釣行記

東北の有名アングラーらによる釣行リポート!最新の釣況情報、テクニックをカバー!!

前打ちクロダイ年無し連発!

熊倉 学 2020年11月24日 更新

新潟の前打ち釣りで、年無し級の大型クロダイが連日のようにキャッチされている。釣り場は、火力発電所から出る温排水の恩恵で、年中水温が安定している新潟東港・排水口周辺。今年は一体いつまで釣れ続くのか?

厳しい寒波だからこそ温排水に魚が集まる!?

この季節のメイン釣り場となる、新潟東港の排水口周辺。温排水周りに多くのクロダイが集まり、そのまま乗っ込みの準備に入る個体も

今年の新潟は寒波に襲われ、例年以上の積雪となりました。そんな寒波の中でも、楽しい釣りを出来る環境が新潟にはある事を皆さんに知ってもらいたく投稿致します。

私がホームにしているのは、新潟市よりも北に位置する新潟東港。その湾内に火力発電所があり、発電所内で使用した海水をまた海に流す場所があります。流れ出る水の水温は高く、釣り場周辺では10℃を超え、ここに集まった魚達は、深場に移動せずに越冬出来る環境になっています。

ここは、新潟周辺の釣り人の間では「排水口」と呼ばれ、消波ブロックの上から竿を出します。排水口は4箇所あり、そのどれもが排水による激流で、通常の仕掛けでは太刀打ち出来ません。

私がよく使うタックルは、長さ5~6mの前打ち竿のUガイドをテレガイドに変更し、道糸3~4号、ハリス3.5号、オモリに関してはナス型2号と特殊です。

なぜそんな太仕掛けを使わなければならないのかといえば、この釣法ではキワに着く魚をいかに掛けられるかが、釣果を左右するものであり、キワで掛けるということ=糸を切られるリスクが高くなるから。また、魚が浮いてからも、激流に魚が流され、なかなか手前に寄ってきません。3kgを超す魚ではかなりの負荷が糸にかかるため、細ハリスでは少し厳しいかもしれません。

釣れるクロダイはアベレージ45cmほどの良型揃い。ここ数年、冬のシーズンは1月一杯までで終わることが多かったのだが、今季はどういうワケかずっと釣れ続いている。理由は不明だが、震災後の電力不足を補うために、東新潟火力発電所の稼働率が上がっているのも一因かも!?
 
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50cmオーバーの年無しクロダイがヒット!

2月21日に黒鯛を求めて、その釣り場に行ってきました。1~4番まである排水口(ポイント)の中でも、抜群に良いポイントが存在します。例年、そのポイントは変わり、月によっても変化します。いかに最新の状況を把握出来ているかが釣果に繋がります。

この日は、2月16日に53cmを釣り上げている場所に入り、開始後2投目の竿下で40cmクラスを掛けるも、タモ入れ直前でまさかのハリ折れ。少し場所を移動し、激流の中の沈みテトラ際にエサを落とすと、再びすぐにアタリ。アワせるも、首を全く振らず、どんどん沖へ行った後に、今度は右へと逃げていきます。その動きに、いつもの超大型外道と判断し、やり取りし易い場所に移動。格闘準備整いました。

場所移動の際に完全に糸を緩めたため、やっぱり外れたと思いながら仕掛けを回収していたら、何だか途中で重くなりました…。「あれ?気のせいか?」と思い、再度リールを巻き始めたら、今度はハッキリとした魚の引きで、際から離れようとしません。

大型外道なら、ここから本当の格闘に入るのですが、何やら竿を多少は起こせます。それでも異常に重く、魚の姿を全く確認できません。近くにいた釣友と話をしながらやり取りしていたら、姿をやっと現しました。その姿を見た私は少し放心状態に近い感じで、「何で黒鯛なの?」しかも45cmクラスの魚で、何であんな引きを見せるの?ってな感じでした。

激流の中、かなり沖で浮いてきた魚は、両手で竿を掴んでいるために一人ではタモ入れ出来ず、釣友に頼んで掬ってもらいました。タモの中の魚が45cmを優に超えているのはわかりましたが、微妙なサイズ。測ったらまた前回釣行と同サイズ53cm、3270g。

2月21日に釣れた53cm。足下のテトラのキワ~手前付近~沖側まで、ヒットポイントはその時々で異なる。着底したら、誘いながら広範囲にエサを流して、その日のパターンを見付けられるかが勝負の分かれ目となる。温排水の激流をものともせず、足で次々にポイントを探せるのも、前打ちの強み

いつまで続くの?年無しラッシュ

2月27日も吹雪の中でしたが、排水口で良い釣りが出来ました。この日は、開始後、直ぐにアタリ。何とかタモに入ったのは40cmオーバー。これで魚の居場所は大体把握したので、少しポイントを移動。すると、すぐさまなかなかの引きを味わい50.5cm。3匹目は48cmと、またもやアベレージサイズを更新。しかし、あまりにも吹雪が凄いため、うしろ髪引かれながらその場を去りました。

そして3月5日も、またまた年無しが釣れました。条件は後ろからの風で、釣りとしてはやり易いが、波気もあまり無く、釣れるかどうか少し心配しました。しかし、開始直後に46cmがヒット。その後は暫しアタリが遠のくも、時合いなのか喰ってきます。痛恨のハリ外れを2度くらって、再度アタリ。かなり元気な魚です。激流で掛けたので流れに乗ってしまい糸をかなり出されました。糸を出された分だけやり取りに時間を費やし、苦労しましたが、何とかタモの中へ。今年に入り5匹目となる年無しジャスト50cm。

この冬は年無し率が半端なく、これまで私は5匹の年無しを釣っています。また、少し前の釣果ですが、会友が56cm、3350gを釣り上げています。昨年の11月から通せば、全体で20匹以上の年無しが釣れていると思います。最近のアベレージは45cm前後。全国でどこよりも早く乗っ込みシーズンを迎える特殊な釣り場。一度は皆さんも体験されてはいかかですか?

2月27日の釣果。ロッドはリョービのJTスペシャル50/55を、Uガイドからテレガイドに交換して使用。黒鯛工房のリールはドラグを外し、フリーで温排水に流せるよう改造してある。道糸:ナイロン4号、ハリス:フロロ3.5号1m前後(道糸、ハリスはパワースイベルで接続)、ハリ:チヌスペシャル5号(がまかつ)、オモリ:丸型2号
激流の中を流すため、オモリは丸型やナス型の2号前後を使用する。ハリの結び目から垂らした糸に装着することで、ハリにオモリを打つ方法より、オモリがハリスの感度に干渉しにくくなる。これなら激流の中でダイレクトにポイントを撃つだけでなく、激流に流してポイントを探すこともできる

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PROFILE:熊倉 学

新潟東港をホームフィールドに、落とし込み/前打ち釣り専門にクロダイを狙う。狙うは年無し(50cm)以上で、自己ベストは60cm。新潟近辺のほか、静岡の清水港など県外各地にも遠征している。ヘチ・前打ち集団・夢幻会会長

 

※取材・テキスト/熊倉 学(新潟・夢幻会)

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