エサは餌屋! 第1回「青イソメへのこだわり」
プレミアム連載:エサは餌屋!
第1回「青イソメへのこだわり」
普段、何気なく買って使っている釣りエサの基礎知識からちょっとした小ネタまでを紹介する連載企画。初回は活きエサのスタンダードであるアオイソメについて、つりえさマリン仙台新港店の丹野社長と和地店長に訊いてきました。
※この記事はプレミアムメルマガ連載として2013年6月に配信したものです。
【仙台湾と三陸はアオイソメの一大消費地】
アオイソメが日本に普及したのは今から30~40年前。それまで活きエサ(環形動物類)といえばミズゴカイや三陸のエラコ、仙台周辺だとマエバなどが中心だったが、安定した供給量と価格の安さ、使いやすさで、スタンダードな釣りエサとしての地位を獲得した。
当初、イソメの輸入は韓国からが主流。つりえさマリンの丹野社長が釣り餌屋(現在の新港店の場所に屋台でスタート)を立ち上げた15年くらい前は100g1,000円前後が相場だったが、大連との直行便の開通に合わせて中国ルートを開拓。当時の円高の影響もあって、破格の安値を実現した。
周知の通り、仙台湾はマガレイ釣りが盛ん。三陸のマコガレイも含め、多量のイソメをエサとして使う東北太平洋側一帯は全国でも有数のアオイソメ消費地となっている。
【アオイソメの保管方法】
―イソメを砂と一緒にパックする理由を教えてください。
「アオイソメのパックに砂を入れると、イソメとイソメの間に砂が入って酸素がいきわたりやすくなり、エサが長保ちします。イソメだけ入れるとダンゴ状に固まってしまいますが、1匹1匹が動きやすくなり、酸欠を防げます。適度な水気と酸素の濃度を保ち、また、弱ってきたイソメから出た体液も砂が吸うので、互いに痛め合うのを防ぐ意味もありますね」
―海水に入れる場合の注意点は?
「海水に入れるとイソメを活かすのが難しくなるので、基本的にはおすすめしていません。店舗では常にイソメが空気に触れるよう、ケースに薄く海水を張り、適量のイソメを広げて活かしています。海水を入れた袋にどっぷり漬けてしまうとイソメが溺れて弱ってしまいます。海水に入れるときはできる限り表面積を大きくして、イソメに酸素がいきわたるように注意することと、保冷材などで適温を保つことが重要です」
「空気を吸えないのも問題ですが、ずっと海水に漬けておくとイソメが水っぽくなるというのもありますね。水から出して砂にまぶしておくことで、適度にイソメが締まるというのはあると思います。あと、季節や産地によってイソメが好む海水の塩分濃度は異なります。お店では塩分濃度にも気を配っているのですが、塩分の調整は一般の方にはちょっと難しいので、お店の指示に任せてください」
【家庭でアオイソメを活かす方法】
―アオイソメを持ち帰って釣りに行くまで時間がある場合の保存の仕方を教えてください。
「アオイソメの適温は6~10℃くらい。ですので、ご家庭では冷蔵庫の野菜室に入れておくのがベストです。野菜室が一杯で入らない場合は、イソメのパックごと新聞紙で包んで冷え過ぎないようにして、冷蔵庫内に保管すればOK。これで翌日くらいまでは十分に活きを保てます。翌日以降もすぐに死ぬようなことはありませんが、活きが売りでもあるので、早めに使って上げてください」
【釣り場への運搬方法】
「釣り場へは必ずクーラーに入れて運搬し、氷や保冷材等で10℃前後に保つよう温度を調整してください。キンキンに冷やせばいいものでは無いので、氷などと一緒に入れる場合、間にタオルなどで壁を作ったりして、冷気に直接当てないように工夫しましょう」
【釣りの最中の注意点】
「エサ付けした後のイソメの切れ端はパックに戻さず、捨てるか他の所に保管します。切断面から出るイソメの体液が他のイソメも弱らせてしまいます。また、気温の上がりやすい夏場はイソメも弱りやすい季節。極力、クーラーの外にエサを出さないように注意し、たとえ面倒でも、エサ付けの時だけクーラーから出して使い、こまめにクーラーに仕舞わないと確実にイソメは弱っていきますよ」
【季節によるイソメの違い】
「初夏の頃はイソメの産卵期にあたります。今頃の季節に手に入るのは細めから中太までになり、気温が高いこともあって弱りやすいので注意が必要です。逆に入荷が安定しているのが冬場で、細めから2Lと呼ばれる太いイソメも入ります。東北では2Lくらいまでしか使いませんが、北海道では3Lというようなさらに太いイソメも使うそうです」
【その他のエサ使いテクニック】
「エサの活きを保つ話をしてきましたが、投げ釣りなんかではわざと1日半くらい置いてから使うこともあります。これは使う人の好みですが、エサ箱にバーミキュライトと一緒に入れて、適度に水分が抜けて、エサが(締まって)切れにくくなります。もちろんしっかりと温度を調整して保管するのをお忘れなく」
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