[連載]常笑upcoming fishing!☆第15回 あこがれの高級魚アカムツ(ノドグロ)
連載:針生秀一さん 第15回 あこがれの高級魚アカムツ(ノドグロ)
※この記事は2014年6月にプレミアムメルマガで配信したものです。
近年、オニカサゴ、アカムツ、アラなどの中深場の根魚釣りが、東北でも注目されてきています。食味の良さはもちろん、独特の釣り味が釣り人を魅了します。これらのターゲットは冬場が旬と認識されていますが、東北地方では、これから晩秋にかけて釣り易く、出船回数も多くなる好シーズンなのです。そんなこだわり系の根魚釣り。今回は片天秤仕掛けを使うオニカサゴ釣りをガイドします。
釣り場は秋田男鹿半島周辺から能代沖、青森深浦、竜飛から津軽海峡、山形酒田飛島から秋田象潟沖など、東北の日本海側全域に点在します。未開のポイントもあり、これからさらなる開拓に期待できるでしょう。
まぁ、私たち東北太平洋側の釣り人は、ノドグロといえばユメカサゴを思い浮かべますね。でも昭和の時代には、金華山沖でもアカムツやアラが釣れたことがあるという話を、ベテラン船長から聞きました。福島、いわき沖での赤物五目船でアカムツが交じることもあります。
東北太平洋側では専門に狙えるほどアカムツの魚影は濃くはないと思われますが、塩釜魚市場に水揚げが少ないながらあるそうです。狙う水深、タナが共通するメヌケ、マダラ狙いでは、アンポンと呼ばれるヤナギメバル(ヤナギノマイではなく)という嬉しいゲストが釣れますが、これは年々少なくなってきました。居れば釣れるという、警戒心が薄いアンポンタンな魚なのでアンポンと呼ばれたのですが、今や稀なゲストになってしまった。私も久しく釣っていません。コレの煮付けなんか最高にウマイです。久慈、八戸、三沢沖のメヌケ、タラ釣りで釣れたのを釣果情報で見かけますが、このあたりも興味深いですね。
秋田、青森に山形でも実績急増中!
アカムツ釣りの盛んな秋田、青森での釣りを標準に説明します。こちらではオモリ200号前後で、胴突3~5本バリという仕掛けで釣ります。茨城方面と較べてオモリが少々重いくらいで、だいたい共通します。
ハリスは5~7号40~60cmで1~1.5m間隔に幹糸8号、捨て糸5号を1.5m結びます。捨て糸を短くして這わせすぎると、ムシガレイ、カジカ、ドンコなどが多くなり、本命のチャンスを逃すことにもなるので注意しましょう。
ハリはムツの16~18号。口膜がアジのように薄くフックアウトのバラシが多いので、ホタバリという、ムツバリよりもハリ先が内側に入っているネムリバリを選ぶ人も多くなりました。このホタバリ、口膜のハリ穴が広がってきても、ハリ外れが少ないのです。掛かったハリを外すのに手間取るくらいです。若干軸太なのが不満点ですが、バラシを減らすには効果的なハリですね。
タコベイト、フラッシャーなどを組み入れてアピールを高めるのも良い作戦です。しかし、これでホッケ、サバなどの妨害も増えます。水中ランプなども同様ですが、個体数の少ないアカムツに食いつかせるには、アピールアップか素バリが良いのか一筋にいかないわけです。
私は基本的に素バリから始めます。アピールグッズはおまじない程度にしか考えていませんが、おまじないが効いて本命をゴッソリと釣られたことがありました。状況を見て使い分ければ良いのですが、アカムツは時合が短く、気がついたときは手遅れという場面が多いのです。事前の状況などから判断して使い分けてみましょう。
エサはホタルイカ、サバ、サンマの切り身、イカタンなど。幅1.5cm、長さ8~10cmくらいにカットします。ホタルイカは胴から引き抜いて目の間にハリを刺しましょう。キモと目玉が取れると喰いが悪いので、マメに交換しましょう。ホタルイカと切り身の抱き合わせも効果がありますが、ハリスの絡みを考えてハリに刺しましょう。スルメイカがエサ取りになる場合もあり、こんなときはサケ皮など丈夫なエサが良いです。
タックルはオモリ200号を背負える2m前後の竿。ヤリイカ竿、ビシアジ竿などで、誘える先調子で掛かったら胴に乗るタイプが理想的です。リールはPE4~6号を300m巻ける電動リールを使います。
釣り方は、まず底を取り、ゆっくりシャクリ上げるようなアクションで5m上まで誘い上げます。アカムツの泳層は底から3~5m上といわれているので、3本バリ仕掛けなら全長5mくらいなので底ベタの置き竿でもカバーできる範囲ですが、アカムツは誘いに良く反応するのです。
根を回遊してはいますが、基本的に根魚なので上に注目しています。ゆえに落とし込みのアクションが極めて有効です。スーッと誘い上げて止め、ゆっくり落とし込む。これが基本パターンです。オニカサゴの片天秤仕掛けもアカムツに使えます。静岡県駿河湾では全長を長くした片天仕掛けが標準です。底を切ってフワッと誘い上げましょう。
アタリが出たらその位置で竿を止め、一呼吸置くくらいで聞き上げ。大きく引き込まれたら、手巻きで5mくらい巻き上げます。いわゆる巻きアワセで、強いアワセは禁物です。そこから中低速で電動スイッチオン。引き込まれてスプールが止まるくらいのドラグ設定。ズルズル滑らせるというのは、あまり良くないです。
アカムツは水圧変化に強く、水面まで気を抜けません。強い引き込みがきたら即に対応できるように手持ちで巻くことが肝心。取り込みはハリスを緩めないように注意してタモ取りしましょう。
今年もシーズンインとなって、青森、秋田、山形で釣果が出ています。2kgに迫る大型も上がるシーズンです。極上の食味と釣りを楽しみに行きましょう!
※取材テキスト・写真提供/針生秀一