釣行記

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松島湾の環境再生へ!親子で生物観察[宮城塩釜のアマモ場再生・自然観察フィールドワーク]

編集部 2021年4月9日 更新

今回はいつもの釣りからは少し離れて、夏休みの親子向けの環境学習イベントとして開催された「親子で学ぶ松島湾の海辺」の模様をリポート。普段、生き物に接することの少ない参加者も、アマモ場に棲む小魚やエビ、カニなどに直に触れて、自然観察を楽しんだ。
※2012年8月掲載の記事です。

【アマモ場とは】
砂泥底の浅い海にモ場を形成し、仔稚魚や小動物が多いことから「小魚のゆりかご」などとも呼ばれる。アマモ類は海藻類(ワカメ、コンブなど)と区別して海草と呼ばれ、陸上でみられる種子植物の仲間。
※写真はマリンピア松島水族館のアマモ水槽です。

アマモ場を通じて海岸の環境について学ぶ

8月22日(水)、マリンピア松島水族館と松島海浜公園前のどんぐり浜において、夏休み中のファミリーを対象にした環境学習イベント「親子で学ぶ松島湾の海辺」が開催された。

このイベントを主催したのは、松島湾の海岸環境の復興を目的と設立された「松島湾アマモ場再生会議」。松島湾内のアマモ場は震災による津浪で大部分が失われたが、様々な生き物の涵養の場として、アマモ場を中心とした湾内環境の再生を目指している。今回のイベントはアマモ再生活動への第一歩として、子供を含む一般の人たちに海岸環境やアマモに興味を持ってもらえるよう企画された。

当日は50人強の親子が参加。マリンピア松島水族館での講義の後、すぐ近くのどんぐり浜へ移動し、海岸やアマモ場の生物を観察した。引き網を使用した調査ではハゼやモエビなどが採取され、色々な生き物に触れて子供たちも大喜び。海岸のレクリエーションを楽しみながら、海岸の生態系について学習した。なお、今回は宮城県の特別採捕許可を得て調査を行っているが、本来、網を使って生物を捕まえたり、持ち帰ったりは出来ないので注意が必要だ。

参加者はマリンピア松島水族館に集合。国土交通省東北地方整備局 塩釜港湾・空港整備事務所の諸星所長らの挨拶で講習会が始まった
松島水族館の大谷学芸員から松島湾のアマモ場の役割やモ場の生態系について分かりやすく説明が行われた
上)講義の後は水族館へ移動し、普段は公開されていない水族館の裏側を見学。下)アマモ水槽の説明に熱心に聴き入る参加者達。水槽のアマモを元気に保つには水質管理が難しく、独自の水質浄化システムで自然界に近い生態バランスを維持しているそうだ
【親子で学ぶ松島湾の海辺・開催データ】
■日程:2012年8月22日(水)8:00~
■主催:松島湾アマモ場再生会議
■共催:みなと総合研究財団
■後援:国土交通省東北地方整備局 塩釜港湾・空港整備事務所
■協力:東北区水産研究所、マリンピア松島水族館

どんぐり浜の生き物観察

一同は松島海浜公園前のどんぐり浜へ移動し、いよいよ海岸観察のスタート
塩釜市のアーティストasariさんによる「松島湾のアマモ場の歌」の披露も行われた。冬季五輪のモーグル競技で活躍した畑中みゆきさんも今イベントに参加!
全国各地でアマモ場の再生に携わり、DASH海岸などでもおなじみの木村尚さん(海辺つくり研究会)からは、海岸観察の楽しみ方や注意点などについて説明があった
えびす屋の伊藤栄明船長もこの日は自然観察ナビゲーターとなり、子供たちの生き物探しをサポート
まずは波打ち際の生き物を観察。生物ビンゴゲームも実施し、子供たちは生き物探しに熱中
砂を少し掘ると天然のアサリが(採取した生物は終了後すべてリリース)
引き網調査で採れた生き物をタッチプールで観察。大人、子供関係なく、スタッフの説明を熱心に聴いていた
実際の曳網にも挑戦
網に入るものの中にはアカエイなどの危険な生物もいるため、ソーティング(仕分け)作業は専門のスタッフが行った
採れたマハゼをアクリルケースで観察。松島湾は他の地域に比べ、冬を越した良型のマハゼが目立つそうだ
こちらは楊枝のように細長い「ヨウジウオ」。アマモに特有の魚で、タツノオトシゴの仲間
イソスジエビの仲間。アマモ場はエビなどの小型甲殻類が多く、魚類のエサ場にもなっている
松島水族館に戻って、簡単に発表会も行った。身近な海岸に予想以上にたくさんの生き物がいて驚いたという感想が多かった

アマモ場の再生へ向け、基礎調査が始まっている

観察会の終了後、午後からは国土交通省東北地方整備局 塩釜港湾・空港整備事務所の主催により、桂島の引き網調査の模様が公開された。調査ポイントとなった白崎浜は震災後もアマモの残存度が比較的高く、現在、松島湾内で最大規模のアマモ場となっている。

網を入れるとその生物相は非常に豊かで、アマモ場や藻場に特有のタツノオトシゴ(サンゴタツ)や宮城では珍しいはずのアオリイカの新仔などもみられた。中にはタケノコメバル(ベッコウゾイ)やクロダイ、メジナ、ハゼなど、釣り人になじみ深い魚種も。

震災前の松島湾内にはこのようなアマモ場が数多に点在し、メバルやソイなどの根魚類やクロダイなどを育んできた。アマモ場を増やすことが、結果的に釣魚の魚影を保つ上でも重要な意味を持つはずで、われわれ釣り人としてもこういった活動に今後も注目していきたいところだ。

桂島・白崎浜の曳網調査の様子

調査ポイントになっている、桂島の白崎浜。こちらの浜へは小型漁船で移動
白崎浜は震災後もアマモの群落が残った貴重な浜
アマモ場の水深を測ってみせる、こうりょう丸の大船長。アマモは水深1~2mくらいの浅海の砂泥底に多く、海岸と並行に繁茂する
アマモ場にいた生物①。左上)アマモ場に産卵する習性を持つアオリイカの子供。冬を越したのか、暖流に乗ってきたのかは不明だが、おそらくここで産卵されたもの。右上)ガザミやイシガニといったワタリガニ類も多かった。左下)磯ロックや磯投げ釣りでおなじみ、ギスカジカの稚魚。成魚になると岩礁帯にいるような魚もアマモ場で育っている。右下)砂地を好むヒメジの幼稚魚もみられた
アマモ場にいた生物②。左上)クロダイの稚魚はどんぐり浜でも多数確認された。右上)カレイ類の稚魚(おそらくイシガレイ)。左下)ベッコウゾイ(タケノコメバル)の稚魚。ソイ、メバル類も湾内の藻場やアマモ場を成育の場にしている。右下)メジナの稚魚。こういった暖かい海を好む魚の場合、夏場に暖流に乗ってきても、冬を越せずに死んでしまう「死滅回遊」になる場合も
引き網の様子。ダイバーがアマモ場に網を仕掛けて、地引き網のように陸に引き上げる。※宮城県より特別採捕許可を取って調査を行っています
貴重なタツノオトシゴ(サンゴタツ)も見ることができた。もともと松島湾には多数が生息していたが、アマモや海藻が無いと生きていけない魚

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※取材協力/松島湾アマモ場再生会議 ほか