震災復興応援ツアーin塩竈[関東の釣り人が大型魚礁カレイ船に挑戦]
復興応援釣りツアー続々企画中!
復興元年という位置付けの今年、3月11日にも塩釜に向かい、2時46分を迎えた。様々な報道の中で伝わらなかった部分もあり、昨年の「あの日」と同じ時間に居た時「これは…」と感じたのは「寒さ」であった。
津波到達まで約1時間。その時間になった時、一緒に釣行したメンバーも流石に笑顔が消えてしまい、「本当に大変な事だった…」と思わず目頭が熱くなったり…。そんな熱い思いを持ったメンバーと共に、「今年はどんどん来て思いっきり東北を楽しもう‥」と、釣り仲間に声を掛けて、12名でマガレイ釣りを楽しむことになった。
という感じで、東京、神奈川、群馬から有志が揃って各自現地集合。私は横浜から東北道岩槻ICで降りて国道16号、国道4号と一般道で塩釜を目指したのです。この国道4号、歴史のある道で、本来ならこの道を特集しても面白いと思っています。特に旧4号線は宿場町や見どころも有る、奥州街道という歴史ある道。日光街道だったり、陸羽街道となったり、陸奥白川以北の仙台道、松前道になったりと面白い道で、これを取材しながら回ると、いつ塩釜に着くか分からないので、機会があったら、「釣り河北の読者の皆さんと、ライターの方々とリレーして繋いでも面白いな‥。松尾芭蕉さんが行けなかった所も繋いで‥」なんて思ったり、色々考えながら塩釜を目指していた訳です。
タイミングよく、今回お世話になる塩釜港のえびす屋さんに到着。メンバーとも無事合流して準備開始。みなさん昨年、観光バスで応援ツアーを組んで来てくれた方々なので、マガレイのメッカに気合十分。カワハギやマルイカといったテクニカルゲームのスペシャリストでもあるので、マガレイ釣りの楽しさを感じてくれている楽しい人達。発起人の藤田さんも宮城通いが続いて、すっかり「東北の人」になっていました。
テクニカルな展開にやや苦戦するも…
4月14日、午前6時に出船して、ポイントはお馴染みの大型魚礁。航程約50分。ポイントに着くと「寒いっ」。前日までぽかぽか陽気だったのに、曇り空で冬に逆戻り。エサ付けするにも手が悴んで付け辛い状況。
水深は約50m。全員徹夜で、栄養ドリンクをチャージという若干ハイテンションな状態で小突きはじめる。さっそく「アタった」と藤田さん。「追い食いさせてよ…」と、東北、宮城のカレイは「これだっ」という写真を押さえるためにオーダーを入れる。暫くすると「あれっ、外れた‥」とバラシ。
次に私。心の中で一日の長を見せようとしたが、「あれっ‥」。アタって竿を立てて乗せる。この動作の時にカレイが外れてしまうのだ。潮先、潮下の釣り座で状況が違うのかと思い、右舷側のメンバーを見ていたが状況は同じ。1匹ずつは上げられるものの、多点掛けが難しい。
オモリを触ると「冷たいっ」。我妻船長に聞くと「水温が6.5℃しかないんですよ」とのこと。海底はさらに低い可能性がある。「みんなで水温を上げるしかないな‥」と笑いながら意味不明な言葉を発し、エサを長く付けて待つ時間を長くしたり、エサのボリュームを上げて短くしたり…。ハリスを1cm長くしたりと試行錯誤。
あの手この手を繰り返すメンバーに、常連さんのおじいさんが、「いい竿だね…私の竿は数百円で自分で改造したんだ」と色々話をしてくれて、楽しい時間を過ごしていると、「置き竿が一番だよ…」と置いている竿にダブル。笑うしかないメンバー。
確かに、通常だとアタリがあって乗せた場合、カレイが反転してハリ掛かりするが、この日のコンディションはエサを咥えたまま暴れないでそのまま‥。戻すと外れてしまうという感じのアタリなのだ。すると左舷大ドモにいた中村さんにアイナメがヒット。更に藤田さんにもアイナメ。「これはこれで良いけどね」と嬉しそう。
「潮が動く10時くらいからかな‥」と話していたが、その通りでアタリが出始めた。右舷側でも30cmオーバーが連発。良型が多いのが嬉しい。ここで左舷側にいた私と藤田さん、中村さんは再び多点掛けにチャレンジ。その甲斐あってかダブル止まりであったが、5回ほどダブルで上げることが出来た。
その後、1枚掛かっても「男気を見せて欲しい‥」とプレッシャーを掛け合い、良型らしきアタリがあっても小突き続ける。が‥結果は1枚、もしくは0枚。ようやく目覚めたメンバーは、良型が多いのでと言い訳しながら丁寧に1匹ずつ上げることに。
その食いも落ちて来て、再び神経戦になる。えびす屋さんのオリジナルロッドは、やや胴に乗る調子にセットされていて、こんな時に良い。何時も持ち歩いていたのだが、今回に限って持っていないし‥。でも、みんな真剣に楽しんで終了。結果は常連のおじいさんが30枚。そんなコンディションであったが、皆さん「こういう時も本当に面白いね」と大満足。微妙な感覚を捉えて、「釣った」という感触が得られる釣りだからだろう。
アフターもしっかり満喫
私はホテルに戻ったが、メンバーはなんとその足で女川へ向かい沢山のお土産を購入。そしてもう一つのお楽しみが当地の料理。塩竈「翠松亭」さんで塩釜料理を満喫。「綺麗だ‥」、「美味しい~」を連発。凄かったのが、皆さん「ほや」が好きになったこと。中々ダメな人も多いけれど、何故か味にはまり、すっかり「東北の男」に仕上がった次第。後は東北弁をマスターすればOKという所まで来ている。
まだまだ応援ツアーは終わらず、翌日は塩釜の仲卸市場へ。ここには買った食材で朝ごはんを食べられるシステムが有り、沢山買い込み朝ごはん。これが美味い。米どころ「宮城」の米と味噌汁が最高。是非味わって頂きたい。
そんな楽しみ方も釣果以上に重要で、折角東北に来たんだから…と思う存分楽しむこと。これこそが関東からの復興支援。そんなことを考えながら「次はいつにする?」と計画を立てて帰路に着いたのでした。機会があったら当地の皆さんとも合流して楽しめればと思った釣行でした。
[HP] http://www.suisyoutei.com/
[HP] http://www.nakaoroshi.or.jp/
横浜市在住のライター&フォトグラファー。元2輪レーサーで、「宮城ササニシキレーシングチーム」を結成するなど、宮城や東北にも縁がある。現在は大好きな釣りと魚を求めて各地を旅するのが楽しみ。ヤマシタ・アドバイザリースタッフ、マリア・フィールドスタッフ。ブログShisen
※取材・テキスト/山口 充
※えびす屋 (宮城・塩釜まがき港)TEL:022-362-2220