釣行記

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[連載]常笑upcoming fishing!☆第16回 東北シロギス事情 ~前編~

針生 秀一 2023年4月9日 更新

連載:針生秀一さん 第16回 東北シロギス事情 ~前編~
※この記事は2014年7月にプレミアムメルマガで配信したものです。

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様々な魚がターゲットとなる夏。なかでもシロギスは日本海側ではポピュラーな釣魚ですが、東北の太平洋側では馴染み薄いですね。しかし太平洋側でも日本海側に比べれば魚影は薄いながらも、宮城、福島だけでなく岩手三陸にも実績ポイントがあるのです。そこで今回、次回と投げ、船で狙うシロギスをガイドしてみます。

初夏からは、ごく浅場でシロギスがよく釣れる時期です。ポイントとしては、潮通しの良い波が静かな砂浜で砂泥が少ないところ。小砂利、砂礫のきれいな遠浅の浜というのがシロギスが寄る条件です。

東北のシロギスといえば日本海。数釣りも楽しめる(写真は山形庄内浜で5連を達成したつりえさマリン仙台新港店の和地店長)

私がシロギスを初めて釣ったのは40年前。牡鹿半島の十八成浜での投げ釣りでした。ここは、こんな条件がピッタリ当てはまります。当時は塩釜港から鮎川港までフェリーが出ていて、夏休みには、それに自転車を乗せてキャンプをしていたのです。それで十八成浜のキャンプ場前の砂浜で、投網でシロギスを獲っていたのを見たのがきっかけでした。それから釣りの本で釣り方を調べて再度釣行したが釣れず、翌年夏に父親と行って、やっとシロギスを釣ることができました。

1973年頃の仙台近郊の釣り場では、アオイソメが朝鮮ゴカイと呼ばれて売られていて、水ゴカイに砂ゴカイ(これは同じゴカイを砂か水に入れるのかの違い。投げには砂のほうが締まって切れにくかった)の枡での量り売りが一般的で、イワイソメ、マエバ(松島湾地堀りのイソメ)は高値でした。当時の牡鹿半島から北での釣りエサといえばエラコだったので、アオイソメはR45の矢本にあった釣具店で購入して鮎川に向かいました。ここには当時は珍しいアオイソメの自販機があり、エサの自販機を見たのはこの釣具店が初めてでした。

タックルはオリムピックの「アマゾン」に代表されるグラス投げ竿に、「93型」などのスピニングというのが当時の投げ最先端。まぁ、これは父親のもので、私は「フレンド360」とリールは「スパーク」。ナイロン5号の道糸でしたから、4色(一色25m)飛ばすなんて夢でしたよ。こんな道具立てでジェット天秤で巻いていたとき、あのプルプルというアタリが手元にきた瞬間は鮮明に覚えています。エサはジャリメ(イシゴカイ)じゃないと釣れないのでは?と不安でしたが、これでアオイソメでも十分に釣れると確信しました。

このころの釣りの本には、まだ東京湾でのアオギスの脚立釣りが紹介されていて、その特エサとして東京スナメ(ギボシイソメ)いわゆるチロリのことが書いてありました。なにせ八丁寄せ、だいたい800m四方のキスが寄ってくる効果があると記述があって、こんな記事にときめいていました。当時の宮城でチロリを売っているのを見たことはなかったです。

現在は仙台の「釣りえさマリン」で販売していますが、しかし入荷は不定期のようです。近年、キスの特エサとしてチロリが再注目されてきて、重宝されています。この赤色が効果絶大と言われます。振動などの刺激や温度で身切れが多くなるので、購入したら持ち運び、取り扱いに注意しましょう。

あれから現在まで、私がシロギスを釣ったことがある宮城、岩手のポイントを上げてみます。南から山元町の磯浜と釣師浜、中浜小学校前、笠野浜一帯。牛橋公園前から亘理町の吉田、大畑浜。岩沼は二ノ倉、緑地公園前一帯。仙台空港前から名取の閖上サイクルスポーツセンター前。仙台に入って深沼海水浴場のテトラ南に北サイドから新浜にかけて。七ヶ浜は菖蒲田。東松島は大曲から山西造船前、石巻は渡波佐須袖浜の水産試験場前。そして牡鹿半島十八成浜に網地島の網地白浜と池の浜。女川は塚浜に雄勝の浪板。ずっと北上して、私が釣った太平洋側最北が岩手県広田湾、高田の松原海岸と気仙川河口です。

七ヶ浜の菖蒲田海岸はイシモチやカレイ釣り場として知られているが、シロギスが釣れたこともある。最近は湊浜も実績あり

初夏から秋まで好期なシロギス

これらは投げ釣りが多いですが、閖上、笠野、そして網地島では船からも釣っています。十八成浜ではゴムボートでもシロギスを釣りました。これで30匹釣ったことがあります。これらのポイントは、今のところ釣りで入れないところも多いですが、徐々に復旧してきています。

一番に驚いたのは気仙川の河口。R45気仙大橋の下で釣れたときです。これは確か平成10年頃、陸前高田「村上釣具店」さんから河口でキスが釣れるという話を聞いて半信半疑でルアーロッドで投げてみたら、ブルンときてビックリ。立派なシロギスが釣れたのです。

関東では河口にもキスが入ってくるという話は聞いていましたが、岩手の気仙川で釣れたのには驚きました。9月には高田松原の砂浜でもキスを釣りました。本格的なサーフの投げタックルで釣っていた人もいて、密かに情報も交換しました。高田松原の砂浜が復旧したら、また狙ってみたいです。

これらのポイントでのシロギスは偶然やレアなものではなく、時期とポイント選定、釣り方を確認して狙えば、釣ることは難しくありません。これから秋までが好期です。日本海側と比べればツ抜けで大漁という程度ですが、この手探り感も面白いものですよ。

後編につづく…次回は投げキスのテクニック編と、男鹿の船キスガイドです!

次回は秋田・男鹿沖の船キスも解説!

※取材テキスト・写真提供/針生秀一

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