釣行記

東北の有名アングラーらによる釣行リポート!最新の釣況情報、テクニックをカバー!!

エサにこだわる鳥の海沖ヒラメ釣り

編集部 2021年4月20日 更新

震災後、宮城の釣り船がヒラメ釣りに使う活きエサは、陸送したマイワシが主流になっている。大羽イワシと呼ばれる20cm級も多く、カタクチとはちょっと異なるエサ使いも釣り方のキモ。また、今取材では淡水で運べるモバイル活きエサ「銀兵」の実釣テストも行った。
※2011年9月掲載の記事です。

今季のヒラメ釣りはエサ使いがカギ!

エサの活きイワシは、つりえさ倶楽部マリン仲卸センターで仕入れた千葉産を鳥の海港内のイケスに保管している。これを船内のイケスに移してから釣り場へ向かった

東北太平洋側のヒラメ釣りでは、活きエサにカタクチイワシを使うのが普通だったが、今季は震災の影響でカタクチイワシの供給がままならず、関東方面から輸送したマイワシをエサに使っている。マイワシエサのヒラメ釣りは、亘理や塩釜などで、カタクチイワシが手に入らない終盤戦のパターンとして定着していたが、夏場から使うのは初めて。マイワシは小羽~大羽と呼び名が変わるほどサイズがまちまちで、20cmほどの大羽は大型狙いにはいいのだが、小型のヒラメ相手だと、さすがに若干食いが悪くなる。

大羽のマイワシを使用するときに欠かせないのが、仕掛けの孫バリだ。孫バリとは、親バリの先にハリスを伸ばして2個目のハリを付けた仕掛けのこと。カタクチイワシを使っていた頃は、小型で細身のカタクチに負担をかけないために孫バリ無しの1本バリが主流だったが、15cm以上のマイワシは孫バリ仕掛けを使うのが普通。作り方は、最初から親と孫を結んでもいいし、親バリ仕掛けに後から孫バリを追加する場合もある。ハリのサイズは孫を1サイズほど小さくする人も多いのだが、この日同船した針生秀一さんは親と孫に同じサイズのハリを使っていた。その針生さんに孫バリの使い方を聞いてみた。

「孫バリはイワシの腹に刺す場合と背に刺す場合があります。ヒラメはイワシの腹に噛みつくことが多いので、内臓にかからないように腹側に刺すのが一般的です。背に刺すと食い込みが少し悪くなるので、ヒラメの活性が高いとき。背だと根掛かりしにくいのが利点ですね。あと、孫バリをフリーにする方法もあって、これはイワシが自然に泳いでくれます。孫バリがスレ掛かりしたり、イワシに刺さってエビになったりするので、混雑している時にはオススメできませんけど、今日は平日でかなり空いているので、まずは孫バリフリーで攻めてみようと思います」

孫バリをフリーにして釣り始めると、しばらくして針生さんに良型がヒット!65cm、2.5kgの幸先よいスタート
【エサ付け①孫バリ自由型】
針生さんは孫バリフリーでスタート。エサ付け方法は…まず親バリを上アゴの硬い部分に刺す。このとき、イワシの目をかくすようにするとあまり暴れない。孫バリは10~15cmの孫ハリスを付けてフリーにする
【エサ付け②孫バリ腹掛け型】
もっとも一般的な孫バリを腹に掛けるエサ付け方法。ヒラメはベイトの腹にかみつくことが多いため、自然に食わせられる。内臓に孫バリが刺さるとイワシが弱るので、肛門の後ろあたりに浅く掛けるように刺すのがコツ
針生さんが1枚目を釣ってしばらく後、つりえさマリンの丹野代表も67cm、2.9kgのグッドサイズをキャッチ
ちょっと疾るなという魚は外道のイナダやイナワラだった
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即日で鍛えられる 針生式ヒラメ釣り教室

ヒラメ釣り経験者は序盤から良型を釣り上げていたが、この日が初めてのヒラメ釣りだった田村さんになかなか1枚目が釣れてこない。田村さんの竿にもヒラメらしいアタリが何度かあるのだが、待ち切れずに早アワセをしたり、掛かりが浅く途中でバレてしまったりしているようだ。

すっかりさじを投げてしまった様子の田村さん。あきらめ半分になって置き竿で勝手にヒラメが食うのを待っていると、見回りにきた針生さんから、「ちょっとなにやってんの?そんなんじゃダメだってー。竿はしっかり手に持って誘わないと。ヒラメは上の方を見てるんだから、常に底から上の層でヒラメにエサをアピールしないとダメなんだよ」とアドバイス。

手持ち竿で誘い始めると、しばらくしてすぐにアタリがあった。またすぐに合わせようとする田村さんに今度は、「まだダメだよ!もうちょっと食うまで待たないと」と横から一声。ヒラメがイワシをかじり始めたら、しっかりとエサを食い込んで、竿先から中ほどまで入り込むまでじっくり待つ。もしもヒラメがイワシを離してしまっても諦めてはダメ。もう一度イワシを見せてから落とすと、ヒラメは諦めずに食ってくることがままあるのだ。

そうこうして、何とか1枚目のヒラメを釣り上げることができた田村さんだったが、どうもイワシの扱いが粗いのが、針生さんの目に付いたようだ。「エサのイワシも安いものじゃないんだし、できるだけ少ないエサで多くのヒラメを釣るのも腕のうち。イワシを弱らせないようにエサ付けはできるだけ手早くね」。そしてイワシを投入するときも、なるたけスムーズにして、丁寧に沈めるといいそうだ。

ヒラメ釣りは初めてだった釣りえさマリン常連の田村さんが置き竿をのんびり眺めていると、見回り指導にきた針生先生から喝!が入った。簡単なレクチャーを受け、手持ちで誘いをかけ始めると…ハイこの通り

また、田村さんの隣の釣り座にいた和地さんは、「つりえさマリンの店長として何としても銀兵でヒラメを釣りたい」と、ひたすら銀兵を使用していた。銀兵はイワシなどに比べれば川魚特有のヌメリが強く、噛みついたヒラメの歯がすべりやすい傾向があるのだが、竿と糸の操作でうまく食い込ませることさえできれば、サイズ的にも十分使える。和地さんは田村さんに続いて針生さんのレクチャーを受けて、誘いから食わせの手順を丁寧に実践。すると、今まで逃していたアタリをしっかりモノにして、やや小さめながら本命のヒラメを釣ることができた。

過去に銀兵でヒラメを釣ったことがあり、この日も和地さんと一緒に銀兵を使った戸島和彦さんは、「イワシは回遊魚なので、常に泳ぎ回っていないと死んでしまいますが、銀兵の場合は泳ぎ続ける必要が無いので、そのままにしておくとじっとして、あまり泳いでくれません。だから、たまに竿をあおって喝を入れるようにするとイイんです。底から少し上のタナで泳がせて、魚に気付かせてやればヒラメはちゃんと食いますよ。ひと口サイズなので、食い込みはいいくらいです。ヒラメに食われなければちょっとくらい粗く扱っても3投くらい平気な丈夫さもいいですね」

【モバイル活きエサ銀兵】
つりえさマリン新港店の和地店長は活きエサ銀兵を実釣テスト。ウグイに近い仲間の淡水魚なのだが、海水にも耐性があり、泳がせでもかなり長保ちする。8~13cmくらいとサイズも食べ頃なので、孫バリ無しでもOK
針生先生が和地さんの実釣をサポート。銀兵は回遊魚では無いためイワシのようには泳ぎ回らず、底付近に定位する性質がある。泳ぎに喝を入れる感じで、適度な誘いをかけてやるのが◎
やや小さめながら、銀兵での初ヒラメを釣り上げた
和地さんの隣で一緒に銀兵を試していた戸島さんも銀兵でまずまずサイズのヒラメをキャッチ!針生さんと同数トップ10枚釣ったうちの3枚を銀兵で釣り上げた

ヒラメは水中の動きをイメージしながら釣る

「ヒラメ釣りは、イメージしながら釣るのがとにかく楽しい。本当にそうなのかは分からないけど、イメージ通りに釣れたときの『釣ってやった感』が面白いんですよ」と針生さん。針生さんの場合、底より少し上のタナでヒラメにエサを見させて、たまに底に落として食わせるのだが、「食わせるタイミングが重要」と言う。例えば、船が少し移動してポイントに入れ直した直後。活きエサが微妙に暴れ出したときも、「ヒラメに狙われてイワシがおびえてるんじゃないか」と想像しながら、仕掛けを落とす。そのイメージ通り食ってきたときの「釣った感」がたまらないそうだ。

「今日は若干短めのハリスにしているんですが、タナぼけしないように5~10秒間隔でタナ取りをしています。またそれとは逆に、糸をサミングしながら出して仕掛けをハワせる誘いも効果的ですね。でもこれは今日みたいに釣り座が空いているときだからできる技。混んでいるときはオマツリの元なので控えた方がいいですよ」

また、針生さんは孫バリはあくまでも補助的に使うもので、エサの泳ぎを妨げないことと、仕掛けと絡んだりしないことが重要と考えている。「関東で人気の出た仕掛けにチラシ針がありますが、あれは小中型のヒラメが多い釣り場で大羽イワシしか無いときに、大きなイワシでどうやって多くのヒラメを釣ろうか?ということで考えられた仕掛けです。アタリが出る確率は確実に上がりますが、スレ掛かりも増えるのでバラシも多くなります(特に大型)。ハリが流れ出ているぶんトラブルも多くなるので使うときは配慮が必要です。満席のときなどチラシを禁止している船もあるので、使うときは確認しておきましょう」

初心者代表の田村さんもすっかり活きエサの釣りに慣れた様子で、イナワラ、ヒラメと連続して釣り上げていた
【エサ付け③孫バリ背掛け型】
ヒラメの食いがいいときなら、根掛かりしにくく、イワシが弱りにくいと言われる背掛けも使える。孫バリにトリプルフックを使うときにも向く
拓洋丸の常連というこの方は60cm前後の良型ばかりを揃えていた
針生さんはイワシを上の方で泳がせて誘い、それでも食わなければタラして這わせるといった操作を繰り返していた。スプール操作でのこまめなライン操作も効果的。ただし、自由に誘えるのは平日で乗船者が少ないからできること、混雑時は周りとトラブルを避けるためにも竿下中心に釣った方が無難だ
針生さんは終盤にさしかかった正午頃にも67cmの良型をキャッチ。初っ端に丹野さんが釣ったヒラメと全長は同じだが、少し身が薄く、目方は2.2kgだった

好調の鳥の海ヒラメ!盛期はこれからだ

取材を行った9月13日はヒラメの食いが非常によく、終始、ポツポツとアタリが絶えなかった。そしてラスト30分を過ぎたあたりからは活性がさらに上がり、船中一斉にヒットする場面も。終わってみれば、トップの針生さんと戸島さんが10枚ずつ、一番下の田村さんでも5枚という好釣果に恵まれた。

そんな好調も幸いし、銀兵とシンカーロボのテストも無事成功。結局、銀兵では戸島さんが全10枚中3枚、和地店長が全6枚中3枚を釣り上げた。「ミッションクリアです。これでマリンの店長として銀兵の力は見せられたかな」と和地店長。いっぽうの丹野社長は、ずっと確実に釣れるマイワシを使っていたそうで、「マリン卸部のマイワシは釣れますよ。活きイワシが必要な船宿さんは気軽にお問い合わせください」

連日、好釣果を叩き出している鳥の海沖のヒラメ船。例年、盛期は10月で、まだまだしばらくは食いのいい状態が続くはず。この日も60cm台の良型が多数揃ったが、さらなる大判サイズが出て来るのもこれからの季節。今季も期待できそうだ。

ラストにはリバストのLED搭載オモリ、Sinker-ROBO Flash(シンカーロボ・フラッシュ)40号を使用。実際のところ、ヒラメ釣りで効果は疑問だったのだが、しっかり結果が出た。オモリにアタックしてくる魚が現れるなど、アピール力の高さは抜群!アイナメやカレイなら、さらに大きな効果が期待できるはずだ
最後のひと流しでは、時合いがピタリはまったのか、船中ほぼ全員の竿が曲がった!
針生さんはシンカーロボを使用して60cm級を追加
和地さんは最後の一投で62cmを釣り上げた。もちろんエサは銀兵
62cmが吐き出した銀兵。丁度いい大きさで、すっぽり飲み込まれていた
釣りエサの専門店であるつりえさ倶楽部マリンでは閖上に仲卸センターを設け、活きエサ用マイワシを関東から活魚車で手配し、各地の遊漁船に卸している(活きイワシが必要な釣り船募集中!)。また、銀兵の方は宅配便でも輸送可能なので、個人や少数のお取り寄せにオススメ(まとめ買いお得!送料応相談) TEL:022-786-3580
釣船 拓洋丸船長の箕笹丈夫さん。釣り好きが高じて船長になった人なので、釣り人の気持ちもよくわかっている。丁寧な船の流し方に定評があり、小さなポイントもしっかりピンポイントで攻めてくれる。人あたりもやさしいので、初めてでも任せて安心! (TEL:090-3755-4496)

【出船場所】拓洋丸は亘理・荒浜漁港から出船。釣用品きくしんのちょうど真向かい側の岸壁に駐車場がある

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【この日の針生さんの仕掛け】
・幹糸/8~10号 約1m(竿の長さに合わせる)
・捨て糸/4号 20cm(短)~40cm(標準)
・オモリ/シンカーロボ・フラッシュ(リバスト)40号
・枝パーツ/NTパワーヒラメスイベル 4×5(NTスイベル)
・ハリス/フロロカーボン5号 70cm+孫ハリス15cm
・親バリ、孫バリ/OHカットチヌ(オーナーばり)6号

※取材協力/つりえさ倶楽部マリンTEL:022-786-3580、
拓洋丸TEL:090-3755-4496、
株式会社リバストTEL:03-5952-9391

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