[連載]常笑upcoming fishing!☆第5回 東北各地で楽しめるオキメバル釣り
連載:針生秀一さん 第5回 東北各地で楽しめるオキメバル釣り
※この記事は2013年10月にプレミアムメルマガで配信したものです。
東北地方では最も釣り物が多くなる秋ですが、これから春までのロングランで打ち込めるのが中深場の根魚釣り。水深50~100mから200m前後のポイントで、オキメバル、ソイ、マダラ、メヌケなどを狙う釣りです。その中で、特に人気が高いオキメバル釣りについて説明してみます。
オキメバルはアカガラ、メガラ、テリ、テンカラ、アカメバルなど、東北各地に呼び名があるほどに親しまれていますね。東北でオキメバルと呼ばれるのはウスメバルが主で、トゴットメバルが釣れてくることも稀にあります。深場狙いではパンダメバルと呼ばれるウケグチメバルも入りますね。以前に、いわき沖200mダチでの赤物五目釣りで、ウケグチメバルに似るカタボシアカメバルも釣れてきました。
オキメバル釣りに行くときはクロメバル釣りに比べて、じっくりと楽しもうという気分になります。クロメバルでは、サビキの当たり外れ、時合いの短さ、ポイントが漁礁や険しい根が多くタナ取りに気を配る、といった理由から緊張感が高くなります。
オキメバルは水深が深くなりますが、比較的おだやかな岩礁のポイントが多いので根掛かりが少なく、アタリサビキを外してもエサで補えるといった点に、なんといっても魚が赤いということが嬉しい。楽しんで釣ろうというのは、こんな感覚からなのです。
各地で若干異なるオキメバルの道具立て
オモリ50号という仙台湾ヒラメ、クロメバルと同等のライトタックルで釣る南三陸志津川湾と、80~120号がメインになる三陸沿岸各地。200~250号を使うのは、山形、秋田の日本海エリアに岩手三陸北部の小本、普代、久慈沖から青森の八戸、三沢沖、下北半島と津軽沖まで。これを一括りにワンタックルで、とはいかないのですが、釣りの基本は同じ。マッチするタックルを用意して臨みましょう。
まずはライトなオキメバル釣りが入門にも最適。南三陸町の志津川戸倉地区「三浦屋」さんを発祥とするオモリ50号の釣りは、志津川湾の秋から冬の人気釣り物のひとつです。女川からの江島、出島、金華山沖、そして岩手三陸の越喜来、吉浜、宮古などのエリアでは、80~120号のオモリを使うことが多いです。
タックルはオモリが50~80号なら30~50号負荷、100~120号なら80号負荷程度の2.4~3mで7:3、6:4調子の竿。ヒラメ竿には、120号まで広くカバーできるタイプもありますね。リールはPE4~6号を200m以上巻けるサイズの両軸、電動リールを使います。
仕掛けは胴突き6~8本バリのサビキ仕掛けで、ハリス2~3号を20~25cm。チヌバリ3~4号というのが標準仕様。全長は3m前後です。長くハリ数が多いほど、タナを広く探れて有利な気になりますが、比較的に根が低い場所が多いので、底際中心のタナ取りで、このハリ数、長さがマッチします。一回の流しで繰り返して投入できる場合も多いので、これなら手返しも早く効率的に数を伸ばせます。エサを併用するので、クロスビーズなどの回転プラスチックビーズ接続を選びましょう。
通常はサビキのバケ仕掛けにエサという組み合わせで釣ります。これなら素バリにエサと変わらないのでは?と思われますが、バケとの組み合わせでアピールが上がる、エサが取れてもバケに食ってくることを望めるなど、ほかにも説明しきれない利点が多く、バケにエサが最良なのです。もちろん潮色やベイトの状況によっては、素バリにエサが良い状況も出てきます。条件を踏まえて仕掛けを使い分ける判断をします。エサとのマッチング、フラッシャーの有無、色、魚皮など、これらはオキメバル釣りの永遠のテーマですね。
エサはサバ、サンマの切り身、イカタン、サケ皮、ホタルイカといったのが定番。アオイソメ、ドジョウ、冷凍イワシにイカナゴなどを持参する釣り人も見かけます。アオイソメは濁り対策の裏ワザですね。活きイワシがあるときなら、これに勝るエサはなく最高です。下あごから上に、口を閉じるようにハリを刺します。
切り身は幅1cm、長さ5cmくらいにカットします。台形にならないように切って、身も薄く均一にしましょう。イカタンはヤリイカなら身が柔らかく、ヒラヒラして食いつき抜群。スルメイカは硬くなってくるので叩いてとか、解凍、冷凍を繰り返して柔らかくする加工を試みることも。紫外線液、グルタミン酸(味の素など)漬けも効果がありました。
食いが良いときは、丈夫でエサ持ち良いサケ皮を使うと手返しが向上します。ホタルイカも定番エサです。胴から抜いて目と目の間にハリを刺します。キモが集魚効果を生むのでマメな付け替えが大切です。ドジョウ、イカナゴは大物ヒットの実績があります。しかしイカナゴは細身なので、魚には落ち込みで線に見えて注目が薄くなりがち。そこでハリのチモトにエッグボール、マシュマロボールを通してアピール向上作戦。フカセ効果も演出して効果的です。
これは久慈港「シーガル」松前船長が仕掛けに取り入れていたのがヒントになりました。テレビ小説あまちゃんでも注目された久慈地区。オキメバル、メヌケ、ソイのリレー釣りも面白く、釣りも観光も楽しめますよ。
日本海や北東北は深場用タックルを使用
オモリ200号の釣りでは、本格的深場タックルに近いものを使います。竿は120~180号負荷程度の2.4~3mくらい。置き竿メインの釣り方になるので、うねりでの穂先のハネを胴で吸収して抑える胴調子のタイプが、仕掛けをタナに安定させて、食い込み、追い食い時の操作性がよくオススメです。このために、4m近い長竿を使う人も多いです。近年は2m台でも、この釣り方にマッチする竿がリリースされているので、取り回し、扱いやすいタイプを選べるようになりました。
狙う水深は80~180mくらいで、PE4~6号を300~400mくらい巻けるサイズの電動リールで充分使えます。このキャパなら道糸の高切れのトラブルにも対応できます。シマノで3000番、ダイワ500番というサイズです。タラ、メヌケと併用で、ミヤマエ3~6を選ぶのもアリです。15本バリにマンガンでも、このパワーなら余裕です。
仕掛けはムツバリ14~15号、10~15本バリのバケ仕掛けで、1投多点掛けを狙います。ハリス間隔60~70cmにハリス2~4号を25~30cm。潮が速いときは長め、緩めなら短く調整すると効果的。ハリス接続はクロスビーズ、親子サルカン使用。全長が10mくらいになるので、幹糸の縒りを減らすために、クロスビーズ使用なら中間に、ベアリングスイベルや親子サルカンとの組み合わせがオススメです。
仕掛け選択の目安は、濁り気味なら赤、紫などのアピールカラー、澄みなら白、青に緑などのナチュラル系のフラッシャーに、サバ、ナマズ、ハモ、サメ腸などの魚皮の組み合わせ。この組み合わせ、マッチングは限りなく多種に及びます。
そこで私がパイロット的に選ぶのは、サバ皮白フラッシャーです。これから始めて反応を伺います。濁りや深場ならナマズ皮金茶フラッシャー。雨水、雪代の影響があるときは茶サメ腸に緑ハゲ、緑サバ皮といった目安で選び変えています。
投入は船ベリに順番に並べて、船長の合図に従って投入します。マグネット板があると便利です。足元は整理しておきましょう。タナ取りは、着底したら糸フケを巻き取り、底を切ります。これで底ダチを取り直してタナを探るというのが通例です。
船長によっては、底を切って反応に当てていく、または着底したところからオモリを動かさず、糸を出して仕掛けを這わせるように探る、といった釣り方をすることもあります。指示を聞いてタナを合わせましょう。
メバルは受け口なので、急角度で上を向き、上から降りてくるエサに敏感に反応します。目線から下のエサは捕食しにくいわけです。ですから、ゆっくりとしたシャクリ、落とし込みが効果的で、底の取り直しが誘いに繋がります。追わせて喰わせるより、タナに届けて受けさせるイメージです。
巻き上げはドラグ調整しながら中速くらいで。上バリから順番に取り込み、魚を外してハリスのヨレを直し、マグネット板にハリを置いていきます。オモリまで取り込んだら、上から順にエサを刺して次の投入に備えます。
数もサイズも楽しめる秋のシーズン。青い海面から赤い魚を抜きあげる気分は最高ですよ!
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※取材テキスト・写真提供/針生秀一