釣行記

東北の有名アングラーらによる釣行リポート!最新の釣況情報、テクニックをカバー!!

東京湾ライトタックル事情!そしてあの人も…

山口充 2021年4月22日 更新

すっかり人気が定着した東京湾ライトタックル。この釣りに創世記から取り組んでいる山口充さんが、ライトタックルで狙うタチウオ&アジを詳解。この日はテレビ番組の取材ということで…あの人も登場!※2011年7月掲載の記事です。

ライトタックルのメッカ!神奈川・金沢沖へ

今回は東京湾からお伝えします。…と言うのも、台風の影響をモロに受けて、スケジュールがとんでもない事に…。東北で美味しい物と目論んで居た御一行は涙目で断念。と言う事で、今回は東京湾のライトタックル事情をお伝えしたいと考えたのです。

ライトタックルという括りが出来て、スタート直後は、「道具が軽いから誰でも楽しめる」、「引きがダイレクト」という様な論調が目立っていたのですが、実はそれだけではなく「ライトだから狙える」という部分も多く存在していた事も事実。ヤマリア(当時の社名はヤマシタ)でライトタックルのシステムごと開発して頂きたいと提案したのが私。そう、既存の仕掛け周りの「ミニチュア版」を製作。最初はコマセを詰めるライトビシ。これだけでは他の部分が他社になるので、天秤、ヤマシタお得意の「ゴムクッション」、「仕掛け」と、全てにおいてヤマシタで製作販売に至った訳です。これは、初めて釣りをやる人が釣具店に行ったときに迷わないような配慮。入り口から難しい事が問題なワケで、少しでも気軽にとの発想でした。そして船宿さん達のご理解が得られて、暫くするとこれがブームに。他社やロッドメーカーも追従。これで良かったと感じたのはファミリーが増えたこと。明らかに年に数回の釣り人がライトタックルに来てくれる。これも大事なことで、この層の人達の釣行回数が増えたように感じるのです。

さて、今回はそんな東京湾のライトタックルに力を入れている東京湾・神奈川金沢漁港の忠彦丸さんに伺う事に。凄いのは全てライト系の釣り物という事と、「手軽に」をメインに出船時間が様々に設定されている事。午前、午後船はもちろん、夕方涼しくなってからのサンセットフィッシング船(14時30分~17時位まで)や、ショートフィッシング船なども。更に、屋形船で食事やバーベキューまで出来る。「レジャーとしての釣り」が確立しているのです。

忠彦丸ではいろいろな釣り物から選べるのも嬉しい
女性店員が多いカウンター。ここは船宿です
乗船券は自動販売機
カッパや長靴もカラフル。女性や子供さんも、手ぶらで来たって安心。ライフジャケットも無料貸し出し
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ライトタックル&ルアーのタチウオからスタート

ライトの部分で言うと、元々東京湾の釣りは軽いオモリの物が多かった。例えば、シロギス、メバル、カワハギ、カレイ、食わせのスズキにマゴチ、イイダコにハゼなどなど・・。5~30号位までのオモリを使用。そこへマアジ、イサキ、タチウオ、マダイ、時期によってはマルイカまでライトタックルの釣り物として追加。釣り物のほとんどをライトでカバー。エサ釣りのスタイルもスタイリッシュに変化。ライトでここまでターゲットの選択肢があると、ファミリーは元より女性も「次はこの魚を釣りに行こう」と嬉しいわけ。

今回はライトタックルで狙うタチウオと、同じくライトタックルのマアジのリレー船で楽しむことに。ここにもポイントが有り、ライトタックルのシステムはワンタックルでタチウオもマアジも狙えるという点。これは2タックルいらないという部分でお客様の負担軽減。仕掛け周りだけ用意すれば大丈夫。もう一つは、ルアーとの同船が可能という点。ライトタックルのオモリ負荷が40号前後なので、80~120gのルアーを行うことも可能。ルアーと分けずに1隻で済む。お客さんが少ない時でもこれは船宿さんにとっての負担軽減に繋がったりします。この日も平日にも関わらずライト系乗り合いが5種類出船。

ここで出船前にのんびりと…バーベキュープランで楽しむ事も出来ます
休憩室の室内。時間がある時や、午前、午後船の乗り換えの時、お昼ご飯をここで食べても良い。コーヒーやお茶は無料サービス。奥には綺麗な更衣室

そんなこんなで、支度をして…。実は待ち人をしていたのです。「山ちゃんおはよう~」と現れたのは・・児島玲子さん。J-COMの「わくわく釣り探訪」という番組で船釣りの時に一緒に番組をやらせて頂いていまして…。まあ、楽しいクルーと一緒にお客様もノリノリで乗合船の釣行。午前7時20分、イケメン安田船長の操船で東京湾の金谷沖に向かい、まずはタチウオからスタート。

ところが台風通過後にウネリが続く毎日・・。絶好調だったタチウオも渋い状況に…。タチウオの大船団も2~3か所にバラけていて本調子ではない感じだ。水深は80m前後に反応。この時期としては深い状態。通常なら秋~冬に向けての水深である。「ルアーからやろうかな?」と児島先生、ヤマリアの2人。「くくっ・・やってなさい、お嬢さん。僕たち、釣り好きかい?昔はね、私も疑似餌(ルアー)引っ張ってたんだよ・・」とベテランのお爺さんに変身して他のお客さんと共にライトタックルで狙う事に。

前日、ルアーでタチウオ釣行をしていてデーターは十分だったのです。ルアーが若干不利な事も…(笑)。ところで、通常のタチウオはオモリが80~100号。ライトだと40号前後。今回は少し深いので50号で狙う事に。ルアーは100~120g 。3人には「知りたい?」と、カラーの傾向、時間による変化も教えてあげました。本来ならこの時期、20~50mとレンジが浅い為に60~80gがメインになる事が多いので、そのつもりだったみたい。タチウオルアーはデータをどれだけ持っているかが重要。例えばルミシート(シルバーの光るキラキラシール)の柄でも喰いが変わる事が多いんです。ライトのエサはサバの切り身が基本。

じつは前日もルアーで釣行し、タチウオのほかマサバもキャッチしている

暫くアタリなし…。2枚潮で潮が速い状態。前日は更に悪く船の向きも厳しかった。「こんな時に…」と思った時、ルアー組にサバがヒット。右舷大ドモではライトタックルのお客さんにタチウオが…。「ルアーの皆さん・・タチウオいるよ。頑張って…」と他人事の様にプレッシャーをかける。すると私にアタリが。デレクターさんは「山ちゃん何グラムのジグ使ってるの?」と聞いて来た…。「えっと…3.75gが1号だから×50のオモリです」と答えると「…?」。そう、誘い方やアクションが部分的にルアーの操作に似ていて、しかもライトタックルの竿もルアーロッドそっくりなので間違えた様子。「あっ…」痛恨のバラシ。すると、ヤマリアルアーチームに待望のタチウオヒット。「深い所でヒットしました」との事。悔しい~。児島先生もバラして残念。喰いこみが非常に浅い状態だが、潮が速い為に掛かりが浅くなっている感じだ。右舷大ドモのお客さんは5本目。しかし、アタリも散発になりマアジに移動する事になった次第。これから秋口に向けてが本番なので期待したい所だ。

ヤマリアルアーチームが待望のタチウオをキャッチ!
おまけにイカもヒットしてきた

後半はライトタックルのマアジ釣りを満喫!

そして、小柴沖に到着。「楽だね~」と単に仕掛け周りをチェンジ。天秤にゴムクッション、2m前後の3本バリ仕掛けにライト用コマセカゴ40号前後(通常のマアジは120~150号)。ちなみにコマセはイワシのミンチ。アミコマセじゃないの?と思うかもしれないが、これにはワケが有る。アミコマセの場合、広い棚に効果的。例えばサバを狙う時など。所が東京湾のマアジは根周りを狙う。低い棚で効果的に煙幕のようにコマセを出して釣るわけ。例えば千葉外房勝浦あたりのヒラマサを狙うカモシ釣りもそう。

コマセ用のイワシミンチ

今回のマアジは通称「金アジ」。美味しいブランドのマアジを狙います。水深は約40mからスタート。一旦、底に着いたら1m棚を切って、そこで2~3回コマセを出す。更に1m巻いてコマセを出し、ここで食わせの間を取る。数回繰り返すと「来たっ」児島先生、私にヒット。追い食いを狙っている様子。「おおっ…」上げて来るとマアジトリプル。「やった~。山ちゃん見て見て・・見てよ、こっち・・」と真剣にファイト中の私に話しかけてくる児島先生。というのも、私にヒットした魚は明らかに引きが強い。「上がるまで待って…」と言うが、鬼のようなプレッシャーを受け続け、上げて来ると「でかっ・・」。しかもトリプルだったが…1匹はプレッシャーに(?)耐えかねて「ドボン」と落下。しかし、良型のダブル。引きが強い。しかも幅広のマアジ。正にブランドアジ。その後も連続でヒット。サイズも25~38cmという感じだ。ヤマリアメンバーも楽しいの連発。

児島さんはマアジをトリプルでキャッチ!
周りにもいいサイズのアジが連続で釣れてきた

ところが、このあたりで私に良型が多いことに気が付いたようだ。「なんで?」と鋭い児島先生。「エサダマ?」と見つけられてしまった。通常、付けエサは赤タン(イカを小さいサイコロ状に切って赤い食紅で染めた物)を使用するが、潮が若干濁りがちな時には青イソメが効果的とされる。1cm位に切って使用する。確かに効果的でヒットも多かった。ところが小型~中型がこの青イソメに反応。エサ玉に大型という感じのコンディション。エサ玉が有利な点はエサ付けがいらない為に手返しが良い上に、バラシてもエサが取れないので連続して狙えること、アピールの為に、サイズがSからLまであったり、カラーが豊富。さらに、Sを2つ色違いにしたりと、コンディションによって合わせられる訳だ。ヤマリアの栃木さんも、「エサ玉最高・・大きいの掛かりますね」と嬉しそう。吸い込んでくれれば掛かりやすいのも特徴の一つ。これは料理を担当してくれている石井さんの十八番の釣法で、比較テストの際にも圧倒的に差が出た事が有る。児島先生も良型を連発しはじめて「エサ玉だね」と万弁の笑み。最後に大型幅広マアジが…。

そんな感じで楽しいライトタックルで狙う釣りも午後2時30分に終了。釣果はタチウオが0~5本で少し残念。その代わりにマアジはトップが45匹。クーラー満タンになりました。

岸に着いてからは、希望によって魚を捌いてくれるサービスがあります。お一人様500円。さばき方法は、ご家庭でのごみ処理が面倒な『頭と内臓の除去』です。サバはご希望で、3枚におろします。

東北エリアでも十分発展の可能性があるライトタックル。実はカレイの竿をお持ちの方なら出来てしまうんです。専用ロッドは後でも良いし。東北の美味しい色々な魚を釣るチャンスも出て来る。あとは船宿さんにご理解頂いて楽しめれば最高ですね。で、今回の番組はJ-COM湘南「わくわく釣り探訪」さんのご協力によって取材させていただきました。

撮影中にありがとうございました!
【ライト用タックル】
竿:ライトタックル&ライトタックルマアジ2.1m前後のライトタックル用ロッド、東北カレイ用でも代用可能
ライン:PE1.5号前後
リール:小型両軸リール
仕掛け:
マアジ用=ライト天秤、ライトビシ40号(ミンチ)、ライトクッション1.5mm/20cm、ライトタックルアジ仕掛け、エサ=エサダマS~L
タチウオ用=ライト天秤、タチウオ仕掛け、オモリ40~50号
(商品名はいずれもヤマシタ)

【タチウオルアー用タックル】
ロッド:タチウオ用ゲームロッド、7フィートルアー用60~100g対応ロッド
ルアー:メタルフリッカー、シーフラワー80~120g(ともにマリア)
ライン:PE1号
リーダー:30Lb前後(フロロなら25Lb前後)を3m
フック:トレブル1~1/0番

石井ちか江さんの釣り魚家庭料理

安田船長オススメのマアジの煮付け。これが最高に美味しかった。生姜を多めに入れるのがキモ。今回、女性釣り師であり、家庭でもすぐに出来る釣り魚のお手軽レシピを色々と考えている、石井ちか江さんがアレンジ。

☆マアジの梅煮
【材料】
マアジ、しょう油(100cc)、みりん(500cc)、生姜(少々)、梅(3個)
【作り方】
①マアジを下処理する。ウロコ、内臓、エラを取り、飾り包丁を入れる。
②みりんを沸騰させ、醤油を入れる。少ししたら梅と生姜を入れる。※水を使わないで煮るのが特徴。
③アジを入れて、おたまで汁を掛ける様にして煮付ける。
④コクのある美味しい煮付けの完成。
【船宿】東京湾・横浜市・金沢漁港
忠彦丸
ライトタチウオ&ライトアジリレー船
料金9,500円(エサ+氷付、各種割引適用可※詳細はHPで)
〒236-0013 神奈川県横浜市金沢区海の公園9番地 金沢漁港内
TEL:045-701-3086(店)
宿の前には忠彦丸の市場。漁師さんも兼任しているのでお買い得。忠彦丸で釣り物になっていない魚がメインなために買っていく人も多いです
近くの駅までエスティマ2台で無料送迎

金沢漁港から出船

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PROFILE:山口 充

横浜市在住のライター&フォトグラファー。元2輪レーサーで、「宮城ササニシキレーシングチーム」を結成するなど、宮城や東北にも縁がある。現在は大好きな釣りと魚を求めて各地を旅するのが楽しみ。ヤマシタ・アドバイザリースタッフ、マリア・フィールドスタッフ。ブログShisen

 

※取材・テキスト/山口 充
※取材協力/忠彦丸、J-COM湘南

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