釣行時の安全のために欠かせない救命胴衣(ライフジャケット類)の正しい装着方法[ルアーフェスタin仙台]
水辺の釣り、レジャーには絶対に欠かせない救命胴衣・ライフジャケット類。以前は遊漁船やボートに乗船する時に着用するイメージだったが、磯や防波堤でも落水の危険はつきもの。近年は船釣り、岸釣りを問わず装着率は着実に上がってきている。
ここでは救命胴衣のタイプごとの正しい装着方法や自動膨張or手動膨張式のライフジャケットで落水した際の対応方法などについて、ルアーフェスタin仙台の特別ステージでの実演をもとに、第二管区海上保安本部の担当者に解説していただいた。
目的や用途に合った救命胴衣を購入する
各メーカーから多種多様な製品が出ているので、販売店等と相談の上、自分に合ったものを購入するようにしよう。
取扱説明書を読んで確認しておくのが大前提
各メーカー毎に詳細な保守・点検方法がある。付属の取扱説明書をよく読んで、使用前に救命胴衣の仕様を確認しておくことも大切だ。
ライフジャケットはしっかり体にフィットさせる
ライフジャケットを身に着ける際は、付属のベルトで体に密着することが重要だ。ベルトの締め付けが甘いと、落水のショックで態勢が崩れた際、脱げてしまう恐れがあり、非常に危険。腹回りのベルトをしっかり締めるとともに、股下に通すベルトも必ず使用するようにしよう。股下ベルトの無いタイプのものは、腹回りのベルトをしっかり締める。そういった装着方法をしっかり守らないと、落水時、身体は沈もうとするが、救命胴衣は浮力が働いて浮こうとするため、ライフジャケットがすっぽ抜けてしまうことも多い。
水の中でライフジャケットの位置を修正するのは思った以上に大変なので、普段から救命胴衣がしっかりと密着した状態で着用するように心掛けよう。
自動膨張式、手動膨張式の救命具について
従来の浮力材を使ったベストタイプのライフジャケットに比べ動きやすく、アングラーにも人気の膨張式ライフジャケット。自動膨張式は落水時に水に反応して自動的に膨らむため、万一、落水時に気絶したりしてしまっても自動で膨張するのが利点。手動膨張式は手動でヒモを引いて膨張させる必要があるが、雨や波で誤作動する心配が無い点、比較的リーズナブルなのが人気。
自動膨張式の場合、落水してもすぐには膨らまず、落水を感知するのに3~5秒ほどかかるので注意が必要(紙などの水溶性の素材で水に反応するようになっている)。膨張式の救命胴衣が膨らみ始めてから完全に膨らむまで5秒もかからないが、なかなか膨らまないことで「故障か?」とパニックにならないよう落ち着いて膨らむのを待とう。何等かの理由により救命胴衣が膨らまない時も手動でヒモを引くことで膨張させることもできる。
膨張式のライフジャケットを使う場合は、できれば年1回程度は本体の点検を行い、定期的に自動膨張装置やガスを交換したい。生地は意外と傷つきやすく、例えば移動中の車の中でフック(釣りバリ)が刺さっただけで穴が空くこともある。無造作に放置している人も多いと思うが、膨張部分が傷まないように丁寧に扱うよう心掛けたい。その他にも、気密を保つために膨張装置内部にゴムを使用している箇所もあり、使用実績が無くても経年劣化するため、専門業者による年1回の点検は必ず受けるのがベター。
膨張式の救命胴衣は使い勝手は良いが、その分、定期的なメンテナンスが欠かせない製品だということを知っておこう。
膨張式肩かけタイプはあおむけに浮かぶ
肩掛けタイプの膨張式ライフジャケットの場合、胸の前あたりで浮力部分が膨らむので、ベストを両腕で抱えるようにして仰向けに浮いて救助を待とう。腹部分のベルトをしっかり密着させないと救命胴衣がずれ上がってきて、首が圧迫され、息苦しくなることがあるので注意。また、この肩掛けタイプはあまり自由に動くことはできないことを頭に入れておこう。
膨張式腰巻きタイプ(ウエストベルト、ウエストポーチ型)は浮き輪状に膨らむ
コンパクトで人気のウエストタイプ。これは左右両方の浮力部分をつなげることで浮き輪のように浮かぶことができる。この型は水面に腰かけたような姿勢になるので、比較的ラクな姿勢で救助を待つことができる。
しかし、腰骨の上に引っ掛かかるように装着し、ずれ落ちてこないようしっかりとベルトを固定しないと、落水時のショックですっぽ抜ける可能性があるので、付属の取扱説明書を読んで取り扱いを確認しておこう。
腰巻きタイプの使用方法
子供にも安心して使える浮力材入りのベストタイプ
浮力材の入った救命胴衣は動きやすさという点では膨張式にかなわないが、浮力材が緩衝材になり、磯や堤防などの釣りではこちらが主流。膨張させなくても水に浮くことができるので、膨張式を使いこなせないおそれのある子供用にもおすすめ。
そのまま水に浮くことのできる救命胴衣だが、しっかりベルトを締めておかないと、体だけが水中に沈んで、ベストだけすっぽ抜けてしまうことがある。窮屈でも胸のベルトをしっかりと締め、股下ベルトも固定して、体と密着させておこう。
※子供の場合、幼児体型で泳ぎ慣れていない子が多いため、救命胴衣を着用していても、水中でバランスが取れず、浮いた状態でも海水を誤飲して溺れる恐れがある。ライフジャケットを着用させたからといって安心することなく、注意が必要だ。
※取材協力/第二管区海上保安本部