越喜来湾でキングサーモン11kgの快挙![三陸マスジギング]
キングサーモンは標準和名マスノスケ、三陸ではスケマスやダイスケなどと呼ばれる大型のサケ、マス魚類だ。最大60kg以上に成長し、カナダのバンクーバー島周辺などではトローリングなどのターゲットとしても人気がある。
キングサーモンが日本に遡上、繁殖することはないが、サクラマスやカラフトマスとともに南下回遊する個体がいて、三陸の定置網でも毎年、数は少ないものの漁獲されてきた。
2015年4月22日、そのキングサーモンが岩手県北上市の江本賢俊さんにより釣り上げられた。舞台となったのは今季、サクラマス狙いのマスジギングが好調の岩手県大船渡市・越喜来湾(おきらい湾)
越喜来湾のサクラマスジギングは数年前から一部遊漁船が積極的に狙っていたのだが、これまで釣果が不安定な、なかなか釣るのが難しい魚だった。 それが今シーズンは序盤から好釣果が続いたことで狙う遊漁船が急増。今回、江本さんが乗船した崎浜漁港の釣り船、荒神丸も今シーズンからマスジギングでの出船を本格化させた遊漁船の一つだ。
※2015年5月掲載の釣行記です。
サクラマスジギングは今がハイシーズン!
江本さんがサクラマスジギングにハマったのは3年前。三陸のマスジギング人気がじわりじわりと上がり出した時期から。三陸より前からマスジギングが流行っていた下北半島の尻屋崎沖にも通っていて、今シーズンも1月の尻屋沖からマスジギングをスタートさせている。
タックル、メタルジグはスロー系で統一。3ozクラスのスローピッチ用ロッドと100g前後のスロー用メタルジグを使用した。もともとジギング系の釣りが好きだったが、近年は日本海のアカムツや太平洋のメヌケなど、スローピッチジャークのジギングにハマっているという江本さん。
「マスジギングでは反応のある層にレンジを合わせるのがとにかく大事です。アクションはネチャネチャとゆっくりめに誘うと効果的ですね。合間に止めを入れ、ジグがフワフワと漂っている時に食ってくることも結構あります。ロングジグも使いましたが、アタリが少なくなることが多く、マスがベイトにしているメロウドサイズの小さめのジグの方が実績がありますね」
キングが釣り上げられた4月22日は朝からサクラマスの活性が高く、群れが回ってくると4本同時に釣り上げられるなどハイペースに釣れていた。ポイントの水深は70mくらい。荒神丸の江刺船長によれば、ベイトのメロウドが水深20mくらいまで浮いていたそうで、ベイトの群れが濃く、メタルジグのフックにメロウドが引っ掛かってくるほどだった。
8時50分頃、その時は突如としてやってきた。一番後ろの釣り座で釣っていた江本さんに強烈なアタリ。
「ドンッ!ときたので、一発でこれはマスだと確信しました。ただ、その後の引きがあまりに強すぎたので、途中からこれは季節外れの青物では?と思い始めましたね」
「10mくらいまで巻き上げると急に暴れ出し、30~40m走り出すことを3回くらい繰り返したでしょうか?スロー用の竿の曲がりを使って走り出したら走らせるようにして無理せずやり取りして、10分くらいかけてランディングに持ち込みました」
マスは口が弱く、フッキングが甘いとバラシも多い魚だが、口の中にしっかりハリ掛かりしていたのが幸いした。フロント、リアともに自作のダブルフックで、フックリーダーは全て3.5cmに揃えていたそうだ。
「実はキングサーモンの価値をあまりよく知らなくて、釣った瞬間はこれってそんな凄い魚なんだ?と実感がわきませんでした。色々と話を聞くうちにようやく重大さが分かってきて、今は無事に釣り上げることができて良かったと思っていますよ」
荒神丸の江刺船長によれば、この魚が釣り上げられる2日前の4月20日にも、首崎(こうべさき=吉浜湾と越喜来湾の間の岬)の定置網に大型のマスノスケが掛かっていたので釣れてくる期待・可能性はあった。とはいえ「まさか本当に釣れてくるとは‥」と船長もびっくりだったそうだ。
荒神丸はこの日はサクラマスも好漁でオオメマス(トキシラズ)も釣れるなど、絶好調の釣果だった。サクラマスのシーズンは大体5月半ば頃まで。夢のチャンスはあとわずかですよ!
■ロッド:ポセイドン スロージャーカー603-3(エバーグリーン)
■ライン:PE1.2号+ショックリーダー4号
■メタルジグ:スパイファイブ100g、スロースキップVB100g(ディープライナー)、スローライダー105g(ネイチャーボーイズ)など
■フック:ジガーライト ホールド(カルティバ)3/0 ※前後ダブルフック、フックリーダー3.5cm
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※取材・解説/江本賢俊(岩手県北上市)
※取材協力/荒神丸(岩手・崎浜漁港)TEL:090-7065-3004