[連載]常笑upcoming fishing!☆第26回 東北タチウオ釣りの可能性は何%?
プレミアム連載:針生秀一さん 第26回 東北タチウオ釣りの可能性は何%?
※この記事は2015年8月にプレミアムメルマガで配信したものです。
夏といえば以前なら納涼がてらに海岸、港へ夜釣りというのが楽しみでしたが、ソーラス条約改正から自由に出入りできる港、岸壁が激減しました。マイボートからの港内での釣りも規制されて、釣り人には厳しいですね。そんな中でも、新たな釣りターゲットになるかも?というタチウオについて述べてみます。
関東や西日本では以前からメジャーなターゲット
タチウオは関西地方で人気の釣り物で、岸壁、沖堤防のオカッパリから沖釣りまで盛んに釣られています。それが東京湾の沖釣りで人気となってきたのは平成以降だったと思います。現在ではジギング、エサ釣りで、ほぼ周年出船される人気釣り物として確立されています。
これは元々、東京湾のタチウオの魚影が濃かったからで、釣法を開拓して釣り人に浸透、人気が広まっていきました。特に夏は水深10mという浅場で釣れることもあり、東京湾夏タチは人気釣り物です。
私が初めてタチウオを釣ったのは、確か平成3年頃でした。それが仙台湾名物のドッカン釣り、つまりコマセサビキでのイナダ、サバ釣りだったのです。
そのときは中層のイワシ反応が指示ダナで、それに合せてコマセ振り、タナを取っていました。それでコンコンときて道糸が弛み、オマツリか?と巻き上げるとハリスが切られている。これが隣の人にも続いて、フグだろうと思っていたら何かが掛かった。海面に浮かんできたのはギラリと輝く細長い魚、タチウオだったのです。サビキに掛かったイワシに食いついて、空いていたサビキのハリが巻きついたスレ掛かりでした。
これにはビックリ。だってタチウオって南の魚で仙台湾には居ない?と思っていましたから。このとき船中数本のタチウオが取り込まれましたが、ほとんどがスレで釣れてきていたようでした。
それはほんの一時的という感じだったのですが、それから12月にスケソウ釣りが始まったときに、仙台湾南沖のギラネ、キッパネのあたりでもタチウオが釣れたのです。このときも驚きましたが、そんなに話題にはならず、専門に狙ってみようという船は出ませんでした。
そして相馬港に行ったら鮮魚店にタチウオが並んでいて、相馬港にタチウオの水揚げがあることを知りました。それからしばらくして、福島小高町の新開釣具店に行ったとき、駐車場の隣にタチウオがズラズラと干してあるのを目撃。請戸沖あたりの漁で沢山獲れることがあると聞きました。それでタチウオは、このあたりでの釣りターゲットにならないだろうか?不定期の回遊なので、まず難しいかな?なんて考えましたよ。
それから小名浜の沖防波堤へ落とし込み釣りにいったとき、この沖提でもタチウオが釣れることがあるという話を聞きました。現在はルアーキャスティング、ショアジギングなどで釣れているようです。
そしてオカッパリでタチウオを釣ったのは、仙台港でのショアジギングでシーバス、ショゴ、ワカシを狙っていたときです。ヒットしたのは港内の砂押川の河口からのライン。70cm、指二本半くらいのタチウオでした。
釣れたジグは、今では見かけることも珍しいオリムピックの「ローリングナイト」。これ仙台市内の三徳屋さんで、当時特価\300で販売していて、思わず購入したものです。私がサーフジギングで初めてシーバスを釣ったのがローリングナイトだったので、廃盤特価で沢山購入しましたよ。これがフリーフォールでヒラヒラと良いアクションをするのです。それからミノージグの定番、スミス「サージャー」でも釣りました。タチウオがヒットしたのはキャストしてのフォールで、サージャーの特徴である水平フォールが効いたのでしょうね。
現在はソーラス条約改定から仙台港内での釣りは場所が限定されて、自由にタチウオを狙うのは難しいですが、産卵、繁殖で浅場に乗り込んでくる7~10月の、仙台湾に流れ込む各河川の河口沖のあたりは充分狙い目。船からのポイントとして期待できそうです。
松島湾外、大根周辺のジギングなどでタチウオがヒットすることがあります。初夏から秋にかけて、タチウオが大根周辺、名取川河口沖の弘法根などの10~30mダチに群れて回遊してくるようです。鋭い歯でリーダー、アシストフックのハリス切れでバラシした話も聞きました。
鋭い歯に対策してタチウオをねらう
以前にサワラが多く回遊していて、サワラが掛かるとアシストフックのハリス切れが多くなるので、トリプルフックにしました。これでタチウオがヒットしても取り込むことができました。リーダーから切られたことがあって、それでワイヤーリーダーにしたらアタリが激減。ワイヤーは見切られる、ジグの動きに支障がある、などの理由からリーダーはフロロカーボンが良いでしょう。
東京湾のタチウオ釣りにも3回乗船しました。エサ釣りが2回、ジギングに1回です。これが実に難しく面白かった。この魚、アタリを出す誘いから掛けるまでの駆け引きに計り知れないものがあって、その面白さに触れました。
東京湾夏タチの最盛期、8月に小柴港から乗船しました。エサ釣りでサバ切り身のエサです。平日にもかかわらず16名乗船の盛況で、人気の釣り物なのだと実感しましたよ。なにせ神出鬼没の幽霊魚とも呼ばれるタチウオ。爆釣の翌日にポツポツとしか釣れないなんてことも。魚探反応は凄いのに、全然釣れなくて、あきらめのラストに突然食い出したという事もあるそうです。水深10mから100m以上の深場まで、季節によって釣り場、タックルが変わります。
オモリは40~60号。仕掛は片天秤に船宿オリジナルの2本バリ。ハリス6号、全長2mでハリは軸長のタチウオバリです。これワームフックのような形状で2/0くらいのサイズでしょうか。鋭い歯の対策に3cmほどのチューブが被せられています。使った竿はシマノ幻波2号2.1m。仙台湾カレイの名竿でウネリ対策での2.1m。長らく温存していたのを持ち出しました。
各メーカーからタチウオ専用竿が出されています。今なら仙台湾での40~50号の釣りで使っているライトゲームロッドも良いでしょうね。リールはシマノ400サイズにPE2号の道糸です。
水深20mという浅場で開始。20隻くらいの船が集まっていて、その船団の中で開始。サバ切り身の中心にハリを縫い刺し、身に真っ直ぐにハリを通します。これが大切なところで、曲がって刺すと回転して食いが悪くなります。
「底から5~15mをシャクリ入れて誘い上げて」という船長のアナウンス。投入して着底。早めのシャクリで巻き上げてきたらカツンときて、それで止めずにリールを巻くと、ガツガツからグングンと強力な引き込みでハリ掛かり。竿を叩くような引きを耐えながらリールを巻き、水面にタチウオが見えてきたところで天秤を掴んで船内に入れ、両手でハリスを取って抜き上げました。一投目から本命タチウオ。80cm、指三本といったサイズでした。
船中続々とタチウオが取り込まれています。まわりの船を見渡すと、ギラリと光ってタチウオが次々と釣り上げられています。凄いタチウオの群れです。これは船団になるわね。
開始一時間で5本のタチウオを釣りました。それでアタリは多かったのですが、掛けられなかったほうが多かった。落とし込み中の齧りつきから反射食い、巻上げでアタリからの食い上げ、コツンときて止まって食い逃げなど、さまざまなアタリが出ます。水面まで追ってきて、ギラリと反転していくものや、ハリ掛かりしてのバラシも多発です。上手な人は私の倍くらいの数のタチウオを取り込んでいました。
それからピッタリと食いが止まって、まったりとしていましたが、ラスト一時間に怒涛の入れ食いタイム突入。私は合計18本のタチウオで沖揚がり。竿頭は30本を越えていましたよ。長物系独特の強力にうねる引き込みに、誘い、アワセのテクニカルなところ、そして食味は抜群。これは人気になりますね。
タチウオジギングも面白く、仙台湾ならジギングで小場所を探っていくほうが良いかも知れません。好実績のジグはデュエル「ブランカ」で、タチウオカラーもあります。バイブレーション、メタルバイブにスピンテイルジグなども良いときがあるようです。まず色々なタイプが使われていて、私の経験程度では説明しきれません。ただ底際などの狭いレンジの群れには、エサ釣りでじっくりと誘ったほうが良いようです。
エサ釣りでもシャクリの誘い上げが基本で、様々な誘いパターンがあります。ジギングも誘いの基本は同様に、スロー&クイックからロングフォール。ショートピッチの巻き上げ誘いなど、そのとき手の合うパターンを見つけ出すのが好釣果の決め手。マッチするリズム、組み立てを探りましょう。
まだ開拓されてない東北タチウオ釣り。これから新たなターゲットとして広まっていくことを期待しています。
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船釣りを中心に、防波堤や河川の小物釣りなど、なんでもこなすオールラウンダー釣り師。全国各地の釣りと釣り具の知識が豊富で、釣りの生き字引的存在。泉区のロックバーラグ(Rag)オーナー。シマノフィールドモニター
テキスト・写真提供/針生秀一
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