釣行記

東北の有名アングラーらによる釣行リポート!最新の釣況情報、テクニックをカバー!!

美味アジ求めて…仙台湾でビシアジ五目

針生 秀一 2021年4月30日 更新

ビシアジ(アジビシ)釣りとは、コマセビシを使用し、アミコマセでアジを寄せて釣る釣法。東京湾などでは非常にメジャーな釣種だが、東北で本格的に楽しまれるようになったのは数年前からという、比較的新しい釣りだ。これからシーズン終盤にかけては、ブランドアジとして有名な金アジ(黄アジ)に似たタイプが多くなるというのも、かなり興味深いところ。※2010年9月掲載の記事です。

仙台湾のビシアジ釣りはライトなタックルで楽しむ

仙台湾で使うビシのサイズは80号ほどと、他地域に比べるとライトな道具立てで楽しめる。ただし、根周り(漁礁周り)を釣るので根掛かりには注意が必要

「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通りに、ようやく秋の訪れを実感するようなってきた9月22日。東北のビシアジ釣りの先駆けである、塩釜まがき港、第一海友丸に乗船してきました。

取材日は私を含めて6名の乗船。瀬戸慎也船長に前日の状況を聞くと、「全体の数は最近の平均くらいでしたが、30匹台の人が3人で、船中ムラなくアジが釣れましたよ」との話で、秋に入り、例年通りに上向いてきたようです。

私は右舷のミヨシに席を取り、タックルをセット。竿は50号負荷の1.8m、リールは電動丸の400番。比較的ライトな組み合わせで尺上の大アジを狙えるのが、仙台湾のビシアジ釣りの魅力です。

上)ロッドは特注のグラスワンピース1.8m、50号(シマノのBJSバットに対応)。一般的にはオモリ負荷40~60号のライトゲームロッドが向き、操作性重視なら7:3、食いこみを重視するなら6:4と使い分ける。リールはシマノ電動丸400C(シマノ)、ラインはPE2号を使用
アミコマセといっしょに専用バケツが配られるので、コマセの心配は不要。付けエサはアカタン(イカの食紅染め)やアオイソメ。ハイシーズンはサバに悩まされることが多く、エサ盗りが多いときは空バリの方がいい場合もある

アミコマセ、バケツが配られ、午前5時に出船。天候は曇りで、北東の風波を切って走り抜け、航程1時間ほどでポイントに到着。釣り座にコマセバケツをセットして、80号のビシにアミコマセを8分目ほど詰めてスタンバイ。仕掛けは、サバ避けに効果のある銀バリのムツ10号で、ナイロンハリス2号の2本バリ仕掛けで始めます。

慎重に潮まわりして、「水深は40m、底から5mまでを狙ってください」のアナウンスで投入。サミングを入れて、糸フケを抑えながら落とし込みます。着底して手早く巻いて底を切り、道糸が真っ直ぐに戻るのを待って再度、底ダチを取り直します。ビシ釣りは、なんといってもコマセワークと正確なタナ取りが決め手。2m巻いてコマセを振り出して3mで待ち、5mまで50cm刻みで探っていきます。振り出したコマセの中に、仕掛けを入れるイメージです。これを往復したら回収、コマセを詰めて投入を繰り返します。

仕掛けは片テンビンにビシを組み合わせ、その下に市販仕掛けをセットするだけ。写真のクリーンビシアミ80(ヤマシタ)が、コマセの出が丁度いい船長の推奨品だ。仕掛けはムツバリ9~11号の2~3本バリ。定番になっている金バリ系の食いがいいが、サバが多いときは銀バリ系で、さらに夜光留などの飾りを外すと◎。この日の後半に針生さんが使った、カラーバリ系も様々な状況に対応できるメリットがある
[PR]

コマセを効かせて食い気をあおり、数を伸ばす

開始から10分ほどで、トモ側からアジが上がり始めました。私も底から2mにタナを合わせて誘うと、ググッと底に持ち込むアジの魚信。リールを数回巻き、巻きアワセでしっかりハリ掛けして、電動丸の楽速モード15で巻き上げます。残り3mでキーパーに置き、ビシが海面に出たところでストップ。竿を立て、ビシをバケツに入れて海面を見ると、良型のアジが2匹。タイミングを計って、一気に両手で抜き上げます。

「底ギワの反応が濃くなってきましたよ」のアナウンス。コマセが効いてアジが寄り始めて、船中次々とアジが上がります。私も早々にツ抜けしますが、潮が速くなると同時に、食いが渋くなってきました。ここから小移動を繰り返し、コマセを丹念に振り出して狙うも食いは立たず、時合いを待つような状況が10時過ぎまで続きました。 

ここで粘っても得策ではないと、瀬戸船長は20分の大移動。50mダチで再開します。タナは底から3m以内のアナウンス。風も強まり、短いピッチで揺れて釣りづらい状況。しかし移動の判断が当たり、一投目からアジが順調に上がります。2mで振り出して3mで待つと、30cmクラスの良型アジが連発。船中活発にアジが取り込まれます。風波で揺れが大きく、巻き上げ、取り込みでのバラシも多いが、アジの釣れ具合は復活です。

スタートしてすぐに針生さんはダブル掛け。タナにコマセが効くと、船中、次々とアジが上がった。アジは30cm前後の良型が多く、40cm近い大型も混じった

おいしい金アジには巨大ヒラメも味を占める?

上)メバルは定番のゲスト。中)歯形のついたアジ。ヒラメは今季すでに101cm、98cmが上がっている。下)針生さんの釣果。これから秋のシーズンは、25~30cmと型は小さめながら、体高があり、ヒレが黄色っぽい、金アジ(黄アジ)タイプが多くなる。他地域のブランドアジとの違いは分からないが、仙台湾の金アジのお味もかなりのものだとか

この日は珍しくサバの妨害が少なかったので、赤、緑のムツバリで、比重のあるフロロカーボンハリスの仕掛けに変更。赤バリにアカタン、緑バリにはアオイソメで釣ります。アカタンはアジの定番エサですが、濁りや曇天時にはアオイソメが特効エサになります。イソメは2cmほどに切って通し刺しにします。

底ギワでアジが掛かり、一荷を狙って待っていると、突然ググッと強い魚信。次の魚信で竿を立てると、重く突っ込む強力な引き込み。ドラグを調整し、ゆっくり手巻きで巻き上げ開始。時折、強烈な引きが襲ってきます。しかし揺れと引きに耐え切れず、残り10mでバラシ。回収するとハリは伸びていて、30cmほどのアジが無残な姿で上がってきました。

その歯形と感触から推測すると、大型のヒラメだったようです。あとで船長に聞くと、8月にビシアジ釣りで上がった98cmのヒラメも、このポイントとのことでした。最後に食いが立ち、午後1時に沖上がり。私は28~35cmのアジを26匹。竿頭は的確なコマセワークで34匹を上げた釣友の助川くん。船中12~34匹のアジで、風波の厳しいコンディションの中、まずまずの釣果でした。

仙台湾のビシアジ釣りは、これから12月くらいが一番面白い時期。金色で体高のある、美味なアジが釣れます。多彩なゲストも入って、内容濃く楽しい釣りを味わえますヨ!

塩釜港の第一海友丸は仙台湾にビシアジ釣りをいち早く導入。前デッキにキャスティングゾーンを設け、ジギング、ルアーの船としても人気高い。瀬戸船長が親切にアドバイスしてくれるので、ビシアジは初めてという方も安心して挑戦してみてほしい。ご予約や空席情報はコチラ

写真・テキスト/針生秀一
取材協力/第一海友丸(TEL:022-365-7589)

◆記事に書けない裏話や質問への回答は無料メルマガ(毎月25日発行)で配信中!

PROFILE:針生秀一

船釣りを中心に、防波堤や河川の小物釣りなど、なんでもこなすオールラウンダー釣り師。全国各地の釣りと釣り具の知識が豊富で、釣りの生き字引的存在。泉区のロックバーラグ(Rag)オーナー。シマノフィールドモニター

 
[PR]
Amazon堤防Amazon堤防釣り初心者