激闘!小泊マグロ小遠征
夢のクロマグロを追って青森西海岸へ
小泊は対馬海流が津軽暖流に変わる竜飛岬より少し南に位置し、暖流に乗ってきたマグロが多く集まることで全国的にも有名な釣り場だ。中でも有力ポイントとされるのが権現崎の周辺で、海流や地形の関係により、特に多くの魚が集まる海域となっている。
今回の釣行をレポートしてくれた菊田釣センター仙台店の丹野正文さんは常連のお客さんらとともに、8月14日~15日の2日間の予定で仙台市から小泊に小遠征。小泊沖のマグロは8月に入ってからぐんぐん調子を上げており、1日目も沖に出ると、単発の跳ねがそこかしこで見られた。ただ、プレジャーボートが多く、なかなか狙い通りに撃てない状況。別船では釣果を上げたところもあったようだが、この日はマグロの姿を見ることはできなかった。
1日目の夕方、ナブラがひと段落した後、残りの時間にタイラバ(鯛カブラ)でマダイを狙った。権現崎はマダイ狙いでも超一級のポイントとして有名で、丹野さんはインチクで65cmの良型を見事キャッチ。実はその直前にもかなりの大型を掛けていたそう。「タイ独特の3段引きをみせていたので、明らかにいい型のマダイだったのですが、カブラのハリを結んでいるリーダーが2本とも切られてしまいました」。この日は16時半に納竿して、翌日に向け運と気を養うことにした。
ギリギリの荒れ模様の中、マグロとの格闘がスタート!
2日目は5時に出船。この日は朝から鳥山が見られ、いい雰囲気だったが、次第に静かになり、権現崎でマダイを狙いながらマグロが現れるのを待つ。このあたりから海が荒れてきたが、昼前に再びチャンスが到来。「10時頃から跳ね出すんじゃないか、と船長が言っていたんですが、まさにその通りになりました。鳥も結構多く、あっちでもこっちでもという感じでヒットし始めました」
この日のファーストヒットは横田さん。帰港後に計測すると32kgあったのだが、この魚は5分くらいで難なく上がってきたそうだ。そして、すぐに今度は丹野さんにもヒット。「久々のいいマグロ」だったそうだが、速い潮と強風のためにかなり苦戦させられた。ラインを引き出されながら15分ほど激しくファイトしたものの、あと少しというところで惜しくもフックアウト。
「もともと潮が速いことで有名な所ですが、この日はいつも以上の潮の速さに加え、船が風で流されるので、掛けてからの大変さがいつもの倍という感覚でした」。横田さんの2本目30kgも、魚を止めてからなかなか浮かせることができず、大苦戦。丹野さん達のグループでは極力やらないようにしているのだが、2人がかりでようやくキャッチできたそうだ。
まだまだ上を狙えてしまう。おそるべき小泊のポテンシャル
終わってみれば、横田さんが1人2本を上げる大活躍。「このまま続けるかどうか迷うくらいの荒れ模様で、自分たちも止めにするか相談したくらいですが、続けてよかったです。荒れている中、頑張ったおかげで、ライバル船も少なく、チャンスに恵まれたんだと思います」と丹野さん。
マグロは2本とも、ルアーをキャスト後ほとんど動かさない『ほっとけメソッド』で上げた釣果。「横田さんはいつもだと別のアクションでよく釣っているんですが、船長に『ほっとけ』がいい、と言われ、ちょっと攻め方を変えてみたらそれがハマったようです」。ある程度の経験を積んだ人でも、釣り場のことをよく知る船長のアドバイスにはちゃんと耳を傾けることが、とても大切なのだとか。盆と正月が一緒にやってきたとはよく言ったもので、最高の釣果に恵まれた横田さんには、生涯忘れることのできない2010年のお盆になったはずだ。今後、マグロは9月以降も狙える見込み。秋にかけてサイズアップが期待でき、やがて普通のロッドではとても獲れない魚ばかりになると、シーズンは終了となる。
取材・解説/丹野正文
取材協力/菊田釣センター仙台店
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