アユ釣り全国大会奮戦記(伊豆・狩野川)
アユ友釣りの聖地、狩野川へ
鈴木潤さんは7月31日に岩手県の和賀川で行われた「2011バリバスカップあゆトーナメント 東北和賀川大会」で見事優勝。全国大会の出場権を獲得し、静岡県狩野川で行われた同チャンピオンシップ大会に参戦した。
狩野川といえば、友釣り発祥の地とも言われる超有名河川。だが、鈴木さんは狩野川はおろか、東北以外のアユ釣りは初めて。ということで、プラクティスも兼ねて大会開催3日前の24日水曜日に意気込んで現地入りした。ところが、水曜は移動疲れで午後に少し竿を出しただけ。25日木曜は豪雨。ようやくプラクティスできたのは金曜の午後から(しかも増水)という有り様だった。「試合会場がどこの区間になるのかも知らされていなかったので、川の様子だけでもつかもうと思って…。川自体は易しく、魚も一杯いるんだけど、魚がスレていてとにかく釣るのが難しい印象でしたね。これは、釣れないことを前提に、あらゆる手をつくして悪あがきするしかないなと覚悟を決めました」
激戦区と難条件の2重苦に大苦戦
1日目は1、2回戦とレセプションを行い、鈴木さんは2日目の準決勝に進出した。準決勝ではAブロックの1番クジを引き当て、「ここしかないだろう」という、一番よさそうな場所を確保。が、着いているはずの場所にアユが全然おらず、せっかくの1番クジもむなしく、ひたすらポイント探しに明け暮れた。
「追ってくるアユがいないというのはプラでも分かっていたんですけどね、流れの筋をどれだけ探しても追いのいいアユがいないので半分パニックですよ。いろいろ試して、群れアユ的なところで追いの無いアユに何とか追わせるように努力したら、少しは釣れるようになりました」。かくして、かなり苦戦しながらも何とか4位にすべり込み、決勝進出となった。
大会は自分の実力を確認する機会にもなる
瀬もだめ、淵もだめということで、鈴木さんはかけ下がりの少し深めのところに着いている群れアユを狙って何とか数を伸ばす作戦に出たわけだが、上手な人は縄張りアユが着きそうなポイントからもしっかり魚を掛けていた。「まずはアユが着きそうな一級ポイントから攻めました。でも釣れなくて、自分がやった直後に上手な人が入ると、『えっ…そこに魚いましたっけ?』って言いたくなるような感じで、ちゃんと掛けていくんですよ。ちらっと見ただけなので、どうやって釣っているのか分かりませんが、上位の人との実力の違いはハッキリとみせつけられましたね」
狩野川の大会会場近辺は大会もたびたび行われている超有名エリア。普段から釣り人が多く入って叩かれているし、魚影も薄くなっている場合が多い。また、川の規模が小さく、両岸を簡単に往来できるため、大会で釣り人が頻繁にポイントを歩き回ると、そのたびに魚が散ってしまう。こういった条件下では、同じように見えるポイントでもあまり人が通っていない場所を見付けるか、散った魚が逃げ込む場所を見抜けられるかが、釣果に大きく影響するのでは、とのことだった。
大会で戦いながら厳しい条件下での釣り方を覚えることができて、とても勉強になったという鈴木さん。「今回はたまたま勝ち進んでしまったというのが実際のところなんですが、初めてあちらの釣りをやってみて、いつも釣りをしている東北の川の素晴らしさを実感できました。みなさん東北の河川はパラダイスですよ!」
◆記事に書けない裏話や質問への回答は無料メルマガ(毎月25日発行)で配信中!
青森県十和田市のベルウッド店長。奥入瀬川のイワナ、ヤマメに通いながら、陸奥湾、太平洋の海にも繰り出すなど、県内外の色々な釣りを研究中。新しい釣り物が大好きで、お客さんらとの釣行ツアーも頻繁に開催する。
※取材・解説/鈴木 潤