サーフのフラットフィッシュ ジグヘッド、ヘビキャロ、メタルジグの使い分け
先日、6月18日には「釣り河北フラットフィッシュin亘理」と同時に静岡県でも大規模なフラットフィッシュイベントが開かれるなど、各地でフラット人気がピークを迎えている。コチ、ヒラメ用ルアーもいろいろなものが増えてきている中、改めてジグヘッドリグ、ヘビーキャロライナリグ(ヘビキャロ)、ハードルアー(メタルジグ)など、ルアーの使い分けの基本を紹介します。
※2017年6月取材の記事です。
基本のジグヘッドリグ:色々なタイプのヘッド形状を使い分け
フラットフィッシュゲームで最もオーソドックスなのが、ソフトルアーのジグヘッドリグ。根掛かりの少ない砂浜、砂地であればセッティングが簡単で、ダイレクトにアタリを取ってフッキングさせやすい。根周りでは根掛かりの危険が増すが、砂地であれば初級者からベテランまで最も釣りやすいリグといえる。
オーシャンルーラー社では機能性を持たせたジグヘッドをリリースしている。2017年6月に新発売になったばかりの「ボトムアッパー」は一見すると普通の丸型ジグヘッドに見えるが、底が平になっているので着底時に姿勢が安定するのが特長。砂底のズル引きやスイミング、リフト&フォールなど、ボトム付近の攻略性に優れている。
ワームの種類はほぼ何でも合わせられるが、フラットフィッシュゲームでズル引きやスイミング主体に使うのであれば、シャッド系やカーリーテール系などストレート系のルアー(細長い形のもの)がよりマッチする。
2017年6月に発売したばかりの新製品。7~35gまでラインナップし、フラットフィッシュでは遠投できる28g、35gを使う機会が多い
昨年発売されて注目を集めたジグヘッドが「クレイジグレンジキープVR」。このジグヘッドは前方が斜面状になっているため、水流を受けて一定のレンジを引くことができる。
ただ巻きで一定のレンジを保つことができるほか、力をかけた時はワイドなダートアクション(横にぶれる動き)を発生。追加フックに対応する後方アイや、ワームのズレを防ぐためのワームキーパーも搭載するので、いろいろなルアー、状況で使用できる。
前方の面が水流を受けて、ただ巻き時は浮き上がらずに一定のレンジをキープ。さらに、アクションをつければワインドのようなワイドなダートアクションでアピール!ワームキーパーも搭載しているので、激しくアクションさせてもワームがずれにくい
ヘビキャロ:遠投できて自然に食わせられる
ヘビーキャロライナリグ、通称ヘビキャロはテキサスリグに似ているのだが、中通しシンカーの先にスイベル(ヨリモドシ類)を装着して固定し、その先にリーダーを付けてハリと結んだリグ。中通し式の1本バリの投げ釣り仕掛けと同じ形状のためシンカーを重くして遠投することが可能で、さらに、シンカーとワームの間にリーダーがあることで、ウエイトを大きくしても自然に誘うことができる。
最大の特徴は遠投性で、ソフトルアーでシンカーを重くして遠くのポイントを狙いたい時に適。シンカーを重くしてもワームの動きにさほど変化がないので、流れの影響を受けやすいサーフや河口部のポイントなども攻めやすい傾向がある。
2017年はオーシャンルーラーの中通し式シンカー「インターシンカー」に35gが新追加(2016年までは28gまでだった)。フラットゲームではオモリ付加40gくらいまでのロッドを使うことが多いため、MAXに近い重量でぶっ飛ばすことができるようになった。
取材中も鈴木貴博さんはインターシンカーを使ったヘビキャロで足下のブレイクを狙い、見事にマゴチをキャッチしている。
硬質でボトム感知能力にすぐれたブラス素材を使った中通し式シンカー。根掛かりしにくいフォルムでスタックしにくく根を抜けやすい。また、ブラックニッケルメッキにより耐久性が高く、ステルス性の高い色合いのためターゲットにプレッシャーをかけにくい。ラインの痛みを防ぐ保護パイプも標準装備。テキサスリグ、ヘビキャロなど、ロック、フラットフィッシュに幅広く使用できる。サイズは7~35gをラインナップ
メタルジグ:手返しよく、広いレンジを探ることが可能
最近はソフトルアーを凌駕する勢いのあるメタルジグ。ショア用のジグがどんどん増えて、フラットフィッシュを対象魚として考慮したものが多くなってきた。
ジグ類は30g前後から、40gや60gといった重いものもあり、抜群の飛距離で広範囲を探ることが可能。魚の反応をみるためサーチベイトとしても好適。さらに最近は種類が豊富になり、アクション性も様々なので、種類を使い分けることで幅広い戦略を組み立てることができる。
「ガンガンジグ2」はフォール時のローリングアクションやフラッシングで誘うセンターバランス設計の小型ジグ。満潮時など潮流が速い時などでも素早く底を取りやすいのも特長。
20~60gまで、ショアからの使用頻度の多いウエイトをラインナップ。フックはフロントアシストにはアシストフェザーをあしらい、リアトレブルフックも標準装備。ショア青物、フラット、ロック、シーバスなどオールマイティに使用可能
スロージギング(スローピッチジャークのジギング)が一般的になり、ショアからのスロージグに対応した商品も登場。「ガンガンジグSJ」は左右非対称ボディによるイレギュラーなスライドフォールとフラッシングを発生。フォール中、スイミング中の強い波動でもフィッシュイーターを魅了する。
スロー用ということで標準装備はダブルアシストのみだが、捕食のあまり上手でないマゴチ狙いではリアにトレブルフックを追加するのも一手。
ショアからのスロージギング的な使い方ができるメタルジグ。上は標準のフロントダブルアシスト装着状態で、下はリアにトレブルフックを追加したところ
サーフゲーム時のポイントの見方
最後に、砂浜からフラットフィッシュを狙う際のポイントについて。鈴木さんは波打ち際から5mほどの足下のブレイク(カケアガリ)でコチをキャッチしたが、ハイシーズンにはカケアガリの斜面にへばり着いてベイトを待ち構える魚も多い。大会優勝者が78cmのヒラメを釣ったのも足下のブレイクだった。波打ち際まで油断せずに攻めきることが重要。
波打ち際のほか、沖に波が立つところにもブレイクがあり、ポイントになっている。沖のブレイクと足下のブレイクの間は砂が削られてえぐれができていることが多い。地形的に魚がたまる場所があるので、そういった所は足を使って探す必要がある。
こういった底の変化には、離岸流や払い出しと呼ばれる水の流れが関係。寄せた波がまとまって沖へ流れる所があり、そういった所にはエサも集まるためフラットフィッシュもエサを待ち構えている(離岸流に飲まれると一気に沖へと流されるので、釣りをする際は無理に立ち込まず、救命胴衣なども必ず着用すること)
フラットフィッシュシーズンは今が最盛期。4月、5月から釣れ出していた仙南エリアは一時より勢いが落ちてきたところもあるようだが、ヒラメが安定してくるほか、宮城県北や岩手の牡鹿半島など三陸方面はこれから好シーズンを迎える。
手軽で楽しいフラットフィッシュゲーム。安全やマナーには十分気を配りつつ、いろいろなテクニックを試してみるとさらに面白くなるはずだ。
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※取材協力/オーシャンルーラー
※解説、画像提供/鈴木貴博、尾形慶紀、阿部慶行