磯釣り・クロダイ釣り入門ガイド【8】実釣の手順1:釣行前~釣り場に行くまで
クロダイ釣り(ウキフカセ釣り)、磯釣りの基本を亥飼真司さんが紹介します。
今回は釣り場へ行く前と現場に着いてからの準備や道具の組み立ての手順や、釣りをして磯から帰るまでを一通り紹介していきたいと思います。
先ずは情報を集めよう!
私もですが、「○月○日、○○エリアに○○を釣りに行こう!」と予定を決める事が多いと思います。東北地方ではこれから春磯シーズンを迎えますが、今はまだ水温も低く、魚の気配が感じられない場所も多い状況です。そんな中、状況を確認せずに「沖にある、ガンガン潮の流れる有名な1級磯の○○島で釣ろう!」と行っても寂しい釣果で終わる事が多々あります。
ハイシーズンでしたら全体的に釣果が期待できますが、ノッコミ前の低水温時ではそうはいきません。一般的には水深の浅い藻場が水温の上がりも早く、早い時期のポイントとされていますが、前日までの天候や潮の流れなどでも変わってきますし、地域によって早い時期から釣れるポイントもありますので、やはり地元の釣具店さんや渡船の船長さんに情報を聞いてから場所を選んだ方が良いでしょう。
その時に釣れている魚のサイズやエサ盗りの多さも聞いておくと、準備するタックルやエサの量の目安にもなると思います。釣り場選びは「いつ、どこで、何を釣るのか?」と「いま、どこで、何が釣れているか?」を照らし合わせてみると良いかも知れませんね。
釣行に向けて準備を始める
「準備する時が一番楽しい」とよく言いますが、「ロッドとリールはあれを使って~、ラインは○○を巻いて~、あのウキとこのウキが~」などと、あれこれ考え(妄想?笑)しながら準備すると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
そんな楽しい準備の時間ですが、日程、釣り場の状況、魚の情報がある程度解ってくれば持って行くタックルの種類もなんとなくイメージが湧いてくると思います。ロッドやライン、ウキやハリなどのタックルや小物類、ライフジャケット、レインスーツ、スパイクブーツやシューズなど着用するもの、コマセバッカン、水汲みバケツ、マゼラー、コマセシャクなどのコマセ関係等々、磯釣りは準備する物が多いので忘れ物の無いように気を付けましょう(私もたまにやらかします笑)
エサの解凍ですが、生のオキアミは一度解凍してしまうと傷むのが早く、再冷凍しても次に使う時にはコマセ用としては使えますが、付けエサには使えない事が多いので、釣行前日の予報や、お世話になる渡船屋さんの判断を聞いて釣りが出来る事が確認できてから解凍した方が良いでしょう。
自然解凍で少しでも早く解かしたい時は、オキアミを袋から出してバッカンの中に立てて置くと、寝かせて置くよりも早く解けます。
ここで一つ、渡船の時に自分の荷物がわかりやすくする為にロッドケースやバック類には自分の名前が見えるように書いておいて下さい。船の中で荷物を取る時に「そこの黒いバックを取って下さーい!」と言っても皆同じ様なバックやロッドケースを持ってきていますので、どのバックか分からなくなってしまいます。「○○と言う名前のバックを取って下さい」の方が見つけやすいですよね?「そこの黒いの」や「赤色の」だと時間もかかりますし、まわりに迷惑もかかります。ネームステッカーを貼ったりするのも良いと思います(それもまた楽しいのですが・・・笑)
現地に着いてからの準備(釣り場に向かうまで)
地磯でも沖磯でも磯に出る前に自分自身が着用する物から上げていきます。キャップ、ライフジャケット、スパイクシューズ又はスパイクブーツ、グローブ、安全面やウエアーの汚れ、損傷を気にするのであればヒップガード。暗い時間帯でしたらヘッドライトも必要になります。
雨具ですが、磯では晴れていても波しぶきがかかったりしますので、晴れの日でもレインスーツを着用する事も多いので必需品です。緊急時に連絡が繋がる様、ケータイ電話(スマホ)も持っていきましょう。雨や波しぶきが気になる様でしたら防水ケースに入れておくと安心です。
※安全の為にライフジャケットとスパイクシューズやスパイクブーツの着用は怠らないで下さい。磯で着用するライフジャケットは膨張式ではなく、浮力材の入ったベストタイプを着用して下さい。膨張式だと岩や貝で擦れた時に穴が開いたりしてしまいます。ライフジャケットを着用した時は股ベルトも締めて下さい。股ベルトを締めないと落水した時にライフジャケットがスッポ抜けてしまいキケンです。
次に磯に持って行く物を点検します。ロッドケース、タックルバック、コマセバッカン、場所や季節によってはクーラーボックス等、磯に持ち込む物を確認し、渡船などの荷物の受け渡しの時に中身が落ちない様にチャックやロックがきちんと閉まっているかもチェックしましょう。
磯釣りでは道具やタックルの組み立ては磯に着いてからになります。仕掛けも基本は現場に合わせてになりますので、組み立てて行く必要はありません。コマセシャクもバッカンに刺して行かず、ロッドケースにしまっていきましょう。引っ掛かって転倒する事もありますし、破損の防止にもなります。
【沖磯の場合】渡船で磯へ
準備が整ったら磯に向かいましょう。渡船を使用する時は船長さんの指示に従って行動しましょう。磯に船が着いたら、荷物の受け渡しになりますが、両手に荷物を持って両手がふさがったまま船から磯、磯から船へと渡らないで下さい。渡船時の事故で一番多いのは船が磯に着いてから磯へと渡る「磯付け」の時です。この時は細心の注意を払って下さい。
磯に渡る時は身体だけ渡り、荷物は渡してもらう様にします。また、同船された方が先に磯に渡る時は荷物を渡してあげて下さい。「自分の荷物じゃないから」、「自分のグループじゃないから」と言わず、安全の為に助け合いの精神でお願いします。
荷物を渡してもらったり、受け取ってもらえれば嬉しいですよね?まわりの方もそうだと思います。船に戻ってから「釣れましたか?」なんて会話も弾みますし、情報交換も出来ます。事故が起きてしまったら釣りどころじゃありませんし、仮に釣りが出来ても楽しめないと思います。自分も含め、皆で楽しく釣りをする為にも協力し合いましょう。
荷物はバケツリレーの様に後ろの人が前の人へと渡していき、船の先頭の人が磯に上がった人へと荷物を渡します。と言っても初めの慣れないうちは危ないですし、荷物を渡すタイミングなど分からないと思いますので馴れている方の動きを見たり、フォローに入ったりして覚えていきましょう。
【地磯の場合】歩いて地磯へ向かう
地磯へ向かう時は磯場までの道のりもありますので、荷物は必要最小限にし、身軽な状態で行きましょう。地図や写真等でルートを確認し、できるだけ安全な道を選びましょう。
磯に出た後も潮の干満や高波で帰れなくなる事がありますので、天気予報だけではなく、現場での判断も重要になってきます。沖磯でも同じですが、釣りをしていて「風向きが変わった」とか「波の向きが変わった」なんて時は注意が必要です。自分の目の前ばかりを見るのではなく遠くの方や、周りの状況にも気を配り、釣りに夢中になっていて気付いたら帰れなくなっていたなんて事が無いようにしましょう。
「在り来たりな話しだ」と思われるかも知れませんが、状況の変化を読み取る事は安全は勿論ですが釣果にも繋がります。せっかく広~~い海に来てるのですから目の前に囚われず、広~~~くまわりを見渡して見ましょう!釣果も上がると思いますよ。
※次回はいよいよ釣りを始めてからの手順を説明します。
※画像・テキスト/亥飼 真司