釣行記

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ルアー用の塗料の話(1)コーティング [東北の巨匠・村岡博之のオライノLure論]

村岡 博之 2020年7月21日 更新

東北で釣りをするには厳しい季節になってきました。この時期はハードルアーよりもソフトルアーの釣りが多くなります。この時期にシーズン中に使ったルアーのメンテナンスを、なんて考えている人も多いかもしれません。そこで今回はルアーのメンテに使う塗料の話をしましょう。

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大きくセルロース系とウレタン系の2種類がある

ハンドメイドでルアーを作っている人ならわかるでしょうが、塗料には大きく分けてセルロース系とウレタン系があります。 これらの2種類は釣具店やショップで簡単に手に入ります。扱いやすいのはセルロースセメントなどのラッカー系なのですが、この塗料はルアーのコーティングや素材であるABS(強化プラスチック)を侵してしまいます。つまりは塗ったものを溶かしてしまいます。

基本的にセルロースセメントは最初の被膜を溶かしてそれ以降の被膜と一体化します。例えば10回ドブヅケしても被膜は1層で厚くなります。ウレタンは下層を侵すことなくドブヅケした回数だけ被膜ができます。セルロースセメントを使う場合はルアーの塗装をずべて剥がしコーティングする必要があり、カラーリングした場合は「色止め」という作業が必要となります。

セルロースセメント塗料

簡単なメンテナンスなら1液性のウレタンがおすすめ

市販のルアーをコーティングして強化したり、ちょっとしたキズを直すのであればウレタン系がおススメで、比較的入手しやすいのが1液性ウレタンです。1液性ウレタンは容器に入ったまま、その中にルアーをドブヅケするだけなのでとても簡単にルアーのメンテナンスができます。ルアーの塗装の被膜を侵すこともないので、とても扱いやすい塗料です。一回のドブヅケでセルロースセメントの数倍の厚さの被膜ができます。

1液性のウレタン塗料

万能と思える1液性ウレタンにもいくつかの問題点があります。それは開封と同時に劣化が始まるということです。けして安価とは言えないウレタンですが、開封して1回使って放置していると、1か月も経つと硬化が始まり色も変色してきます。

容器のふたをしっかりと閉めていてもダメです。夏場の湿度の高い時などは1週間で硬化が始まります。ウレタン特性として空気中の水分に反応して硬化が始まります。使い切るなら夏場でもよいですが、なるべくなら湿度の低いこの時期がおススメです。また、保管は冷蔵庫の中で、使うときは常温に戻してから使うといいでしょう。

余談ですが、プロのビルダーが使っているものに2液性のウレタンもあります。これは2液(硬化剤と主剤)を混ぜなければ硬化することはありませんが、価格も高価で混ぜ合わせるとすぐに硬化をはじめ、使い切ってしまわなければならないので一般には不向きです。

最後に、ショップでウレタンを購入するときはなるべく透明のものを購入しましょう。黄ばんでいるものは、硬化が始まっているかもしれません。可能なら振ってみて粘度の低いものを選ぶようにしましょう。稀に硬化しきった物が店頭に並んでいることもあります。

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PROFILE:村岡 博之

石巻を拠点に活動するベテランルアーマン。自称東北の巨匠。シーバスをメインにサクラマスやロック、フラットなど幅広く嗜む。ハンドメイドルアーファクトリーOrynO(オライノ)代表。ピュア・フィッシング・ジャパン、ジャクソン、エクリプスフィールドテスター、リアスアドバイザー、がまかつ他サポートメーカー多数。
ブログはこちら http://oryno.ni-3.net/

 

※取材・テキスト/村岡博之