秋の渓流シーズンにフライフィッシングを始めてみよう!
東北各地で渓流のイワナ、ヤマメが絶好のシーズン。秋雨が降り続いているが、適度な雨は渓魚にとっては恵みの雨。渓流に行けば高活性なトラウトたちが待っている!
フライフィッシャーあこがれの地・岩手へ
奥羽山脈の険しい山岳から流れ落ちる秋田県境側の内陸河川に、幻想的な雰囲気が魅力の遠野周辺河川、河口近くまでイワナとヤマメが生息する沿岸河川と、岩手県は自然豊かな河川の宝庫。
岩手内陸の渓流に釣行したのはバレーヒルのフライフィッシャー松井伸吾さん。美しいフィールドに足を踏み入れただけで目的の半分以上を達成した気分になるが、確実にいい釣り場に行きたいので、渓流のルアーフィッシングを得意とする岩手在住の森本正善さんにガイドをお願いした。
フライは難しいものという先入観を捨てて気軽に入門してみよう
「できたら格好いいけど、ゼロから始めるのは難しそう」などと難しいイメージのあるフライフィッシングだが、ロッド、リールからフライまで全て揃う入門セットで十分に始められる。
「以前は入門セットというと日本の渓流に合わなかったりして使い勝手が悪く、せっかく始めたのに諦めてしまうことも多いのが実情でした。その点、今日使っている渓流用フライフィッシングキットは日本の渓流で実際に釣って試した、そのまま使える即実戦向けなセット内容になっています」と松井さん。
フライロッドはラインの番手でクラスが分けられている。一般的に日本の渓流で最も使いやすいのは#3か#4。あまり広くない渓流域で静かにキャスティングして楽しむなら#3が一番人気。#4は#3よりキャスティングしやすく、ちょっと風がある時などもフライを投げやすくなる。本流域に近い雰囲気のところも狙いたいなら#4にしておくといい。
基本のキャスティングを出来るようになる
釣りを始めるにあたり、まずはフライのキャスティングをマスターしよう。フライキャスティングはフライラインの比重を活かしてフライを飛ばすので、ロッドを強く振って竿を曲げようとしても全く意味がない。あまり力を入れず前後に竿を振って、ラインがきれいに空中を舞うようにコントロールする。
[フライキャスティングの基本的ポイント]
・ロッドの前後間隔は時計の針の11時から1時の角度を守る。
・手首は動かさず、肘から上を竿と一体化させる感覚で振る。
まずは釣り場に着いて釣りを始める前に、広いところでロッドを振ってみて感覚をつかむといいだろう。最初はゆっくりと振って、ラインの動きを見ながらラインが弧を描いているか確認しながらやるといい。30分ほど振っていると、徐々に基本的な感覚がつかめるはずだ。
余分な糸を出さない 無理せず自然にフライを流す
フライの流し方はいろいろなテクニックが絡んでくるところだが、投げてナチュラルドリフトするだけで十分に釣りになる。ナチュラルドリフトとは、要はラインにテンションをかけず、流れに乗せて自然にフライを流すこと。
ライン、ティペットが手前の流れに引っ張られるなどしてフライが不自然に流れると魚がフライを食ってくれなくなるので注意(ロッドワークで流れをかわすテクニックなどもあるがここでは割愛)
また、フライを流している間はできる限り余分な糸が出ないように糸をたぐる。リールは使わず、左手でラインをたぐっていけばOK。余分なフライラインを出していると、魚がヒットした時のアワセが難しくなる。
「私も我流で始めましたが、最初のうちはあまり無理せず、流したいポイントを1m区切りくらいにしてシンプルに流してしまっていいと思いますよ」と松井さん。
いろいろなタイプの河川、ポイントを歩く
エサを待つトラウトが着いていそうなところにフライを流しながら川を上がっていく。ピンポイントであれば釣り下がった方が攻めやすい場合もあるが、釣り上がりが基本。フライの場合、有望なポイントでも2、3投して出なければ難しいことが多い。もちろん例外はあるが、ある程度で見切って次のポイントに行くことも大切。先行者が入っていた場合などは、大きく場所を移動してみるのも一手。
川歩きだけで清々しい気分に クマには気を付けて!
9月に入ってから雨続きの岩手県。内陸河川はちょっと増水した痕跡はあったものの、豪雨の影響は無さそうだった。ただ、天候的にイワナのドライフライへの反応があまりよくなく、他にも釣り人が結構入っている影響があるようだった。
秋色に染まった渓流魚との出会いに感動する
釣り進むうちに雲行きはあやしくなってきたが、時間的なものもあるのか、魚のフライへの反応が徐々によくなってきた。堰堤下、岩の複合するポイントなど期待が高まる場所で、狙い通りに岩手の渓流が育んだ綺麗なヤマメを手にすることができた。
フライフィッシング入門に最適なシーズンは?
東北の渓流釣りはまもなく禁漁を迎えるが、エリアフィッシング(管理釣り場)はこれからが好季。ニジマスはドライには出にくいとされ、インジケーター(目印)をつけてニンフを沈めるなど釣り方は異なるのだが、エリアでも十分にフライフィッシングを楽しむことができる。
そして来シーズンの話になるが、春先の渓流はドライには出にくく、ニンフフィッシングが中心。ドライフライの盛期とされるのは、桜の咲く頃から新緑の頃。岩手周辺だと4月半ば過ぎから6月頃にかけての初夏にかけてが最も釣りやすいシーズンになる。
「とにかくフライフィッシングは思ったほど難しくないということを知ってほしいと思います。それでいて腕を磨いていく部分が多く、長く楽しめるのも魅力です。経験を積んで上達していく点では、スポーツ的要素もかなりありますよ」と松井さん。最近は見た目から入ってもいいので、格好いいフライフィッシャーを目指していただきたい。
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※取材協力/バレーヒル
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