釣行記

東北の有名アングラーらによる釣行リポート!最新の釣況情報、テクニックをカバー!!

初秋の仙台湾 ライトタックルに挑戦[カレイ竿でLT五目]

山口充 2021年2月11日 更新

東京湾のライトタックルの釣りを一から知る山口充さんが、仙台湾のライトタックルについて実釣をまじえて解説。記事ラストには、あの「銀さん」のオリジナルレシピもご紹介!
※2011年9月掲載の記事です。

ライトタックル中心に 色々試して色々釣る

前回はライトタックルのメッカである東京湾の模様をお伝えしました。さて今回は、実際に東北エリアでの挑戦。以前にも実釣したことはあるけれど、久しぶりのライトタックルなので楽しみにしていたのです。そして今回、ついでに「あの釣りもやってみよう…」と思いつき準備。夏から秋にかけて相模湾で行われる、「あの伝統釣法」を宮城沖で…と。

さて、今回お世話になったのが、塩釜港のえびす屋さん。様々な釣りにチャレンジさせてくれるので助かります。関東から見た塩釜港の船宿さんのイメージは、「楽しい船頭さん達が多い」ということ。違和感なくどこの船宿さんでも楽しめちゃう所がいい感じだったりします。チャレンジャーも多い。で、今回のお題目は「初秋の宮城県沖でライトタックルを試す」です。

船宿は塩釜のえびす屋さん。店舗は45号のマックスバリュー塩釜店となり。塩釜まがき港から出船

ライト用ロッドのモデルは東北カレイ竿だった

前回でもお伝えした様に、ライトタックルというシステムに関わった裏話を交えて今回は考えていきたいと思います。まず、ライトタックル用の仕掛け周りをヤマシタで制作すると、今度はそこにロッドメーカーが追従するという図式があります。この図式はここ数十年変わらない訳ですが、例えば最近流行りの「一つテンヤ」の竿もそう。大手ロッドメーカーが後から販売してくるワケです。そしてそこから、様々な仕掛けや関連商品が登場してくる。

初期の頃のコマセ釣りの場合、特にライトタックル系の竿には本当に困った。ひとつは「調子」。これが大問題。例えば、前回の様に「イワシミンチ」を使うマアジ、そして誘い上げるウイリー、コマセマダイ。本来全て調子が違わなくてはならない。所が、「引きがダイレクト」、「手軽にビッグファイト」の発想からムーチングアクション寄りの物が多く、本来これにマッチするのはコマセマダイ。マアジの場合は一定の棚でミンチを振るため硬さが必要で、ムーチングアクションだと竿が曲がり込んでミンチが一定の棚で出し辛くなります。通常のマアジ竿の基本は8対2から7対3調子。イカ竿の代用が可能という感じ。ウイリーの場合は、誘い上げの初速で竿が曲がり込み上がらないということも起きた。コマセカゴが跳ね上がって、戻る時に出るアミコマセを仕掛けと同調させる釣りなので、これだと上手くいかない。そんなジレンマに陥っていたのです。

ここを解決したのが「東北カレイ仕様」の竿だったんです。ご存知の通り、確かにピンポイントの性能の竿も多いけれど、汎用性のあるカレイ竿は大活躍。で、設定したライト用コマセカゴの重さは…30~40号…お判りでしようか(笑)。で、現在でもこの重さが「ライトタックル」のコマセシステムの重さになっています。まあ、その後各メーカーから色々な素晴らしい竿が出てきてこの件は無かった事になるのですが、自分が過去プロデュースしたカレイ竿は値段を安くしてライトタックルにも使える仕様だったのです。

コマセカゴの号数が軽いライトタックルなら、ジギング、ルアーとも同船が可能

コマセとビシにも色々あるんです

アンドンビシタイプのコマセビシ(ヤマシタ製)を使用

そしてもう一つ、コマセの問題。柔らかい竿の影響で出辛い状況。アミコマセの場合にすらこの問題が付いて廻った。特に寒い朝、コマセが凍っている時の状況は辛い。もともと容量が少ないので、寄せるためには効果的にコマセが出なくてはならない。また、ミンチの場合、東京湾では船宿さんが独自にイワシを引きミンチを作っている所が多かったので、各船宿で荒さが異なり、通常、アンドンビシの目の形状、横目なのか縦目なのか、こだわりがあり、合わないと目詰まりを起こしてしまう。

取材の時には竿の調子、潮の速さなども考慮し、同じ号数でも目の細さ、容量違い、チューニングした物など7~8種類持ち込んでいる訳です。しかし、ライトという括りにこの部分を入れると入口の敷居が高くなってしまう。そこで、アミコマセ用とミンチ用の2種類のライトビシ、この目の針金を簡単に抜けるように考えたのです。これで自分の竿に合ったビシが作れる。縦線の針金が少なければペンチでコンビーフの缶を開けるような感じで簡単に巻き取れるわけ。勘所は残ったコマセのカス。多ければ一番下を抜く。ウイリー専用で作るなら一番上を抜く。こんな感じでアレンジする事が出来ます。これは普通のアンドンビシでも可能なので、竿に合わせてお試しあれ。

ビシの網目は簡単にカスタマイズ可能
ミンチを販売しているマルキューから、ライト用のイワシミンチやアミコマセに対応したLTコマセが出ている
 

強行軍で急きょ塩竈へ

8月24日に釣りの予定。本来なら釣りが終わって一泊。ゆっくりしていきたいと考えていましたが…。天候を考えるとスケジュールが合わず「行って来い」状態のスケジュール。

夜10時に横浜を出発。釣りをしてそのまま横浜へ帰還。今回は中学3年生の女の子。石井梨乃ちゃんと2人で向かうことに。そう、料理を担当している石井ちか江先生の娘さんです。実は、彼女の初釣りは、「真冬の宮城沖カレイ釣り」。当時年齢は…3歳。鬼の様な試練に耐えて北海道から九州まで日本中を旅していました。そんな彼女も釣り歴10年。早いものです…。助手席でもベテランナビゲーター。快調に塩釜に到着。船宿さんも喜んでくれてお出迎え。「本当はルアーやりたかったんだけれど…」と言う梨乃ちゃんに「今日だけは…」とお願いし、まがき港に移動。準備を開始。午前5時、曇り空の中出船。牡鹿半島沖へ向かったのです。

曇り空の塩釜港の朝。朝5時出船で牡鹿周辺へ

狙いダナに入るとギンザケが連続ヒット

ポイントまでクルージング。梨乃ちゃんが「今のうちにオニギリ食べれば・・」と船上でモーニング。涼しい気温で気持ちがいい。秋のシーズン突入という感じだ。

同行者は中3にして釣り歴10年の釣りガール、梨乃ちゃん

ポイントに到着。各アングラーは80g前後のメタルジグを装着。私と梨乃ちゃんはウイリー仕掛けを装着。コマセは持ち込んだマルキューのLTコマセ。水深は約50m。着底後にハリス分、約3mを巻き取り、テンポ良く3回ほどシャクリながら止める。この時、竿先が一旦跳ね上げられて戻り、負荷が掛かったところが食わせの間となる。この誘いを4セットから5セット、15m位の棚を探り回収。コマセを詰めて再スタート。コマセの幅、ヒットレンジを把握する事が出来るので当たれば勝負が早い訳だ。

ここで梨乃ちゃんにヒット。「何だろう?」とわくわくしながらファイト。全く手が掛からないので撮影も行える最高のモデルさんだ。上がって来たのは「あれ?マス?」。梨乃ちゃんは毎年、北海道積丹半島にサクラマスを狙いに行っていた事もあるアングラー。「タモ入れようか?」との伊藤船長の声にも「うりゃ~」と抜きあげ。「ギンザケだよ」というと嬉しそう。棚を聞いてみると「2回目位だった」。という事は10m前後でのヒットだ。

ウイリー仕掛けでギンザケをキャッチ

これが連続ヒット。60cm前後のクラスが多く、体高もある魚が多くなってきた。コーホサーモンと言えば「釣りキチ三平」世代の人はピンとくるかもしれない。この魚、1m以上に育つ魚でもある。実は、このギンザケに関して、被災した人々の事を考えると…と色々な意見があったのも事実。そこで考えた。釣れた魚を料理して、少しでもこのエリア、養殖していた地域のギンザケの美味しさを伝えようと。もし、再開したら、「東北の、あの場所のギンザケは最高」と関東でPRして少しでも恩返しできたらなら…。

今回は完璧に鮮度を保持する為に大型クーラーに保冷剤と氷。そこへ海水を入れ、血抜きが終わる前にクーラーへ。完璧な血抜きは冷えた海水で行う事にしていた。そう、海水温が高い状態では、血抜きをしている間に傷んでしまう。完璧に保持して関東の料理店へ。ここで「最高!」となれば、後は販路を確保できればいい。釣り人として出来る一つの形だと思っている。

体高もある立派なギンザケ。大切に持ち帰っておいしい料理を提案することに

そんな感じで私も参戦。すると「これ引きが強すぎる…」。上がって来たのはギンザケのダブル。不思議なのはルアーで大型という感じではなく、小さいウイリーにも良型がヒットすること。養殖魚だからかエサに危険を感じていない感じで、現段階ではスレる事が無い状態なのかもしれない。棚を掴むとダブルの連続。釣りまくっていた梨乃ちゃん。抜き上げも決まり、「どや顔」でニコッ。

タナが合うと面白いように釣れてきました
良型ギンザケのダブルヒットは強烈!

ライトタックルvsルアーvsカッタクリ!?

若手のルアーマンはジギングで好調にヒットさせていた

裏では若手のアングラー3人衆がメタルジグで楽しんでいる。是非、「釣りガール」だけではなく、女の子に押されがちな「釣りボーイ」にも頑張って頂きたい所。すると、「これは…」。3人衆の一人がビッグファイト。見るからにギンザケとは違う引きだ。「きっとあれだ…」。伊藤船長と目が合う。同じ銀色のいい魚。上がってくると「おおっ凄い」。ネットに入ったのは81cmのスズキ。「これ釣りたいんだよ…」羨ましい。このエリアのスズキも最高に美味い。太い体型の見事なスズキ。

こちらの方がヒットさせていたのは銀色の…立派なスズキ

釣り座に戻ると釣りまくっていた梨乃ちゃんが、「ねえ、クーラー入らなくなっちゃうよ…」と心配しているが、カッタクリの釣り方でも挑戦。手釣りの関東伝統釣法。アジ釣りも水深100m位までは「手ビシ」として行なっていたが、現在は相模湾エリアで、初夏のワカシ、イナダ、サバなどを狙うスタイル。梨乃ちゃんは3人娘の一番下。真ん中のお姉ちゃんは水産高校出身で、実習でカッタクリ釣りの経験者。数回お手合わせ願ったが、流石に上手い。ここでも女の子達は盛り上がっていたらしいが、男の子達は船酔いでダウン。最近の草食系が露呈していたのだ。頑張れ男子。

最後はちょっとマニアックなカッタクリにも挑戦

両手で富士山を描くようにして大きく道糸を手繰り探る。周りのアングラーは珍しそうに見ていた。これにもギンザケがダブルヒット。流石に手繰るのは大変だったが、面白い。若者に「どうだ…」とアピール。手返しが早いのもこの釣りの特徴だ。ここで休憩(笑)。無理は禁物。

カッタクリでもダブル達成!笑顔をみせつつ、少し休憩

ポイントを移動。今度はギンザケに混じりお待ちかねのサバがヒット。ウイリーだとダブルの可能性も高い。あっという間にクーラーの限界。イナダやワラサもヒットしてきて盛り上がった所で、風が…。午前12時前に沖上がり、楽しかった~。

イナダとサバのダブル。青物も楽しい季節だ
梨乃ちゃんはいいサイズのサバをダブルGet
ジギングで狙った人はよく太ったワラサ級をキャッチ

実際はもう少しサバの反応が良ければ最高であったけれど、前日まで数日間のシケの影響もあり残念。秋の金華サバや昨年よかったワラサも期待したい。さて、ルアー船と同船しても楽しめるライトタックル。もう少し棚を絞って次回はトライしたいと考えていて、ルアーでは狙いづらい魚のヒットも可能性があるし、同船可能ならどんどんトライしてみるつもりです。そんな感じでギンザケ、サバ、イナダでクーラーは一杯に。帰りは…豪雨で高速は途中から通行止め。国道4号も冠水…。でも、ドライブしながら美味しいものを食べて横浜へ。楽しい釣行でした。

爆釣の後、帰り道はあいにくの豪雨に見舞われたが…
しっかりエネルギーを補給しながら最後まで楽しく帰りました

ギンザケ料理のおすすめレシピを大公開

そして…料理。梨乃ちゃんは自分で毎朝お弁当を作っているので、サケは助かるらしいのです。塩をして切り身。生の切り身を制作。冷凍していました。

さらに石井ちか江先生の料理は…。

☆フライパンで出来るチャンチャン焼き
【材料】
キャベツ、玉ねぎ、人参、ピーマン、じゃがいも、酒、味噌、しょう油、砂糖、ニンイク、ごま油、ギンザケ(代用可能)
【作り方】
①フライパンに適当に切り分けた野菜をのせる。
②その上に切り身にしたギンザケをのせる。
③酒を振りかけてフタをする。少し蒸し焼きの様に。
④別の容器でタレを作る。味噌、しょう油、擦りおろしたニンニク、ごま油を酒で伸ばしタレ状にしておく。
⑤野菜がしんなりとしたら、タレをかけて蓋をしてさらに蒸す。最後にかき混ぜて出来上がり
☆三平汁
これは、チャンチャン焼きが残ったら、2度美味しい料理です。
【作り方】
水を入れて沸騰したらダシを少々いれる。そこへ残ったチャンチャン焼きを入れて味噌で味付け
☆銀鮭のそぼろ
捌いて身が残ってしまったら、スプーンで剥がして中落ち状態に。軽く炒めて塩で味付け。ご飯が進みます。もちろんご飯は、宮城ひとめぼれかササニシキでどうぞ…。本当に美味しいですよ
【タックル、仕掛け】
ロッド:2.1m前後のライトタックル用ロッド(7対3調子)、あるいは1.8~2.1mの汎用性のあるカレイ竿
天秤:ヤマシタ ライト天秤各種
ビシ:ヤマシタ ライトビシ40号アミ
ゴムクッション:ヤマシタ ライトクッション1.5mm-30cm
仕掛け:ヤマシタ ライトタックル・ウイリー五目LTU3C ハリス4~5号

 

PROFILE:山口 充

横浜市在住のライター&フォトグラファー。元2輪レーサーで、「宮城ササニシキレーシングチーム」を結成するなど、宮城や東北にも縁がある。現在は大好きな釣りと魚を求めて各地を旅するのが楽しみ。ヤマシタ・アドバイザリースタッフ、マリア・フィールドスタッフ。ブログShisen

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※取材・テキスト/山口 充
※取材協力/えびす屋(022-362-2220)