伝統漁具マスナタのヒラメ釣りとは?
「マスナタ」別名「三角バケ」は伝統漁具
マスナタは頭の断面が三角形をした細長い物体で、三角バケなどと呼ばれることもある。タテにシャクると横に泳ぐ特性を持ち、この特性を利用して、サクラマスやヒラメなどのフィッシュイーターを釣るために使われてきた。このマスナタ、もともとは北海道や下北地方で広まった漁師道具の一種。階上に本格的に導入されたのは十数年前で、その後、階上にマッチした形で独自に進化・発展をとげてきたそうだ。
階上のマスナタは20年ほど前に使われていたものからは若干軽量化されている。北海道で使われていた元祖マスナタは500~600g以上あったのだが、それを激しくシャクり続けるとなると、かなりの体力と技術が必要だった。階上でも最初は同じような釣り方をしていたのだが、あまりのハードさに落伍者が続出。このままではマズいということで、さかした釣具店では400g前後のマスナタを特注。かなり高めだったバケの値段を3000円前後に抑え、普通の胴突きタックルでも楽しめるように道具立てや釣法を確立。階上のマスナタ釣りとして定着させた経緯がある。
仕掛けや釣り方は体力やスタイルに合わせる
階上沖のマスナタ釣りには、タコベイトやティンセルといった擬似餌の2段仕掛けで狙う場合と、冷凍イワシをエサに1段仕掛けで狙う場合の、2パターンがある。前者はかなり激しくシャクって誘う必要がある、体力勝負の釣り。一方、後者は冷凍エサを泳がせれば十分食ってくるので、釣り人の負担はぐっと軽くなる。
タコベイト2段仕掛けは、マスナタの上に胴突き式に枝バリを出し、バケ尻のハリと合わせて2段にした仕掛け。食いのいときであれば、ダブルを狙えるぶん数を伸ばせるが、大きなネックは、シャクリが大変なこと。400gのマスナタ仕掛けをシャクり続ける必要があるので、体力に自信のある人、ゲーム感覚でガンガン楽しみたい人に人気がある。
一方、冷凍イワシやイカナゴ等をエサに1段仕掛けで狙う場合、鬼のようなシャクリは不要。定期的に大きく竿をあおって、冷凍エサがいかにも活きているかのように泳がせればOKだ。シャクリ回数にすれば、2段バリの約3分の1。こちらは体力にあまり自信が無くても十分に楽しめる。
ヒラメが小魚を食っているうちはチャンスあり
マスナタ釣りのタナは、底から1~3mくらい。ヒラメは5mくらいまではエサを追うので、底スレスレを狙う必要はない。階上は根掛かりポイントも多いので、根がきついようなら3mほど底を切るようにする。
マスナタ釣りのシャクリ技術は若干の慣れが必要。シャクリが適正でないとマスナタの泳ぎが乱れて、道糸(と幹糸)にハリが絡んでしまう。また、横方向へ泳ぐマスナタが左右を往復するよう操作しないと、横へ横へと進み続けて、オマツリが多発する。隣と適度な間隔を保ち、トラブルを極力減らすように努力しよう。基本をマスターしたら、誘いのテクニックを駆使してヒラメに食わせる。釣り方ひとつで釣果に差がつくので、そこがまた面白いんだとか。
今シーズンの階上ヒラメは、水温が高めだった関係か、1人2~10枚程度と、例年よりは順調に推移している。それでも好調な日には1人20枚釣れたこともあり、ポテンシャルは健在。今後の釣れ具合はベイト次第だが、もうしばらくは好シーズンが続きそうだ。先日、約2か月遅れでカタクチイワシの巻き網漁が始まるなど、エサのイワシもシーズンが遅れている。坂下さんの予想では、おそらく年内一杯は楽しめるのではないか、とのこと。
取材・解説/坂下利助
取材協力/さかした釣具店・第三浩丸(TEL:0178-89-2252)
青森県階上町のさかした釣具店店主であり、第三浩丸の船長。船長として海に出ながら、釣法、仕掛けを研究しているので、当地の釣りのことは熟知している。坂下さんのオリジナル商品の詳細はHPで
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