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ウキフカセ釣りの専門用語まとめ[グレ、チヌ、マダイ]

2017年10月6日配信 【HOWTO】 【亥飼 真司】

ウキフカセ釣り、磯釣りの基本を亥飼真司さんが紹介していく連載です。

クロダイ、メジナ、マダイなどを狙う「ウキフカセ釣り」はある程度釣りの知識がある人でも分からないような専門的な用語が一杯です。実際、ウキふかせ釣りを始めてみると「全層、全遊動、0、1ヒロ、竿1本」等々、意味の分からない専門用語がよく飛び交うと思います。今回は、そんなウキふかせ釣りで使われている専門用語と少しマニアック?(笑)な説明をしていきたいと思います。

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磯釣り入門ガイド

ウキフカセ釣りの基本となる用語

まず始めにウキフカセ釣りってどんな釣り?というところから。ウキフカセ釣りの原点は徳島県「阿波」のフカセ釣りで、「阿波釣法」とも呼ばれています。

元々のフカセ釣りとは糸、ハリ、エサのみのいたってシンプルな仕掛けを漂わせて(ふかせて)釣る事からフカセて釣る=「フカセ釣り」と言います。その後、離れたポイントや深いタナを釣る為にウキを使用する様になり、今のウキフカセ釣りとなりました。

マキエ(コマセ)を撒くというのも「阿波釣法」の重要なところで、フカセ釣りのターゲットである警戒心の強い根魚のグレ(メジナ)をマキエ(コマセ)で浮かせて釣り易くする役割があります。

■アタリ・・・ウキやライン、竿先に魚が付けエサをくわえた時に出る変化や動き(ウキが沈む、ラインがスーッと動く、竿先にツンツンやコツコツなど魚からの振動が伝わる)をアタリと言います。

■アワセ・・・エサに食い付いて来た魚にハリを掛ける時の動作になります。掛け合わせ、合わせるとも言います。

■糸フケ・・・竿先からウキまでの間の糸(ミチイト)のたるみの事を言います。ウキフカセ釣りではこの糸フケ、糸のふかし具合が重要で、仕掛けのなじみ方やウキ(仕掛け)を流して釣る時などに大きく係わってきます。

■エサ取り、エサ盗り・・・ターゲットとしている以外の魚や本命以外の魚。付けエサだけを取っていく魚。

■オープンベイル・・・普通、釣りでリールのベイルを開ける時は仕掛けを投入する時が多いと思いますが、ウキフカセ釣りでは仕掛けの投入時以外でもベイルを開けたままにする事があります。どの様な時にオープンベイルにするのかというと、仕掛けを流す時やアタリを待つ時。仕掛けを流す時は状況に応じてライン(ミチイト)を出さなければいけないので、ベイルを開けている方が対応しやすくなります。アタリを待つ時は不意を突かれた時や大物が掛かった時にはラインを出して対応することができます。動作はスプールエッジを軽く指で押さえ、余分なラインが出ていかない様にします。

■地方向き・・・陸地側を地方と言い、(沖磯や半島から)陸地側を向いて釣りをする時に地方向きと言います。

■沖向き・・・地方とは逆に沖(海側)を向いた方向を指します。地方向きのポイント、沖向きのポイント、沖向きで釣れたといった感じで使われます。

■沖磯・・・陸地から離れ沖に位置する磯。ハナレ磯。陸地から離れ渡船を利用して渡る磯も沖磯と呼ばれます。陸地に近い磯は地方寄りの磯と呼ばれます。

■地磯・・・陸地から続いている磯を地磯と呼びます。

■シモリ・・・海底の岩礁の事で、隠れ根、沈み瀬、シモリ根とも言います。魚の着く好ポイントですが、魚が掛かった時に根ズレでラインブレイクしやすい厄介な場所でもあります。

沖磯
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ウキフカセ釣りのタナと、長さの単位について

釣りをされている方ならご存知でしょうが、タナ(棚)は「魚の居る層」の事で水深ではありません。仮に水深が10mある所で魚の居る層が海面から5mだとすると「タナ5m」と言います。

船釣りに行くと船長さんが「タナは上から○m、下から(底から)○m」と教えてくれます。船の場合は水深もありますので下から言った方が早いとか正確という面があります(底を取ってからタナを判断する)。ウキふかせ釣りの場合はそこまで水深もありませんので、殆どの場合は海面からタナ○mと言います。

ウキフカセ釣りでは独特の長さの測り方があります。タナ○mの事や仕掛けの長さをウキふかせ釣りの世界では竿の長さに置き換えて「竿○本」とか「○ヒロ」と言うのですが、知らない人からすれば「竿○本や○ヒロって一体何m?」って話ですね。

■竿○本・・・一般的な磯竿の長さは5m位ですので、タナが5mの時は竿1本と言います。竿1本半になると約7.5m、竿2本ですと約10mとなります。

■ヒロ・・・ヒロは昔の長さの単位「尺貫法」の尋で、「大人が両手を一杯に広げた長さ」を1ヒロとして計ります。1ヒロは「約1.818m(6尺)」になりますが、今の釣りでは「約1.515m(5尺)」の方が多く使われているようです。1ヒロ=約1.5mと覚えて頂ければ良いと思います。半ヒロ(矢引)でしたら、半分の約0.75m、ヒロ半は約2.25m、2ヒロは約3mになります。
計る人の体格によっても変わってきますので、結構アバウトな所もあります(笑)

■尺・・・魚のサイズを測る時に「尺はあるなぁ~」とか「尺上」なんて言いますが1尺は30cm、2尺で60cmになります。

■探る・・・よくタナを探るなんて言いますが、魚の居る所、魚の居る層を探すと言う意味です。

ウキと仕掛け、釣法に関する用語

前回もウキについて少し説明しましたが、今回はもう一歩踏み込んでいきたいと思います。

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磯釣り入門ガイド・ウキの解説

■余浮力・・・前回、「3Bのウキには3Bのガン玉を背負う事が出来ます」という話しをしました。では「3Bのウキの浮力は3Bなのか?」と言うと、実際は3B以上の浮力があります。 「ウキは海面から頭が出ないシブシブの状態で使った方が良い」と言うのだったら、「浮力3Bのウキは3Bのガン玉でシブシブの設定にしてくれれば良いのに!」となると思いますが、ウキはガン玉の他にエサやハリやハリス、直結でなければヨリモドシも背負わなければいけません。ラインの重さも掛かってきます。なんか人生みたいですが(苦笑)、その辺の使い勝手も考慮されて若干の余分な浮力、余浮力が設けられています。
余浮力の強さはメーカーによってまちまちですが、私の愛用しているキザクラ製品では、一般的なウキの余浮力はJ3、P表示のプロモデルと呼ばれているものはJ6となっています。余浮力の強さに関しては個人の好みもありますので使いやすいと感じる方を選んでもらえば良いと思います。(B表示のウキに3Bや5Bのガン玉を打ってもポッカリと浮いている様なのは余浮力とは言えません。あくまでも、若干の浮力です)

■ガン玉を打つ・・・ガン玉を付ける事を「ガン玉を打つ」と言います。ガン玉をハリスに2~3個付けたりした時は「段打ち」とか「2段打ち、3段打ち」と言います。

■口オモリ・・・ハリのチモトに付ける小さなサイズのガン玉やオモリの事です。

■直結・・・ライン(ミチイト)とハリスをサルカン(ヨリモドシ、スィベル)等の連結器具を使わずに直に結ぶ事。

■固定仕掛け・・・釣るタナを決め、ウキをヨウジやウキ止めで固定した仕掛けです。アタリが出やすく、多少ラインを引っ張ったりウキを動かしても仕掛けが浮き上がりにくいのも特徴です。ウキを固定するので竿の長さ以上のタナは釣る事が出来ません。

■半遊動仕掛け・・・ウキ止めなどを使用してウキの遊動範囲を設定した仕掛け。ウキがウキ止め糸を結んだ所まで移動(遊動)できる(仕掛けが落ちる)ので固定仕掛けに比べ深いタナを釣る事が出来ます。ウキが移動してウキ止めに当たるとタナが固定されるので固定仕掛けに分類されますが、ラインを引っ張ると移動した分のラインが引き上げられますのでウキを固定した仕掛けに比べ仕掛けが浮き上がりやすくなります。

■全遊動仕掛け・・・ウキ止めを付けず、軽い仕掛けでゆっくりと落とし込み、タナ(魚の居る所)を探る仕掛けです。仕掛けの重さは状況に応じて異なりますが、基本的には軽めになります。重すぎると仕掛けの落ち込みが速過ぎて魚の居るタナを早く通過してしまったり、根掛かりしやすくなってしまいます。ウキ止めをずらしタナを変える必要が無いので、魚の居場所を探す時やタナが安定しない時は便利な仕掛けです。仕掛け全体が軽いのでタフコンディションの時は扱いが難しくなります。

■沈め釣り・・・マイナス浮力のウキや、ウキの浮力以上の負荷をかけウキをゆっくり沈めていきラインや竿先でアタリを取る釣り方で、「沈め探り釣り」とも言います。ウキが風や波、表層の流れ等の抵抗を受けない為、海中の流れ(コマセの流れと同じ流れ)をストレスなく捕らえてくれます。魚の居るタナをゆっくり探っていくことも出来ます。ただし、ウキが見えないのでウキに現れるビミョーな変化を捉えるといった事は苦手です。

■全層釣法・・・海面から底まで、仕掛け(付けエサ)をコマセと一緒に同調させながらゆっくりと落とし込んでいく釣り方で、海面から底までの全ての層、全層を狙うといった事から全層釣法と言います。海面からゆっくり探っていく釣り方なので仕掛け自体は軽めの設定になります。ウキを沈めて釣る「沈め釣り、沈め探り釣り」を合わせて「全層沈め釣法、全層沈め探り釣り」と言います。軽い仕掛けを状況に応じてウキごと沈めたりシブシブの状態で浮かせたりし、コマセと同じ流れに乗せ、コマセと同調させながらゆっくりとどこまでも魚の食ってくれるタナまで探っていくのが全層釣法になります。

■0釣法(0ウキ)・・・グレ、メジナの食い渋り対策で、重い仕掛けでは食ってくれない、エサを放されるという状態で仕掛けを軽くし、ウキの余浮力でもエサを放される事から、仕掛けに何も付いて無い状態(ハリ、ハリス、エサ、極小のジンタン程度を付けられる)でギリギリ浮く0浮力のウキを0ウキと言います。その0ウキを使った釣りを0釣法と呼んでいました。ウキ止めを付けず、さらに食い込み時の抵抗(違和感)を減らす釣り方もします。

海底の根と潮の状況を読むことが重要

潮や風に関する用語

「潮が動く、動いた、流れた」、「潮が動かない、止まった、流れない」等とよく言われますが、「潮」とは海の水流れの事を指します。海には大小様々な流れがありますが、この潮の流れで釣果が左右されます。

潮が動いていたときは釣れていた魚も、潮止まり等の潮の流れが止まった時は釣果が落ちてしまいます。かと言って、ただ流れていれば良いのか?と言えばそうではなく、その場所場所で好釣果が得られる潮の流れ(流れる方向等)があったりします。また、状況によっては潮の流れの変わり目(流れ始めの時、流れが止まる時、流れの向きが変わる時)に魚の食いが上がったりします。

■本流・・・本来は黒潮の様な大きな潮の流れを指しますが、ウキフカセ釣り、磯釣りでは沖を流れる大きな潮の流れの事を本流と呼びます。

■上り潮、下り潮とは・・・東北地方では太平洋側よりも日本海側の方がよく使われる用語ですが、「上り潮」「下り潮」と言うのがあります。上り潮、下り潮は潮の干満の流れを指すのではなく、海の潮の流れを指すのですが、上りと下りの基準は昔の首都だった京都を中心に京都へ向かう流れを「上り潮」、逆に流れる潮を「下り潮」と言います。 東北地方ですと北方面に流れるのが下り潮、南方面に流れるのが上り潮となります。時期や場所によって上り潮と下り潮で大きく釣果が変わる事がありますので、ポイント選ぶ時の条件の一つとして頭に入れておいて頂ければと思います。

■潮目・・・潮と潮の境目になります。潮目は潮の流れの速さの違う所や海水温度の違う所にできます。潮がシモリ根にぶつかる所など地形の変化がある所にも潮目が発生します。潮目の発生する様な所では流れて行ったエサ(コマセ)が滞留(集まる)しやすいので好ポイントになる事が多く、見逃せない場所です。

■滑る・・・「潮が滑ってる」とか「表層だけ滑っている」なんてよく言いますが、海面、表層だけが流れてる時によく使います。

■二枚潮・・・上と下で潮の流れが違う事を二枚潮と言います。潮の流れの違いでの二枚潮もありますが、強風の時に海面が風で押され表層だけが滑ったりする場合や、川水など真水の影響を受けやすい所では海水と真水の比重の違いから上と下の流れが違う事もあります。

■当て潮・・・沖から手前に流れて来る流れ。釣り座に立った時、自分に向かって来る流れを「当て潮」と言います。

■サラシ・・・波が磯に当たって出る泡を「サラシ」と呼びます。サラシが出る時は波で磯場にいるカニや虫等、魚のエサも運んでくれますし、サラシが海中に溶存酸素を供給してくれますのでサラシのある時は魚の活性も上がります。 また、サラシが出ていると人から海の中が見えない様に魚から外側(鳥や人等の外敵)も見えなくなるので警戒心が薄れるとも言います。ただし大き過ぎるサラシは釣りヅライ面もありますし、サラシがある時は波やウネリもある時なので釣りの際は注意が必要です。

■払い出し・・・潮が足元から沖に向かって出ていく流れを「払い出し」と言います。

■だし風(出し風)・・・陸地から海(沖)に向かって吹く強い風の事で「船出をするのによい風」という意なのですが、釣りで使われる時は、「今晩、だしが吹くから明日は波が落ちる」とか「今日はだしの予報だから低い磯でも乗れるよ」といった感じで使われる事が多く、釣りでは凪に関する用語してよく使われます。

サラしている磯

※画像・テキスト/亥飼 真司

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