釣行記

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復興の三陸船カレイ!五目で好釣果

編集部 2021年1月29日 更新

7月31日から出船を再開したばかりの岩手吉浜 満福丸を8月3日に取材してきた。釣り物はカレイ五目。久しく三陸の海から離れていた釣り人たちは、震災後初めての三陸カレイの感触をじっくりと確認していた。

朝カレイならぬ朝イカで釣り開始

吉浜湾の満福丸が震災後初出船。満福丸も津波により船を失ったが、千葉から中古船を購入して7月31日より遊漁船再開。根白漁港の周りはすっかり変わり果ててしまったが、一歩港外に乗り出せば、そこには穏やかで美しい三陸の湾の風景があった。

この日の出船時間はまだ夜の闇が残る午前4時。マーくんは朝カレーと言っていたが、この日の朝は乗船者のリクエストに応えて出船後の数時間は朝イカを狙った。イカのポイントは根白漁港を出てすぐの吉浜湾内。湾央でも水深は50mほどあり、庄司満船長は「朝のうちはイカが吉浜湾内を回遊しています。群れもけっこう濃くて、朝の短時間でイカ釣りをしている漁師は、いつも50杯くらい釣っていますよ」

しかし、この日は一投目からそこそこのサイズのイカが乗ってきたものの、すぐにギンザケが寄ってきてイカが散ってしまった。何度か場所を変えて拾い釣るが、そのたびにギンザケが現れ、多い人で13杯という結果だった。朝のイカ釣りでは集魚ライトは付けないで、水深20m以深を狙う。また仕掛けは、地元の漁師さんはほとんどが11cmか14cmのプラヅノを使っており、ツノのサイズは狙うイカの群れに合わせるといい。この日いちばん釣った人の仕掛けも11cmの2段ヅノタイプだった。

朝4時丁度に出船し、イカ釣りからスタート。スルメイカの型は小さめながら、ポツポツと乗ってきた
吉浜湾では港を出てすぐの近場でも水深が50mほどあり、イカが釣れてくる。水深があるので電動のイカタックルが便利だが、手釣りの人も順調に数を伸ばしていた。仕掛けは、イカが小さかったためか、11cmのプラヅノの乗りが良かった
 
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やっぱり三陸のカレイが一番!

午前6時過ぎ、ちょっとだけ場所を移動し、湾内でカレイ釣りスタート。三陸のカレイ釣りはおろか、震災後初のカレイ釣りという乗船者も多かった。「久しぶりすぎてカレイ釣りの感覚がつかめない」と言う人もいたが、それでも30~40cmのマコガレイ中心に、37cmのナメタガレイや小型のヒガレイ(ムシガレイ)混じりでコンスタントに上がってきた。

「ここには今は何も無いけど、以前は養殖イカダがあった所で、マコガレイがよく釣れたポイントなんだ。だけど、ヒガレイが混じるようになったってことは、養殖ゴミや泥が津波で流されて、底の質が変わっちゃったってことだね」と船長。オモリから伝わる感じでは底は硬い感じの砂か岩盤質。海底の環境が変わったことで、今後、養殖が再開されて養殖棚の下に有機物が溜まるまでは釣り物が変わる可能性もあるそうだ。また、今年の秋は流し釣りはできても、かかり釣りはちょっと難しいだろう。

吉浜湾内の養殖棚があった周辺でカレイ狙い。マコガレイは30cm台の良型が多く、泥付きのナメタガレイ37cmも混じった(写真は上州屋北上店スタッフ・上野さん)
こちらの方は胴突きの仕掛けにサンマの切り身を付けてギンザケ狙い。ギンザケは湾内ほぼどこも回遊していて、多点掛けで上がってきたらもう大変!ハリ数は多くても3本までに減らし、太仕掛けで一気に取り込むのがベター
上)良型マコガレイとムシガレイのダブル。下)アイナメは最大で43cm。根周りを狙えばもっと釣れるはず
吉浜湾内にあった養殖棚は全て津波に流され、何もない海面に変わった。養殖施設とともに底にたまった泥や有機物も津波に流され、底質が硬い砂質に変化していた
マコガレイの最大は41cm。湾内の養殖棚があったポイントでは30~40cmくらいの良型マコガレイが多かった

好調のカレイに…船長得意のイカも楽しみ!

マコガレイの食いが少し落ちてきた10時過ぎ。今度はポイントを少し湾口側に移動してヒガレイ狙い。こちらではヒガレイ中心にマコガレイが混じる形になった。ヒガレイにはイカ下足が有効で、イソメからエサをチェンジした人がダブルを連発して数を伸ばした。20cmほどの小型も多かったが、40cm近い良型も混じってこちらも好調に釣れてきた。

ポイントには若干の変化が見られたものの、カレイの魚影は健在。夏の水温にも関わらず食いもすこぶる良好だった。また、湾内至る所をギンザケが回遊しており、ご近所や釣友らからオーダーを取ってきた人はオミヤゲ分をしっかり確保。ギンザケは引きが強くてジギングや胴突きで狙うと面白いのだが、イカヅノのカンナを曲げられてしまったり、カレイ竿で疾りを止められないとオマツリしてしまう問題も。まだしばらくは大きな群れが残りそうな雰囲気なので、当面の間はギンザケ対策を頭に入れておいた方がよさそうだ。

これからの予定について船長は、「いつもならヒラメ釣りをしている季節なのでね…あんまり夏にカレイ釣りはしないんだけど、この調子ならしばらくは大丈夫そうだね。活きエサが手に入るなら、ヒラメ釣りも始めたいところだけど、今やったとしても銀(ザケ)が釣れておしまいかな。あと、今月末頃には集魚灯を付けてイカの夜釣りを始める予定です。夜のイカは今より外海側でやるので、サイズももうちょっといいのが来ますよ。そして秋からはスルメにヤリイカも混じり、シーズンの終わりには超大型の冬至スルメが狙えるようになります」。また、夜間装備が整えば一人10~20枚の数が揃う「夜ヒラメ」もできるとのこと。魅力的な釣り物が多い吉浜湾からこれからも目が離せません。

湾内どこもギンザケが多く、カレイが掛かった仕掛けに2尾、3尾と追ってくるほどだった。エサ釣りもいいが、ジギング(インチク)も楽しい
ギンザケは案外ファイトが激しく釣り人を飽きさせないが、数が多すぎて他の釣り物の邪魔になるのも確か。ギンザケ専門の船ならともかく、五目船で釣りたいときは周りの迷惑にならない工夫が必要
終盤は少し湾口側に移動してヒガレイを狙った。朝に釣ったイカのゲソをエサにした人がダブルを連発。周りもすぐに続いた
外道に釣れたフグ。他、ホシガレイの幼魚やコウイカの仲間も。吉浜湾は放流されたホシガレイ、マツカワが多いことで知られ、40cm以上のサイズも普通に釣れてくる。なお、三陸周辺のショウサイフグは身にも強い毒を持つ個体がいるので、食用は厳禁だ
吉浜湾口付近では朝からワカメの種付け作業が進んでいた。吉浜の漁師さん達が共同で行っており、庄司船長もいつもは参加するのだが、この日は遊漁船のためにお休みしたそうだ(上:作業中、下:作業後)
防波堤に大津波の傷痕が残る根白漁港。ほとんどの船は流され、岸壁と漁協の作業場一帯は大きな被害を受けた。ただ、根白地区を含む吉浜地区は津波に備えた高台移転が進んでいた地域で、家屋の被害は比較的少なかった
満福丸は吉浜・根白漁港の南側岸壁付近から出船。やさしい人柄で、しっかり釣らせる庄司満船長が操船。カレイ乗り合いは一人5000円(別途エサ持ち込み)。集魚灯を装着次第スタートする夜イカは一人7,000円を予定している。なお、港は現在も復旧復興作業中なので、駐車スペースはその都度、船長に確認のこと

【アクセス】
国道45号線・鍬台トンネルの大船渡側出口前から林道を下る。下った突き当たりを釜石側に進んですぐ、根白漁港降り口

 

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※取材協力/満福丸(吉浜根白漁港)TEL:090-5593-3773

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