復興めざす亘理の船釣り カレイ五目出船中!
震災後、初めての亘理沖へ
震災から間もなく4ヶ月。復興が進む中、宮城県亘理港(荒浜漁港)から出船の第五大海丸も沖釣りのポイントへと戻ることができた。2月に取材レポートした活きメロウドのクロメバル釣りから釣り船の時間は止まったまま。季節だけが進み、沖合はカレイ釣りの最盛期へと突入していた。
「試し釣りを無事に終了して出船を開始しました」という船長からの連絡を受け、待って いましたと早速繰り出した。震災直後はすっかり肩を落としていた山川大海船長。港に戻った船と一緒に元気な笑顔を確認。亘理沖を目指した。
40分ほど走って水深37mのマガレイポイントへ到着。魚の活性が高いことを想定。片天秤の上に1本枝バリを出した仕掛けをチョイス。この仕掛けでオモリ上の枝バリに食い付いたカレイのアタリはかなり強烈。高活性時には頭を高く持ち上げて積極的に補食するので、有効な面白い仕掛けだ。
釣りを始めると、筆者の竿に一投目からダブルで掛かった。仙台湾「マガレイの巣」は健在!嬉しい感覚が手元に伝わる。二投目では、鋭いアタリがきた。枝バリへの食いを確信。上がったのは32cmの良型マガレイだった。
枝バリへ反応して食ってくるカレイは大型が多く、投入直後よりも、小さい幅の小突きを続けている時によく釣れてくる。おそらく周囲に小さいカレイがいても食いに行けない高さに、大型がゆっくりと近付いて食っているのだろう。
普通の3本バリの仕掛けでもいえる事だが、活性が高く反応が早い時には激しい小突きは必要ない。極めて小さな小突きでカレイにエサの存在だけを教えてやるのがベスト。数を 伸ばして型も狙えるコツだ。
当日はとにかく型が良く、30cmを超えるマガレイが2割程混じり、リリースサイズは全く掛からなかった。アタリが明確で引きも強い中、ひときわ大きく引き込みを見せたお客さんに「型が良さそうだ、マコだべ!?」の声が飛ぶ。しかし、浮上したのは特大マガレイ。長年カレイ釣りをしているが、40cmのマガレイは初めて目にした。
後半は根周りに移動してアイナメ狙い
9時半を過ぎて、筆者のマガレイは48枚。サイズが良いので十分満足の釣果だ。そして、亘理沖と言ったら根魚の宝庫。天然の粒根に移動して、後半はアイナメをメインに狙った。
仕掛けはそのままカレイ釣り用でも対応できるが、より効果的なアイナメ仕掛けに変更。派手派手な仕掛けを好まないマコガレイも生息していてこちらもターゲット。装飾品の過度な追加はあまり望ましくないので、仕掛け自体に付いたエッグボールが目立つチョイ派手仕様を選択。
アオイソメをカレイ釣りより多めに付けて投入。「GPSのズレは感じません。記録した根はしっかり魚探に映ります。魚もいますね」と船長。コンディション抜群の丸々としたアイナメが皆さんにヒット。こちらも活性が高くゴツゴツと豪快に竿を絞り込んだ。また、根回りに着いた大型マコガレイも期待通りに食ってきた。
予想より早い出船を実現。復興へ大きく前進した
市場の屋根が港の中に流されるなど大きな被害を受けた亘理荒浜漁港。再開には長期間掛かると思われた。しかし、大型船の導入で港の復旧作業は急ピッチで進んだ。皆さんの努力が実り、驚くほどの早い復活となった。
大海丸ではイカ釣りへも出船を予定している。そして気になる今年のヒラメ釣りだが、船長によれば、「今のところエサを確保して、例年通りの釣りができるように目指しています」とのこと。砂地だけでなく根も豊富な恵まれた海「亘理沖」の完全復活は目前だ!
◆記事に書けない裏話や質問への回答は無料メルマガ(毎月25日発行)で配信中!
取材・テキスト/菅野順也
取材協力/大海丸(TEL0223-35-3317)
カレイ釣りのトーナメンターとして活躍しながら、ヒラメ、メバル、マダイ、深海などの各種船釣りにワカサギ、渓流までなんでもこなすオールラウンダー。がまかつフィールドテスター、山豊テグスフィールドテスター。福島市在住