マハゼの魅力[松島湾・小型ボートのハゼ釣り]
「マハゼ」。この魚は釣りの歴史にとって重要な魚。釣りの「基本中の基本」でありながら、奥が深いターゲット。私のホームグラウンドである東京湾「江戸前」の代名詞であることは間違いなく、「釣り」というものが「何か?」という事を改めて教えてくれる。
昨今「東京スカイツリー」が完成し「粋」という言葉がピックアップされたが、本来「江戸前」と「釣り」はこの「粋」という部分が当てはまる物だと思っているのです。最新が通用しないハゼ釣り。それは楽しみ方が様々に沢山ある訳で、例えば釣果優先であれば他の方法が有るのかもしれない。しかし「粋」は違う。粋な舟遊びであり、漁ではない。マハゼの「釣り味」これに限る。有名メーカーがいくら最新の材質で竿を作っても、和竿やオリジナルの手羽の魅力に近付けるのは大変でしょう。
今回は「手羽ね」と呼ばれる竿を塩竈・松島に持ち込んで、マハゼ釣りを楽しんでみる事にしました。これが最高に面白かったのです。※2012年7月掲載の記事です。
ということで7月10日、自宅のある横浜から東北道を北上。途中、本格的な東北道の復旧工事が行われていて「道路はいよいよ本格的な復帰近し」という感じ。まあ、出船時間はある程度ゆっくりで良いので、焦らず安全運転で国道4号から途中で東北道に乗るプランで、私、石井ちか江さん、石井梨那さんの3名で向かいました。石井梨那さんは水産高校出身。授業でボートも漕ぎ、手釣りの漁も経験している「本物」だったりします。
今回お世話になる「仙塩マリーン」さんに午前6時30分到着。旦那さんも女将さんも優しく話易い方達で、遠征が多い私たちも安心して利用出来る訳です。
受付を終えて港に移動。港に船宿兼釣具屋さんが有るので、そこで青イソメを購入。加えて今回はマルキューの「特選海つりイソメ」の人工エサも使用しました。カラーも色々有るのでプラスアルファーの効果も期待できるはず。元々虫エサが苦手という人達に便利であるが、私たちの考えではカラーによるアピールも効果的で、一つのアイテムとして考えている訳です。当地のマガレイ釣りでは全くそん色ない結果が出ていて実績もあり、遠征釣行でのエサの心配も無いので便利なのです。
そして港で船の操作、安全面の確認等を説明して頂いていよいよ出船。さて、わくわくドキドキ。楽しみなハゼ釣りがスタート。船外機の操船も楽しく、まずはマリーナの近くからスタートしてみる事に。
アンカーは降ろさずにエンジンを停止して流していく。これは少しでもエンジン音で魚の警戒心を強めないように配慮したため。実はこの辺も微妙なバランスが有って、オモリの設定が2~5号。出来れば3号で行えればベスト。早く流れてしまう様ならアンカーを入れたり、エンジンで流れるスピードをコントロールしながら流していく。
仕掛けは小型ハゼテンビンかテンビンを使わないミャク釣り仕掛け。エサの青イソメを1cm以下の長さにして装着。これは、このエリアのハゼがこの時期にしては東京湾より大きく、ハリのサイズがワンランク大きいためで、型に合わせてハリを調整。エサもハリに合わせていきます。
手羽ねの糸巻から糸を出して棚を調整。水深は1.5m位。2本竿で左右ゆっくりと細かく誘い食わせの間を取る。こんな感じで一投目。ハリスは5cm程度の長さから初めて1cm長くするか?短くするか?これも醍醐味。
潮の流れが遅い時間帯で、3号オモリがマッチ。すると石井梨那さんの合わせが決まった。松島をバックにカッコいい。上がったのは12cmクラスのマハゼ。続いて石井ちか江さんも合わせた。オモリが軽いために取り込み時にハゼが走る。「おおっ」と上げてきたのは15cmサイズ。この後梨那さんも同サイズを上げて嬉しそう。
もう一つの勘所はエサの太さ。太く短い物で掛ける事が出来れば、1匹ずつエサを交換しなくても何回かそのまま使用。魚を外してそのまま投入。手返し重視で左右の竿をコントロールして行く。逆に細いエサは少し長めにセット。吸い込み、アピールが高いが、エサの交換が必要になる場合がある。この辺は魚の活性、当地でメインになる魚のサイズ、使うハリに合わせて行きたい。私はマルキューの人工エサを使用。エサの太さは決まっているので2本掛けて使う場合もあり、更にアピール。これも上手く行き連続ヒット。
マハゼが走る、船下に突っ込む。こんな楽しいハゼ釣り、やめられない。釣れたより「釣った」の感覚が大きいからだ。攻略する…。10分に1匹差が付けば、1時間に6匹、5時間で30匹の差が出る。これは自分に対する釣果であって人と比べる物ではないが、たとえ100匹釣ってもそのうち「決まった・・」と言えるヒットは何匹なのかと言えばかなり少なくなる。これが経験を重ね、「決まった」が多くなって行く訳です。
合わせが決まったり外れたり…、それでも順調に釣果を上げる3人。しかしこの時期危ないのが集中し過ぎて水分補給を忘れてしまう事。こんな時は、松島の風景を楽しみながらクルージング。一旦ポイントを休める感じで移動すると良い。お弁当を食べながら2人の女性に「あっちに行ってみて‥」、「あそこも見てみたい」など、もはや船頭さん状態でリクエストに答える。
後半は少し深い所まで探ってみる事に。水深を2~2.5m。ところが全くアタリが無い。少し同じような水深を回ってみたがアタリ無し。秋が深まると可能性のある水深だが、やはり早かった様子。同じ様な水深で探ると、居る所と居ない所がハッキリしていて、10分くらい粘ってもアタリが無ければ移動したい。それでも魅力的なポイントも多く、とても1日では探りきれない所が盛り沢山。多少潮の流れがある所を流して行くことにした。するとマハゼが3人に連発。
両方の竿にヒットしてくる場面もあり手返しが重要になって来るが、リールと違って仕掛けを落とせば棚が取れる。リールだとスピニングならベールを開けてラインを出し、ベールを戻してラインを張るという操作が必要。ベイトでもクラッチを戻すまでは手が離せない訳だ。竿に伝わるアタリ、底からの食わせ、そして合わせ‥。釣りの基本が手軽に楽しめる。そして上がり間際に20cm弱のクラスが多くヒット。これはたまらない。育ちが早いのか最高のファイトを楽しませてくれた。
これからは平均的に少しハゼが大きくなり、更に釣りやすい季節。親子連れにもお勧めの釣り。午後2時まで楽しんで3人で70匹を超えた。釣行時はシーズン序盤であったが、今季は楽しみ。実は東京湾の昔の姿だという年配者も少なくなく、関東方面のベテランの方々がこのハゼ釣りに訪れる事もある。
正に「和」のテイスト。秋が深まり30cmを超えるマハゼに出会えれば他のターゲットのどれくらいの価値になるか?昨年末このエリアでマハゼを狙い、糸鳴りがする位のファイトを堪能させて頂きました。冬は「ケタハゼ」とも言われる落ちのハゼ。ブルブルというアタリは無く、咥えた感覚を掴む。ほんの少し穂先が多く曲がった時、ほんの少し重みを感じた時・・。この「もたれ」を取り、アワせた瞬間、ビッグファイト。ケタハゼ。松島付近にはその可能性があるのです。そんな最高な釣りを楽しんで、皆さんと夕食で合流。楽しい釣り談義に花を咲かせて帰路に就きました。本当に楽しい遠征。夏は手軽に、冬はマニアに。ハゼ釣りは最高です。
レンタルボートも行っているボートショップ。1艇あたりのレンタル料金は午前4,000円、午後3,000円、1日6,500円。
■TEL:022-362-2405
■http://senen-marine.co.jp/sen-en/
仙塩マリーンは塩釜市内の国道45号線沿い。国道を挟んでマクドナルドの向かい側にある
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横浜市在住のライター&フォトグラファー。元2輪レーサーで、「宮城ササニシキレーシングチーム」を結成するなど、宮城や東北にも縁がある。現在は大好きな釣りと魚を求めて各地を旅するのが楽しみ。ヤマシタ・アドバイザリースタッフ、マリア・フィールドスタッフ。ブログShisen
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※取材・テキスト/山口 充
※取材協力/仙塩マリーン (宮城・塩釜市)TEL:022-362-2405