釣行記

東北の有名アングラーらによる釣行リポート!最新の釣況情報、テクニックをカバー!!

釜石磯アイナメ スポーニングパターン攻略

小山 哲平 2021年12月2日 更新

各地で盛り上がりをみせているロックフィッシュゲーム。釜石周辺のアイナメも外洋寄りの釣り場からスポーニングに入り、湾内のポイントでもノッコミが始まるこれからは、最もアツい季節となる。
※2010年12月掲載時の情報です。

たどり着いた地磯でスポーニングど真ん中に遭遇

この日の釣り場は外洋に直接面した小さな入り江。アクセスにはリアス式海岸の急峻を登り降りする必要があるが、比較的早い時期からスポーニングが始まるというポイント

「どうも大型の産卵のピークとバッティングしたみたいで、魚の反応はかなり渋かったです。それでも47~48cmのアイナメが出たんで、状況的にはまあまあだと思います」とは、実釣&解説をお願いした釣具オヤマの小山哲平さん。

12月1日、小山さんはお店の常連さんらとともに、プリスポーンのアイナメを狙って磯ロック釣行。目指したのは外海と直接面した小規模な湾状の地磯で、比較的早い時期からスポーニングの大型魚が入ってくるというポイント。

釣り場に着くと、湾内の所々に黄色いアイナメの姿が見え、まさにスポーニング中という状態だった。「プレスポーニングやアフタースポーニングならいいんですけど、黄色いオスがネストを張るようになると、いったん大型が釣れなくなるんですよ。この日はまさにそんな感じで、黄色いオスや小中型はポツポツ出るんですが、プリスポーンの大型のメスがなかなか食って来ない、そんな感じでした。ベタナギでかなり釣りやすいコンディションではあったんですけどね」

この日のように、苦しいパターンに遭遇したときは、思い切って場所を変えてみるのもアリなのだが、釜石周辺を含む三陸海岸の場合、急なアップダウンを乗り越える磯場が多く(時にガケあり!)、場所移動もひと苦労。今回は特に難所で、近くに有力ポイントも無かったため、この状況下でなんとか粘ってみることにした。

明らかにスポーニングで入ってきたであろう45cmのプリ個体。主な使用ルアーはガルプ!ソルトウォーター パルスクロー3″やガルプ!ジギンググラブ4″。これらガルプ!シリーズがすぐ爆死してしまうような状況下では、パワーベイトシリーズのクレイジーレッグ・チガークロー4″などがオススメ(ルアーはいずれもバークレイ)
 
[PR]

ゆっくり焦らずネチ&ズルで攻める

釣り場に入ったらまずはアップテンポな釣りでその日の魚の活性を判断し、そこから釣り方を変えるというのが、小山さんのスタイル。前述のように、この日のアイナメはスポーニングの真っ最中で活性が低かったため、早々にスローテンポな攻め方にシフトした。

「そこのエリアは水深7~15mくらいと結構深い場所なんですが、最初18gのタングステンシンカーを使っていたのを3/4~1oz(約21~28g)くらいの重めにチェンジして、ストラクチャーの周りをゆっくりと攻めました。小さなリフフォで、石の周りをブルブル、ネチネチと攻めるイメージです。幅の大きいリフト&フォールでは魚の目の前をすぐに抜けてしまいバイトにつながりませんから、こういうときは焦らないことが大切です」。ルアーのカラーやタイプはそれほど釣れ具合に関係しないそうだが、食いが渋いときには色々試してみるのも効果的とのこと。

小山さんはネチネチ系の攻め方でプリスポーンの魚を探り、見事48cmの良型をキャッチ。確実に50cmオーバーもいるはずのポイントだったが、この日は残念ながら遭遇せず
常連のKさんがキャッチした48cm。産卵絡みで湾内に入ってきた大型のメスは産卵後、深場へ落ちる前に荒食いするので、そのときがチャンスになる

のっこみアイナメは、まずはパターン攻略から

アイナメは意外と行動範囲が広く、特に産卵期のアイナメは産卵の段階とともに着き場が移る。今回の釣り場も、取材の1週間前はまだプリスポーンの状態だったそうだが、荒れて釣りができない間にいつのまにかスポーニングに入ってしまっていた。今後、さらに10日ほど経つと産卵はひと段落し、黄色い個体が見えなくなり、アフタースポーニングのメスが釣れ始まる。アフターの個体はスポーニングエリアよりも少し湾口寄りの、流れの緩いところで体力を回復することが多く、そこを狙うことで、50cmオーバーのビッグサイズを手にする好機になるそうだ。

また、アイナメのスポーニングには、エリアによって1週間から10日ほどズレがあるのが普通。この日のシャローエリアでは30cm前後の中型クラスしかヒットしてこなかったが、大型魚は今回のような岬の先端付近からスポーニングを始め、徐々に湾奥側がシーズンに入るというのが例年のパターン。今後、1月中旬くらいまでは、各エリア毎に段階を追って、湾内の広範囲で良型が釣れ続く見込みだ。

というように、パターン攻略が非常に重要なスポーニングの釣り。アイナメの動きをつかむという意味では、秋のシーズンインからポストシーズンまで一つのエリアに絞って通い込むのも一手。これをすると、季節と状況に合った釣り方を考えられるようになるので、一歩上への上達の早道となるそうだ。

最後に、磯ロックは常に危険と隣り合わせの釣りだ。釣行時は単独行動を避け、ライジャケやスパイクブーツなどの安全装備は必ず用意したい。また、天候の落ち着いたタイミングを選ぶのはもちろん、予報が外れて波やウネリがあるときなどは現場から引き返す勇気も必要。とにかく何よりも安全第一で、楽しく釣りをしていただきたい。

常連のS氏がキャッチした47cmの黄色いオスアイナメ。イエローの魚体が真っ先にヒットしてくるようなときは、渋い戦いを覚悟した方がいいだろう
小山さんの使用タックル=ロッド:ボトムノックB701H(シマノ)、リール=スピードマスター201(シマノ)。ロッドは小山さんおすすめの1本で、「レングスがあり、遠投性も十分なので、磯にピッタリ。50UPを獲るために十分なパワーを備えながら、従来のロッドより穂先を少しだけ軟らかめにしてあるので、小さいバイトを乗せやすいんです。大型の繊細なバイトは慣れないとアワせきれないことが多いんですが、この竿ならフッキング率が格段に高まりますよ」

取材・解説/小山哲平
取材協力/釣具オヤマ(TEL:0193-23-7754)

PROFILE:小山哲平

釜石市の釣具オヤマの若旦那。ロックフィッシュではハンター塩津氏とも釣友という腕前の持ち主。その他、イカ、サバ、トラウトなど、釜石周辺のあらゆる釣り物に詳しく、情報やアイテムを任せて安心

 

◆記事に書けない裏話や質問への回答はweb版 無料メルマガ (毎月25日発行)で配信中!

YouTubeチャンネル登録もお願いします!

?
[PR]
Amazon堤防Amazon堤防釣り初心者