釣行記

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[連載]常笑upcoming fishing!☆第24回 コマセマダイをガイド!

針生 秀一 2023年4月10日 更新

プレミアム連載:針生秀一さん 第24回 コマセマダイをガイド!
※この記事は2015年5月にプレミアムメルマガで配信したものです。

乗っ込みが最盛期を迎えてきているマダイ。東北地方ではマダイジギング、ラバージグにひとつテンヤなどの釣りのほうが盛んですが、これからの時期はコマセ釣りも面白くなってきます。

東北では山形、秋田、青森の日本海側にマダイ釣りの好ポイントが多くあります。夜の電気釣りに、秋田男鹿半島周辺などでのアオイソメ、イワイソメなどのエサでの横流し釣りも根強い人気があります。

乗っ込みのマダイは良型主体

私が初めてマダイ釣りをやったのは神奈川県三浦半島剣崎松輪港から出船するコマセダイです。あれは1989年10月だった。当時の釣り雑誌で読んだ東京湾のコマセダイの記事が印象的で、チャンスがあればマダイを釣ってみたいという思いが強くなっていたのです。そこで大好きなジャクソン・ブラウンの来日公演に合わせて、当時、都内勤務で沖釣りにハマっていた友人と一緒に釣行しました。

竿は友人から借りたダイワの「PG剣崎」だった。カーボウィスカーパワーメッシュとかのハイエンドのリリース前後だったでしょうか?カーボンロッドといえば、オリムピックの「センチュリー・世紀シリーズ」が釣具店の棚にズラリ並んでいて輝いていた。リールはリョービの「アドベンチャー」で、PEラインが出始めの頃か?まだテトロン道糸が一般的でした。私は、よつあみの「タフライン」6号を巻いていましたよ。平成時代の始まりで、東京都内はバブル景気に弾けていましたね。

思い出すとコンサート会場は、今は無きMZA有明・東京湾ベイエリアでしたね。あの500名規模くらいのホールでジャクソン・ブラウンを観られたというだけでも嬉しかった。ジャクソン・ブラウン自身のバースディで素晴らしいライブでした。ええ、もちろん2015今年の渋谷オーチャードホール公演にも行ってきましたよ。日本人なら、特に東北の我々には忘れることができない3月11日です。

スリーマイルの原発事故で、ノーニュークスライブの中心になったジャクソン・ブラウンですから、原発事故について意味深いMCをしました。No Nukes Fukushima~で歌ったのは「Before The Deluge」。そうですジャクソン師匠、私も核の無い未来を信じていますよ。

大きく脱線してしまいました、申し訳ありません。本題のコマセマダイに戻します。

東北地方でのコマセマダイは日本海側が中心になります。山形、秋田、青森エリアで、船からのコマセが条例で許可されてから、徐々に浸透してきています。

GW頃まではプレ乗っ込みといわれる、冬季に深場に居たマダイが産卵のために浅場に移動していく途中で、イワシなどのベイトを盛んに捕食して体力アップしようという時期に、ジギングなどのルアーで狙う釣りが盛んですね。これが一段落してくると、コマセ釣りのマダイが面白くなってきます。新潟エリアでは、プレ乗っ込みからコマセ釣りが人気となっていますね。昨年は上越沖での記録的な爆釣が話題に上りました。

山形県酒田市から飛島沖へ。マダイ狙いには絶好のポイント
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コマセマダイの基本

コマセダイの基本はタナ取りとコマセワークです。磯の上物釣りに例えて、船をウキと考えれば解りやすいと教えられました。つまりコマセカゴはガン玉という思考で、コマセの流れから食わせダナを測るという組み立てで全体像を想定。いわくコマセダイは将棋の手を構築するようなものだそうです。

これではコマセ釣りに馴染みの薄い釣り人には、ちょっと解り難い。基本的なタックルと釣り方の流れをガイドしてみましょう。

竿はマダイ専用がベストですが、胴調子に近いヒラメ竿や、6:4調子くらいで30~50号負荷2.1~3mくらいの竿が使えます。置き竿でうねりを吸収して竿先が跳ねない、オモリ負荷に負け気味の竿が良いでしょう。仙台湾、三陸、陸奥湾でのヒラメ釣りに使っている竿に、こんな調子がありますね。

リールはPE3~5号を300mくらい巻けるサイズの電動がベスト。かつては6号300mという、シマノなら3000サイズが主体でしたが、今ではオーバーサイズでしょうか。東京湾での軽量ビシ、細糸でのライトマダイではPE1.5~2号でシマノ400サイズも使われています。ドラグ性能の良いものを選びましょう。基本的にコマセダイは置き竿主体の釣りですが、終始手持ちで釣るスタイルもあります。

コマセダイで使うビシカゴはステン缶(鉄仮面など)とプラビシです。プラビシには、「サニービシ」やダイワ「シャベルビシ」といったものが多く使われています。サニービシならLサイズが適当です。オモリは80号が主体です。少々ライトで60号ならFLサイズでも良いでしょう。

ビシの調整が大事です。コマセダイでは振り出しだけでなく、タナを取り、アタリを待つときでもパラパラとコマセが出るという調節がベスト。基本となるのは上の穴からコマセが出るような設定です。

ステン缶は穴を塞ぐ、開けるだけの調整です。一番下の穴は全部塞ぎ、上の穴を一つおきくらいに開けるくらいの設定からやってみましょう。コマセがオキアミのときに使いやすいです。

サニービシは細かい設定ができます。下は全閉か、振り出しで少しオキアミが出るくらい。上の穴は半分から1/3開きくらいから始めてみましょう。アミコマセ(いわゆる冷凍イサダ)や、オキアミとアミコマセの混合などのとき、サニーは微調整ができるので良いです。コマセの残り具合、エサ盗りの状況から判断して穴の調整をしましょう。

天秤は腕長50cm前後。フレックスで細い形状記憶合金天秤なども良いでしょう。これにクッションゴムは2mmの100cmが標準です。ハリはマダイバリがベストで、号数は8~10号。ヒネリが入っているハリは、エサのオキアミが真っ直ぐにならないのでNGです。

コマセビシはサニービシL80号、FL60号。クッションゴムは2mm、100cm。片天秤は腕長50cm前後という組み合わせ

ハリスはフロロカーボン3~5号。より細いハリスが潮への馴染み、マダイの食いに有利となります。2本バリやテーパー仕掛けに集魚ビーズなど、釣り方で色々なものが使われていますが、基本は1本のストレートハリス。これにビーズなどを入れてしまうと、抵抗でハリスが下に垂れます。潮が流れないときは覿面です。これを解消したのがフロートビーズです。潮に馴染んで付けエサが横に漂うのがベストです。

ハリス長は、私が初めてやったときが3ヒロ、だいたい4.5mでしたが、現在の東京湾では6mから10mといった長さが主流になっています。酒田沖では6mで釣り、新潟上越では10~12mを使いました。ロングハリス釣法発祥の駿河湾御前崎沖では、15~20mという設定だそうです。これ、どうやって正確に測るの?

ロングハリスに関しては、かつて男鹿半島のアオイソマダイで経験しました。乗船してから、潮と風を船長が判断して使うオモリが決められます。そのオモリ号数に合わせたハリス長、例えばオモリ80号ならば12ヒロで、100号なら15ヒロだいたい22.5m、という設定です。これ測るのに難儀しましたよ。潮が速いのでコマセは効きにくい、船影をマダイが警戒するので、潮に乗せてエサを船から離してマダイに食わせるためとのことでした。

コマセダイのロングハリスも同様です。特に産卵期の警戒心はマックス。船、ビシから離した位置でないとエサを捕食してこないのです。アジなどはコマセの中に突っ込んで捕食してきますが、マダイはこぼれた遠巻きなのです。

釣り方の手順です。ポイントに到着、タックルをキーパーにセットしてコマセバケツの中にビシを置きます。ハリスをセット、最初は仕掛け巻きに巻いたままで取りつけ、外しながらハリスを座席に丸く置いていきます。釣り座のない船なら、空のバケツに海水を入れて、そこにハリスを入れていくと絡みにくいです。

コマセは半分から八分目くらい入れます。オキアミはコマセの中から選んでも良いですが、付けエサ用のものを用意しておくと、選ぶ手間が省略されます。ハリに真っ直ぐ刺して船縁に置いておきます。

さて投入です。まずビシから海に入れ、トモ側の手でハリスをつかみ、ここでリールをクラッチオフ。ミヨシ側の手でリールをサミングしながら落とし、ハリスを手の中で滑らせ、付けエサの手前で手を離します。ハリを刺さないように、落ち着いてゆっくりやれば難しくないですよ。

さてタナ取りです。船長の出す指示は底からと海面からの二つに分かれます。これはポイント、時期により、船長の釣らせ方によって違うのです。

底からの場合は、底からハリス分、またはハリス分プラス3mとかの指示が出ます。まず底まで落として道糸が真っ直ぐになる位置まで底を取り直し、その位置から指示ダナまで巻いてタナを覚えます。そこから5mくらい落として一担ハリスが馴染むのを待ち、2~3回コマセを振り出します。そして指示ダナに戻して待ちます。

海面からのとき、タナは50mと言われた場合は、一度指示ダナ(上から50m)を取って、その位置より5mくらいビシを落としてコマセを振り出し、指示ダナに戻して待つというやり方です。

どちらでも道糸のカラーで正確に測ることが大切。リールのカウンターは目安です。最初の道糸を正確に10mにカットしておきましょう。ひとりで違うタナを取り、ビシをガンガンと動かすなどは、警戒心の強いマダイを散らす要因になってしまうので、タナ取りは正確に、そして静かに待ちましょう。

待つ時間は状況によりますが、測って仕掛けを回収、付けエサをチェックして判断します。エサ盗りが入って小さなアタリで瞬時に取られてしまう。まったくそのままで取られもしない、など色々です。

そこで最初に戻って投入。タナの取り直しをすれば、その過程が落とし込みや誘い上げといった誘いになるわけです。これで食いのタイミング、パターンを探ることが大事。置き竿で退屈な釣りではないのですよ。

産卵を控えた立派な魚体

ググッと竿が引き込まれた!春ダイは大型が出ます。

ゆっくり大きくアワセを入れます。大ダイの最初の走りは強烈。このためにドラグはしっかり調節。強く締めた設定では、この最初の走りでハリス切れも出てしまいます。手で強く引くとドラグが滑るくらいに設定しておきましょう。これを凌げれば、あとはドラグ設定を変えない。ドラグを効かせて巻き上げ、二度目の突っ込みにも対処できますよ。

取り込みはビシを取ってバケツに入れ、ハリスを手繰り、構えるタモに導き入れます。

計算して釣りを組み立てていくコマセダイ。違った面白さを味わえます。ぜひトライしてみて下さい。

2kgサイズがそろう
コマセダイで頼りになる、シマノ探見丸

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PROFILE:針生 秀一

船釣りを中心に、防波堤や河川の小物釣りなど、なんでもこなすオールラウンダー釣り師。全国各地の釣りと釣り具の知識が豊富で、釣りの生き字引的存在。泉区のロックバーラグ(Rag)オーナー。シマノフィールドモニター

※取材テキスト・写真提供/針生秀一

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