岩手大槌ボートロック スポーニング盛期~アフターのタックル使い
外洋は荒れ模様 湾奥部のスポーニングエリアを直撃!
11月下旬、東谷さん、森本さんは釣り仲間の熊谷真さんとともに大槌周辺に出船。この日は南寄りのウネリが2mほどある、あいにくのコンディション。外海側には出ることができず、大槌湾南側エリアのスポーニングエリアになる湾奥付近を中心に狙うことにした。
操船した東谷さんは、「秋のシーズン初期に漁師さんがこれまでに無いほどアイナメが多いと言っていたので、かなり期待感はありました。例年、早めにスポーニングが始まるスポットで、時期的にもバンバン釣れるはずだったんですが・・、大潮後の中潮で産卵を終えた直後のタイミングだったためか、激シブの状況でした」
釣れたアイナメはオスが中心で、メスはわずか。アベレージサイズも普段に比べ小さく、スポーニングエリアを広く探って、ポツポツ釣れる魚を拾っていく展開になった。
本来、盛期であればポイントをテンポ良く撃っていくのだが・・
東谷さん、森本さんともにロッドはバレーヒルの「サイファリストHRXシリーズ」を使用。
東谷さんは最初は長さがやや短めでボートロックに向くベイトロッドの「CPHC-73MH」(PE2号、リーダー16Lb)をメインに使用し、21~28gのテキサスリグで速めのテンポで探っていくが、最初に数本釣れたのみでアタリが少ない状況。
「ボートロックは魚の居るところを撃っていくので、魚さえいればすぐに反応があり、アタリも多いはずなんですが、この日は『カンッ』というハッキリしたアタリがほとんどありませんでした。そこで、スピニングタックルに持ち替えて、よりライトなリグで探ってアタリを取るようにしました」
スピニングタックルは「CPHS-88M」と「CPHS-78M」で、後半は「CPHS-78M」をメインに使用。ラインはPE0.6号(リーダー12Lb)、14g前後のフリリグのナリュラルなアクションで狙ったところ反応が増えた。
「スピニングタックルはライトめなリグが使いやすいのももちろんですが、荒れていてボートを磯に寄せられないときに遠投力が生きるメリットもありますね」。遠投したいときはボート上ではちょっと長く感じるかもしれないが、7~8ftのスピニングタックルで飛ばすのもあり。
サイファリストHRXシリーズ
「CPHC-77H」堤防、磯からボートまで、あらゆるシチュエーションで使えるヘビーアクションのベイトロッド
「CPHC-73MH」短めで取り回しがよく、ボートロックなどの近距離戦に最適なミディアムヘビーのベイトロッド
「CPHS-88M」(スピニング)中層のスイミングアクションを得意とするスピニング
「CPHS-78M」(スピニング)堤防やボートなどでいろいろな場面で使えるスピニングタックル。ライトなリグ全般にOK
森本さんは冬のアフタースポーニング期に使うテクニックがはまる
森本さんも冬のハイシーズンということで、まずは活性の高いプリスポーンの魚をテンポ良く獲りにいった。サイファリストHRXのオールラウンドなベイトモデル「CPHC-77H」を選択。21gシンカーにハイアピール系ワームで狙っていった。
幸先良くナイスコンディションの1stフィッシュが釣れたものの、その後はバイトが遠のく。「ウネリで外洋に面した一等地を打てなかったこともあるかもしれませんが、今回攻めた内湾エリアはスポーニングの進行が速く、すでにアフター状態であることが想定されました」
今度はスピニングの「CPHS-83MH」に持ち替え、10~18gのテキサスリグで出来るだけスローに探っていくことに。反応はいくらか増えたものの、そこまで状況は大きく変わらず。
ここで森本さんは、アフターシーズンの中でもより渋い時期(産卵やネスト保護の後から回復しきれていない状態)に当たっている可能性が高いと判断。よりスローに見せつつ、疲れ切っているアフター個体にも捕食しやすいように、7~14gのシンカーに3in以下のスモールワームにリグチェンジ。
ここでシンカーやワーム以上に有効だった変更点が、8lbというライトクラスのフロロカーボンラインと、軽量リグを扱いやすく、且つバイトを弾きにくい「CPHC-711L」を使用したこと。
「CPHC-711L」はロックフィネスに対応したテクニカルロッド。「細めのフロロカーボンラインは水中での繊細な操作がしやすく、水に馴染みやすいので違和感なくルアーアクションを加えられ、且つバイトした魚が違和感を感じにくい特長があります」
PEラインでは伸びがない&比重が軽いために、ルアーアクションにメリハリが付き過ぎてしまい、アフター期のアイナメがアクションに付いてこられない場合が多い。また、弱々しいバイトに対してはバイトを弾きやすくなってしまう。
「自分が1~3月のアフタースポーン時期のオカッパリロックでよくやる釣りが、6~8Lbのフロロカーボンラインに5~14gといったライトリグ、そしてワームは3in以下(主に2~2.8inくらい)といった組み合わせです。今回はボートロックで状況は違いましたが、あまりにも渋かった為、結果的に上記のような自分の必釣メソッドで挑むことになりました」
スピニングロッドではなくベイトフィネスロッドの「CPHC-711L」を使用した理由については、「動きの鈍いアフター個体に口を使わせやすくするために、ボトムをタイトかつスローに誘いやすい、ベイトロッドの感度やフォールコントロール力が大きな武器になりました」
ベイトリールはリールの構造的にラインスラッグが出にくいため、(糸ふけ、糸よれの出やすい)スピニングに比べて感度が良く、さらにはクラッチを切ってレンジを素早く下げることができるので、ボトムをじっくりとトレースしやすいメリットがある。
サイファリストHRXシリーズ
「CPHC-77H」東北ロックフィッシュのスタンダード的なハードロッドで、1oz前後のテキサスを使い、磯周りを撃つ釣りに適する
「CPHS-83MH」ヘビータックルよりちょっと軽めのテキサスでスローめに攻めたいときなどに適するスピニングロッド
「CPHC-711L」テクニカルロックフィネス対応ベイトロッド。ライトなテキサスやジグヘッドリグを、ベイトの特性を活かしながら使用できる
三陸根魚スポーニングシーズンは後半戦へ!
この日はスポーニングの進みが早いポイントでの実釣だったが、これから第2陣、第3陣と続々とアフターの段階に進んでいく。
まずはスポーニングを終えたオスの個体から活性が上がり、アフターのオスは一定のポイントに集まることがあるためスポットを見つけられれば数釣りのチャンス大。
産卵後のメスは一段落ちたようなところに落ち着いた後、体力回復のために徐々に食い気のある個体が出てくるようになる。
「余談ですが、今季の三陸はタコがとても多く、スポーニング中のオスがタコの足を吐き出す確率が異常なほど高くなっています。中には足を3本ほど吐き出したアイニアメもいました。いつもの年だと甲殻類ばかり食っているんですが、おそらく卵を守るためにタコと果敢に闘っているんだと思いますね」と、東谷さん。
これからアフターのシーズンに入り、水温低下や時化による難しいコンディションの日も多くなってくる。シブ~い状況に直面した時は、東谷さん、森本さんのアフター戦略を参考にしつつ、シーズン後半戦のロックフィッシュゲームも充実したものにしていただきたい。
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※取材、解説/東谷輝一、森本正善
※取材協力/熊谷真