯からもヒラマサの実績があります。脚力に自信があり、磯で踏ん張れる釣り人なら狙ってみては?
仙台湾の秋といえばメロウドパターンのワラサジギング
まもなく夏眠からメロウド(イカナゴ)が目覚めて沸き、メロウドパターンと呼ぶジギングシーズンとなります。3~6kgのワラサをメインにヒラメ、ホウボウなど、面白い釣りができます。100~150gのロング、セミロングのジグをメインに、スローピッチジグなどを使い分けてみましょう。インチク、タイラバでも釣れたので、いろいろなリグを試してみるのも面白いですよ。昨シーズンはスローピッチジグで2kgほどのヒラマサも釣りました。砂地中心になるので根掛かりの心配もありません。仙台湾の米といわれるメロウドには、いろいろな魚が集まるのです。
フックセッテイングは、ロング、セミロングジグはフロントアシストのみでOKですが、スロージグにはリアもダブルにセットしましょう。ブリ系の泳ぎの速い魚は、ベイトフイッシュを泳いで追って頭から飲み込みます。歯で捕らえないわけです。このことからフロントフックが的確なのですね。反対にヒラメは速く泳いでベイトを追えないので、待ち受けて鋭い歯で捕らえてから喰い直すと思われます。腹や尾側から食いつくことが多いのでリアフックが有効になります。
スロージグはヒラヒラとしたスライドフォールなどアクションが激しくないので、リアフックをセットしてもトラブルが少ない。ヒラメ、ホウボウだけでなく、ワラサなどの青物、そしてマダイにも、バーチカルの速いシャクリに反応が渋くなってきたときに良いセレクトです。フックサイズは2/0前後ですが、ジグとのバランスを考えて選びましょう。青物シーズンを楽しみにいきましょう!
※取材テキスト・写真提供/針生秀一
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