磯釣り・クロダイ釣り入門ガイド【6】ライン編[磯釣り、ウキフカセ]
クロダイ釣り(ウキフカセ釣り)、磯釣りの基本を亥飼真司さんが紹介します。
今回はクロダイのウキフカセ釣りで使うラインを紹介したいと思います。
磯釣りでは道糸にナイロン、ハリスはフロロが基本
ラインにはPE、ナイロン、フロロカーボン等がありますが、ウキフカセ釣りで一般的に使われているラインはナイロンとフロロカーボンが多く、ラインの特性によって道糸にはナイロンライン、ハリスにはフロロカーボンラインと使い分けられているのが一般的です。
「別に道糸からハリスまでナイロンやフロロカーボン1本でも良いんじゃない?」とか「道糸にフロロカーボンでハリスにナイロンじゃダメなの?」と思われる方もいらっしゃると思いますので、ラインの基本特性について少し触れみたいと思います。
ナイロン、フロロカーボンそれぞれの特性を知る
ナイロンラインの性質はクセがつきにくいのでリールに巻いた時の馴染みが良くて扱いやすく、多少伸びる(伸度25~35%)ため感度はやや落ちますが、ショックリーダーとしての役割にもなります。比重は1.14と水に近く(水の比重を1として)水中で漂う感じになります。
フロロカーボンラインは張りがあり、磨耗に強く(キズがつきにくい)、ナイロンラインに比べ伸びが少ないので(伸度23~30%)感度が良好です。比重は1.78と重く、水中で沈みます。
ウキフカセ釣りの様にウキを付けて釣る場合、竿先からウキまでの間の道糸が沈み過ぎると扱いにくい場面が多く(釣り方にもよりますが)、道糸にクセがついていると仕掛けが「入って(落ちて)いかない」なんて事になります。この様な面から、道糸には水中に沈み過ぎず、リールに巻いた時の馴染みが良くクセがつきにくいナイロンラインが好まれます。
逆にハリスは比重の重いラインの方が仕掛けの馴染みが良く、耐摩耗性に優れていて根ズレ等でキズがつきにくいフロロカーボンラインが好まれます。このほかにラインの屈折率というのがありますが、水中ではナイロンラインよりもフロロカーボンラインの方が目立ちにくいというメリットもあります。
ラインの基本特性について説明が少し長くなってしまいましたが、この様な特性からナイロンライン(道糸)とフロロカーボンライン(ハリス)が使い分けられています。
道糸用ナイロンのタイプについて
実際にラインを買いに行こう!と、お店にラインを買いに行ってみると棚にはラインがズラリと並んでいて、どれを選べば良いか分からなくなると思います。道糸にしても、色とりどりのカラー、○○タイプ等々、ウキフカセ釣りの道糸ってこんなにあるの!? と思われるかもしれません。
道糸のパッケージにフロートタイプやサスペンドタイプと書いてあると思いますが、これはラインの種類で、浮くタイプや沈むタイプがあります。浮くタイプも沈むタイプもナイロンラインとしての基本比重は同じで(中空ラインは除きます)、ラインに施されている表面コーティング加工でラインの浮力を変えています。
種類はフロートタイプ、セミサスペンドタイプ、サスペンドタイプ、シンキングタイプがあります。メーカーによって呼び方や浮き沈み方の設定の差は多少ありますが、フロートタイプはラインが水面下を漂う設定で、セミサスペンド、サスペンド、シンキングの順にラインの漂う層が深くなっていきます。
風が無ければライン操作のしやすいフロートタイプが使いやすいのですが、風が吹いているとラインが風で引っ張られてしまうので、風がある時は風の影響を受けにくいサスペンド系のタイプの方が使いやすいです。シンキングタイプは釣り方や状況によって威力を発揮してくれます。
続いてラインカラーのついて。ウキフカセ釣りの場合、ラインのフケ具合を見たり、ウキを沈めて使う時はラインでアタリ取ったり(見たり)するので、ラインの見えやすさも重要になってきます。見やすい色、見にくい色は個人差もあるので自分が見やすい色で良いと思います。
私の使用しているVARIVASからも色々なタイプ、カラーがラインナップされています。様々な状況に応じたラインセレクトが可能になっていますので、自分好みのラインを見つけてください♪
水面直下を漂い、風や波の影響を気にせずに仕掛けを操作できる。カラーは視認性の良いフラッシュグリーン。
「VARIVASバーマックス磯 フロートタイプ」(モーリス)
従来のナイロンの約20倍の耐摩耗性を誇るVEP素材を使用したフロートタイプの道糸。根ズレ、擦れに強いのが特長。カラーはミルキーピンク
親水性のあるハーフシンキング加工により、中層から深ダナを狙い通りに探ることができる。カラーはサラシの中などでも視認性の良いハイパーレッド。
「VARIVASバーマックス磯 ゼロフカセ」(モーリス)
鵜澤政則氏監修。仕掛け全体が軽い全層仕掛けに最適なセミサスペンドライン。カラーは蛍光イエロー
ハリスは耐摩耗性に優れ、親水性のあるフロロ
ハリスですが、基本特性で触れた様に比重の重いフロロカーボンラインの方が仕掛けを馴染ませる事に適しています。水中で目立たないというのもありますし、ラインがまっすぐになるという面もあります(使う時は引っ張って糸グセを取ってから使ってください)
私が今、愛用しているVARIVASのハードトップ磯プレミアムハリスは強さは勿論ですが、しなやかさがあり糸グセも少なく、とても使いやすくなっています。実際にラインを触って頂けると、「おぉ♪」っと、なって頂けると思います(笑)
強度、耐摩耗性に優れたプレミアムフロロカーボン。表面加工は最小限に抑え、磯釣り使用時に最適なバランスに仕上げた
道糸とハリスの号数(太さ)になりますが、道糸は細いほど風などの影響を受けにくく、操作もしやすくなります。ハリスも細いほどエサの動きもナチュラルになりますし、ハリスも見えにくくなります。だからと言って、せっかく掛けた魚に耐えられない強さでは話になりませんので、魚の種類やサイズ、活性、ポイントの状況(シモリ根が多いなど)、又は風や波など、その時のコンディションによってもラインの号数を選ばなければなりません。
クロダイ狙いでしたら道糸とハリスの号数は同じ位、もしくはハリスの方がワンランク上の号数位で良いと思います。その方がバランスも良く、強度的にも問題ありません。
道糸とハリスが同じ号数、もしくは道糸の方が細いと魚を掛けた時に道糸が先に切れないか不安になるかも知れませんが、魚に近いハリスの方が背ズレや根ズレ等で切れやすい(傷みやすい)ですし、ラインは長いほど強度を保てますから、道糸(ナイロンライン)は、ハリスとの結束から竿先までの距離(長さ)が長いほどナイロンライン特性の伸び(伸度)もあるので切れにくくなります。
ラインの号数は狙うクロダイのサイズや場所にもよりますが、1.7号前後で十分だと思います。慣れてきたらラインの号数を下げても良いですが、クロダイの場合、多少太いハリスでも食ってくれますので無理をして細いハリスを使わなくても大丈夫ですし、どちらかというと仕掛けの馴染みに影響してくるのは道糸になってきますので、風が強いなどのタフコンディション時には道糸に気を使った方が良い釣果が得られると思います。
VARIVASからライン用スプレーも出ています。「PEにシュッ!」!はナイロンやフロロにも使えます。このほかにも、「浮くんでシュッ!」や「結びにシュッ!」等もあるので、ぜひ試してみてください。
スプレーするだけでライン表面にフッ素保護膜を形成、滑りをよくして摩擦を減らし、ラインの劣化やガイドの摩耗も防ぐ。PE用となっているが、ナイロン、フロロにも有効。
「VARIVAS浮くんでシュッ!」(モーリス)
フロートラインの浮力を大きくアップ!ウキやマーカーなどを浮かせたい時にも。
「VARIVAS結びにシュッ!」(モーリス)
ハリやライン同士の結節部に吹きかけるだけのノット補助スプレー
※画像・テキスト/亥飼 真司