越喜来湾ユメカサゴとメガラの深場リレー 赤魚の多点掛けに大興奮!
※2016年2月掲載の記事です。
最も寒さが厳しい時期ですが、冬ならではの釣り物があり、これが寒さを忘れて熱中する面白さなのです。この冬もシケの合間を見て、せっせと海に繰り出しましたよ。
まず面白かったのが越喜来湾沖でのユメカサゴ(地方名ノドグロ)です。メヌケ、マダラなどの釣りでゲスト扱いだったユメカサゴですが、これをメインターゲットとして釣り方を確立して注目を集めてきています。
※三陸周辺でノドグロと呼ばれているもののほとんどはアカムツではなくこのユメカサゴです。
25cm程度のユメカサゴを300号オモリの深場タックルで釣るなんて、釣り味はイマイチだろうという先入観を持つ方も多いようです。これがやってみると、誘って明確にアタリを出すような釣り方、送り込みの具合で多点掛けをするテクニックなど、実に面白い釣りなのです。
なんといっても大船渡沖はユメカサゴの魚影が濃く、良い時は50匹を超える釣果が出ているのです。赤い魚を多点掛けで取り込む気分は良いですね。これにバラメヌケ、マダラにマゾイも本命逆転で交じってきますから、釣り応えも十分なのですよ。
冬場は特に赤物、根魚が嬉しい季節。そこに上州屋新盛岡店の富澤さんから崎浜港「荒神丸」のユメカサゴ、メガラ(ウスメバル)の赤物リレーへのお誘い。釣友の庄子くんと崎浜港に向かい、午前6時半に5名の乗船で出船しました。
水深160mの深場でユメカサゴ(=三陸ののどぐろ)狙い
早朝の穏やかな海上を走り、50分ほどで綾里崎の北沖のポイントに到着です。探見丸の画面には水深160m。ゆるく駆け上がる程度の平坦な底形状が出ています。
皆さんは片天秤の3~5本バリ仕掛け。私はソウハチガレイサビキ6本バリをセレクト。エサはイカタン、サンマ、サバ切り身、ホタルイカを用意しました。食いつき具合を探るのに、各種エサをハリに刺してみます。
合図で一斉に300号オモリを投入。しかし私は、途中でサバに捕まり早急に回収です。取り込んだサバは銀ピカの最高の切り身エサになるので即に捌きます。
皆さんにアタリが出て追い食いを誘い、頃合いを見て巻き上げ開始。富澤さんは3点掛け、庄子くんは4点掛けと、続々とユメカサゴを取り込んでいます。サイズは25cm前後でまずまず。3kgほどのマダラも上がりました。これは最初から食い好調!私も釣りたて銀ピカのサバ切り身を刺して投入します。
着底して糸フケを巻き取ると、即にククッと竿先を揺らすアタリ。そこでサミングして1mほど糸を送り出します。船のピッチで竿先のテンションが戻ってくると、またアタリが続いて出ます。これを繰り返したところで巻き上げ。船ベリ停止で海面を見ると赤い魚影が見え、4点掛けでユメカサゴを取り込みました。
ユメカサゴは根の切れ目、根際から続く比較的平坦なところに多く、これはオニカサゴと同様に、小岩に模して寄ってきたベイトを捕食しているのでしょう。
このために片天秤仕掛けの吹き流しで誘い釣るのが食わせ易いのですが、ユメカサゴは上を向いているので、ただ這わせているだけでは食いつきがいまひとつ。底で仕掛けを踊らせて誘うことが重要です。仕掛けの全長は2mくらいで、エサが踊りやすい先バリを天秤から30cm以内に結ぶと誘いが効いて反応が早い。これはオニカサゴ釣りと同じ設定ですね。
サビキなどの胴突き仕掛けはアタリが明確に出て、道糸の送り出しで多点掛けを狙うのが面白いところ。そのために、私は道糸と仕掛けの間に20号くらいの中オモリを組み入れています。片天秤、胴突き仕掛けのどちらも基本的な釣り方は共通で、オモリトントンくらいの底取りで仕掛けを歩かせるように誘い、アタリが出たところで追い食いを誘うという組み立てです。
仕掛の這わせっぱなし、道糸の送り過ぎはオマツリや根掛かりなどトラブルの原因になるので注意です。ユメカサゴは落ちてくるエサに反応良く食いつきます。深海釣りで言われる「魚が食った分だけ糸を出せ」これが基本。
目安としては1mくらい、道糸のマーカーを見て送り出します。そしてアタリが止まったら少しだけ底を切ってカウントして落とし込み、仕掛けを移動させます。これで仕掛けが張ってくる瞬間の食いつきに、次の落とし込みでの反射食いを誘うのです。
もっと食いつくはずだと、しつこくやっていてはトラブルのもと。両隣の道糸の角度、風、船の流れ具合を判断して巻き上げましょう。「荒神丸」では巻き上げ、再投入も基本的に各自の自由ですが、潮の速い時などは一斉投入、巻き上げもあるので、こんなときは続けて投入して良いか、可否を江刺船長に聞いてみましょう。
この日の食いつきは良く、皆さん20~30cmのユメカサゴの数を重ねていきます。しかし10時頃から北西風が強くなってきました。根に上がっていくところでバラメヌケも期待でしたが、ここでメガラ釣りに転向。越喜来湾口に向けて戻ります。
後半は湾口100mエリアでのメガラ(オキメバル)狙い
大型メガラの揃う綾里崎前は風で厳しく、首崎から越喜来側の内側に入ります。険しい断崖の前で、強い北西風を避けられるポイント。水深は110m。オモリ120号のメガラタックルに変えて、ハリス3号サメ腸皮、グリーンフラッシャー6本バリのメバルサビキにアカタン、サバ切り身で投入します。
探見丸を見て、底の起伏に注意して底を取り直します。左ミヨシからアタリが出てきて、そこで一旦タナを高めにして次のうねりに合わせるように落とし込んでいくと、ガタガタとアタリが出ました。船の上下を竿の操作でかわすようにしてタナを保つとアタリが続き、これが落ち着いたところで巻き上げ。25cmほどのメガラを4点掛けで取り込みました。
庄子くん、富澤さんも4点掛けで、ハリ数パーフェクトにはならないものの活発なメガラの食いつきです。
「綾里側のほうが大きいのが上がるけど、今日は風が強くなって厳しい。まず、ここは少し型が細かくなるけど数が上がるところだよ」と江刺船長。急深のリアス式三陸海岸。少しの移動で水深は80~120mと変わり、ピンポイントにピッタリ立てるように釣っていきます。
メガラはクロメバルに比べて深場を釣りますが、比較的高低差が小さいポイントが多く、基本的にタナは底ギワです。しかし、底にオモリを置くようなタナ取りはNG。
海藻のあるところや、少しの底の起伏変化に群れることも多いので、底からオモリを1mくらい切って、うねりでの仕掛の上下を竿でかわしてタナを取り、マメに底を取り直すことが基本です。これが食い渋るメガラの反射食いを誘うことになります。
最後に80mダチでメガラを上げて1時半に沖揚がり。私は25cm前後のユメカサゴを22匹、20~30cmのメガラが21匹で、クーラーが赤い魚で埋まりました。富澤さんはユメカサゴ28匹、メガラは庄子くんも21匹上げていて、皆さん両魚合わせて40~50匹ほどの赤物で、リレー釣りを楽しめました。
「ユメカサゴ釣りは江刺船長の擦り寄るような流し方が良い、そしてメガラの立て方とポイントの見切り方も呼吸が合う」と庄子くん。冬の越喜来湾の根魚釣りは面白い。ぜひ皆さんも出かけてみてください。
次は仙台湾亘理沖のクロメバル、カレイ、クロソイをレポートします。これも実に面白かったのですよ!
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[作り方]
海水より濃いくらいの塩水に20~30分浸け、干し網などで干すだけ。冬の寒風なら半日くらいでOK!
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※取材テキスト・写真提供/針生秀一
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