初夏の根魚盛期に大型アイナメを獲るためのワームコントロール術
東北太平洋側は初夏のロックフィッシュ盛期。岩手沿岸北部・野田村在住の大沢和輝さんがこの季節に有効なアイナメの攻略テクニックを紹介します。
※2017年7月掲載の釣行記です。
いよいよハイシーズンの足音が聞こえてきた岩手県北エリア。徐々に良型のアイナメがシャローに差し始めて来ました!!!
そんなハイシーズンのアイナメを大沢がどう狙ってるのかをご紹介。とはいえ、皆さんそれぞれ『この時期はココで釣れる』といったポイントがあったり、更には各メディアで凄腕の皆さんがシーズナルパターンを説明していると思いますので、今回は場所については割愛させて頂いて、少し違った方向からアイナメを攻略していこうと思います(笑)
アイナメの「気を引く」とは?
まず、大沢が一番アイナメを狙う上で気を使う事。それは、『アイナメの気を引く』
どういう事かと言うと、今や毎日のように色々なルアーを見て来ているアイナメ。そのアイナメを騙す為に必要だと思っているのが〝スピード〟。このスピードこそがアイナメに興味を持たせ、そして騙す武器になります。
例えば…
「向こうから人が歩いて来て、自分と目が合った瞬間。全力で逃げられたとしたら。。。」
「目の前を全力疾走で知らないおじさんが走って行ったら。。。」
謎な例えが多くて申し訳ないのですが(笑)、これらの状況に出くわした時、人は必ず〝気になる〟と思うんです。そして、積極的な人は〝次のアクションを起こす〟んです。
「目が合い逃げた人を追いかけて声をかける」
「走るおじさんを目で追う」
釣りをしている最中、アイナメがチェイスしたら、クルッと戻った方向に向かってキャストしたり、早い段階で気づいた人はフォールを入れたりシェイクしたり。
釣り人は魚を釣る為に釣りをしてますからね(笑)。つまり、ターゲットの姿を見て活性が上がったような状況。これがアイナメであれば、目の前を高速巻き→即バイトです(笑)
前置きが長くなりましたが、アイナメも同じように気にする、気になる、興味を持つ、といった現象が起きると大沢は想像しています。それが全力疾走だったり、普段見るモノや人と違う動きや速さで動いていると余計に気になるんですよね(笑)。だからこそ、アイナメ釣りで重要視しているのがスピードなんです。
気にして貰えれば口を使う可能性が多くなりますからね。魚は興味がある物や食えるかどうかを口で確認するので、人でいう手の役割ですね。
さて、そのスピードですが、「アイナメから逃げる」イメージです(笑)。回収する時ぐらいのスピードで巻く。
大沢の場合はリールのギア比が低いものを好んで使うので、速く巻くのですが、大体水深2mぐらいまでのシャローなら28gのシンカー、それ以上なら35gで、底を擦らないぐらいのスピードでリトリーブします。
これぐらいのスピードであればアイナメは平気で追い付きます。そして、速い動きに反応する個体ほどデカイです。特に初夏のシーズンに反応がいいアクションでもあります。
中には泳ぐスピードが遅い個体も居ると思います。
各シーズンで使えるアクションでもあり、大沢が一番多用するのが、ストップ&ゴーです。2、3回転リールを高速で回してストップ、これの繰り返しで探っていきます。
特に初夏のハイシーズンであれば、ボトムを気にしなくても大体真ん中より下のレンジにリグがあれば良いので、このストップ&ゴーでザックリとテンポ良くランガンする釣りをメインにしています。
そして、「今日は渋いな」といった日にはロングジャークでリグを思いっきり跳ね上げ、フリーで落とす。これの繰り返しをします。
実はどれもリアクション狙いの釣りなんです(笑)。他の魚もそうなんですが、水族館などが良い例ですよね?エサとなる魚と一緒にサメが泳いでいたり‥。
お腹が空かなければ捕食行動をとらない。そう考えると捕食するタイミング以外は捕食行動をとらない可能性があるので、良く言う時合い(個体差はあると思うので時間はバラバラ)以外はエサを食べないって事になるんじゃないか?と大沢は勝手に考えています。
そこに低気圧が接近したり色々な要素が合わされば捕食行動するタイミングが増える。台風が来る前に買い溜めをするように(笑)
そう考えた時、一番効率的にアイナメを攻略出来るのがリアクションの釣り。で、テンポ良くめぼしいポイントをランガン。これが今の大沢のアイナメの狙い方です。
なので、アクションの話に戻りますが、28gをベースとした横の速い動きでのリアクションと35gをベースとした縦の動きのリアクション。
※縦のアクションをする時はどうしても7回前後アクションを入れるとPEの浮力があったとしても糸が寝てリフトの高さが出なくなってしまうので、手前、真ん中、奥とキャストを分けます。
そして、リアクション+食わせの間を作ったストップ&ゴーでのリアクション。という考えで釣りをしています。
使用するワームは形状を考え、比較的水掴みが少なく、ストンと落とせてロールでアピール出来る「スプーンテールシャッド」や抵抗の少ない「リングマックス」、「ロックマックス」の5インチクラスを多用します。
また、魚に見つけて貰いたいけどシルエットは抑えたい時は小粒でもしっかりとアピール出来る「バルト3.5インチ」や、更にスピードを上げて誘うための「グラスミノーL」、どんな場面でも優等生な「パワーシャッド」を場面場面で使い分けます。
カラーはリアクションがメインなので、ラメの入った強い色や濃いめの色をベースに組み立てます。
ワームは比重が比較的軽いものを多用します。そうすることでキャスト時にシンカーとワームのウエイトが分散しにくく、空中で回転しにくいため飛行姿勢が安定します。さらに水中でのリグのレスポンスも良くなるのが比重の軽い細身のワームのメリット。
特に初夏のハイシーズンのアイナメは細身の少しサイズがあるワームに好反応を示すので、ワームサイズは5インチをベースに、6インチを織り交ぜながらアピール力重視で組み立てています。
特に大沢が好んで使っているワームは空気抵抗も少なく、飛行姿勢も安定しますので今のロングスピンでド遠投する釣りをメインにしていた方でデカイワームを使ってみたいけど、やっぱ飛距離が…と思っている方にも、満足出来るぐらいの飛距離は出ると思います。
大きなワームで探る事により側線が他の魚より発達しているアイナメを波動で、更に視覚でも遠くから寄せる事が出来るので、意外と効率良く魚を見つける事が出来るのが何よりも強みです。
そして、デカイワームで釣った時、その時に最高の楽しさに笑みがこぼれると思います(笑)
上から
スプーンテールシャッド5in
リングマックス 5.3in
パワーシャッド5in
ロックマックス5in
パワーシャッド4in
バルト3.5in
グラスミノーL
(エコギア)
しかし、こういった速い釣りで一番致命的なのがワームのズレ。折角バイトしてきたのに掛からなかった。この釣りはセカンドバイトをしてくる事が多々あります。その際にワームがズレていたら・・。
そういった時にワームのズレを最小限に抑えれるようなフック。それが、Ocean Rulerから発売されております「エクストラホールド」というフック。クランク部にワームキーパーの「チョビ」が付いているオフセットフックなのですが、このチョビが凄いんです(笑)。チョビだけでワームがズレにくく、寿命もかなり伸びますのでストレスが激減します(・∀・)
また、「インターシンカー」にも1ランク重いサイズの35gが追加でラインナップされました。このシンカーは真鍮素材の為硬く、根掛かりも少ない形状をしっかりとテストしていますので、テンポを崩さずに釣りが出来ます。2017年はバージョンアップしてブラックニッケル塗装の際の工程を増やし、見た目もより綺麗になり塗装が落ちにくくなりました!
特に今回紹介したリアクションメインの釣りではワームをアピールしたいので、ローアピールなシンカーが効果的。こういった黒いシンカーは光を吸収するので、光沢はありますが、シンカーバイトが激減し。待望の金属バイト!!スカッ…っという切ない現象が少なくなります(笑)
「インターシンカー(オーシャンルーラー)」:ブラックニッケル塗装の工程が変わり、より綺麗になり、塗装も強くなりました
「エクストラホールド(オーシャンルーラー)」:クランク部にワームキーパーのついたオフセットフックで、ワームがかなりズレにくくなり、リアクションの釣りにも最適ですし、ワームの寿命が長くなります。
大沢自身がこの釣りをするにあたり、タックルバランスを煮詰めた結果、糸も今は細糸が主流になりつつあるのですが、例えPEといえど3~4%の伸びがあります。
フルキャストして、100m飛ばすなんて方も沢山居ると思いますが、100mで4%の伸び+水圧、となると沖では意外とリグが動いてなかったりするんです。なので、ヘビーウエイトのリグを振り切れる硬いベイトロッドにPEの2号。20Lbリーダーというセッティングで飛距離を出しつつ、伸びを抑えPEの浮力で沖でもしっかりリグが動くようにセッティングを出しました。
■ロッド:RPO86ZXHC2 MAX LIFT(ノリーズ)
■リール:アンタレスDC7-LV(シマノ)
■ライン:スーパーブレイド5(サンライン)2号
■リーダー:船ハリス(サンライン)5号
アイナメを狙う上で必要なヘビーリグをストレス無く操作出来る硬いティップ、モンスタークラスにも負けないパワー、そしてヘビーリグを腰を入れてフルキャスト出来る厚巻きのブランクとロングクリップ。最高の相棒です
その他にも、水圧で若干ワームが小さくなる事を考慮して、少し大きめのワームを使ったりしています。
糸が太いと良く言われたり、シンカーが重過ぎると言われたりするのですが、どれも快適にリグを操作する為、そして魚に口を使わせる為、何よりも掛けた魚をラインブレイクする事なく100%獲る為のセッティングでございます(笑)
もちろん糸が細くないと食わない個体やシンカーが軽くないと食わない個体も沢山居ると思います。そして、フロロじゃないとダメな場面も多々ありますので、このリアクションの釣りが正解!ということは決してありませんので、皆さんの好きな釣りやスタイルでロックフィッシュゲームを盛り上げて楽しんでもらえればと思っています!!!こういった考え方や釣り方があるんだなぁ、と頭の片隅に置いて貰えれば幸いです。
正解は決して1つでは無い。それがロックフィッシュゲームの魅力でもありますし、アイナメは色々な釣り方で、リグで釣れる魚なので、これからのハイシーズン。全力で楽しんで行きましょう!!!
最後に。これからの時期、太陽の日差しで地面が熱くなります。リリース前提の釣りの場合、地面にアイナメを置いてしまうと火傷をして致命傷を負ってしまいますので、地面をしっかり濡らして温度を下げてから地面に置いたり、可能であれば体温でも火傷をしてしまいますので手を濡らしてから魚を触るなどの配慮をしてあげると今後、末永くロックフィッシュゲームを楽しめるようになると思いますので、宜しくお願い致しますm(_ _)m
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※画像・テキスト/大沢和輝(オーシャンルーラーフィールドスタッフ)