仙台湾名物 魚礁マガレイとの再会
6月1日に宮城県下の沿岸漁業が解禁され、塩釜港の遊漁船が一斉に出船を開始した。大型魚礁沖のマガレイ船は解禁初日こそ厳しい条件に苦戦させられたものの、翌日以降は釣果が回復し魚影健在。「いつでも会える対象魚」が仙台湾に戻ってきた。
※2011年6月掲載の記事です。
釣船解禁初日 大型魚礁のマガレイ狙いで出船
仙台湾の船釣りを代表するターゲット、大型魚礁のマガレイ船が出船を再開した。仙台湾の釣り船が集中している塩釜港では、津波による被害はある程度はあったものの、松島の島々に囲まれた地形のためかまがき港を中心に多くの船が残り、沿岸漁業の解禁初日に合わせての出船が可能となった。
塩釜の釣り船が出船を再開した6月1日、解説の菅野順也さんは第三十六東北丸に乗船。この日は4mほどのウネリがあるあいにくのコンディションとなり、マガレイのアタリは極めて少ない状況。それでも、久しぶりの仙台湾は感無量だったようで、「震災前にいつも釣りをしていた海に、普通に出られることがとにかく嬉しかったですね。瓦礫が流れ込んで根掛かりが多発するんじゃないかと心配だったのですが、ポイントの底の状況は昔のままで、以前と同じようにマガレイの引きを楽しめてよかったです」
あたりまえの日常として釣りを楽しみたい
菅野さんはカレイのアタリを楽しむため、テンビンの上にも枝バリを出した比較的短い仕掛けを使っていた。「マガレイはカワハギの仕掛けでも釣れてくるくらいなので、テンビンの上のハリにもしっかり食ってきます。胴突き部分はアタリがダイレクトに出るので、天秤下の2本バリと、2通りのアタリが楽しめます。でも、この日のようにウネリが高く、食いも渋いときは、実際は長めの仕掛けで落ちつけて食わせた方が釣りやすいです」
出船初日は残念ながら10匹釣るのがやっとという状況だったのだが、翌日以降、ウネリがおさまってくると釣果は順調に戻った。この日は震災後、初めての出船だったため、数多のポイントから釣れる場所に狙いを絞りきれていなかったのも一因。現在は、条件のいい日ならトップ100匹の順調なペースで釣れ続いているので、安心して仙台湾に釣行していただきたい。
菅野さん自身も福島市で被災した一人なのだが、「釣り船の船長さんたちにとって釣りは生活の糧ですから、みなさん必死で再開をめざされてます。自分も含めて、釣りが大好きで、生きがいのようになっている人も多いと思います。比較的、被害が少なかった松島湾内や周辺の遊漁船を足掛かりに、釣り人、釣り船一丸となって復興へと向かっていきたいですね」
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取材・解説/菅野順也
取材協力/東北丸(株) TEL:022-364-2653
カレイ釣りのトーナメンターとして活躍しながら、ヒラメ、メバル、マダイ、深海などの各種船釣りにワカサギ、渓流までなんでもこなすオールラウンダー。がまかつフィールドテスター、山豊テグスフィールドテスター。福島市在住