[連載]常笑upcoming fishing!☆第17回 東北シロギス事情 ~後編~
連載:針生秀一さん 第17回 東北シロギス事情 ~後編~
※この記事は2014年8月にプレミアムメルマガで配信したものです。
前編では東北太平洋側のシロギスの実績などについてお話してきましたが、後編は具体的な釣り方などを解説していきます。
投げ釣りのタックルは4m前後の投げ竿に投げ専スピニング。宮城ならポピュラーなイシモチ、カレイの投げ釣り用の道具でOK。道糸も使い慣れたナイロンテーパーライン3-12号くらいで大丈夫。まずはやってみて、それからPE道糸などにグレードアップすれば良いです。
仕掛けは海草天秤、ジェット天秤の25~30号に3~4本バリ程度のキス仕掛け。市販品で十分ですが、宮城では販売店が少なめですね。自作するなら全長2.5mくらいでハリスは5cm、ハリはキス専用、秋田キツネ、流線など軸長のハリで6~8号。モトスは2~3号にハリス0.8~1.5号。ホンテロンなどエステル系やフロロカーボンなど、ピンと張りのあるラインを使いましょう。
エサ付けが重要点です。アオイソメ、ジャリメは3~5cm位に切ってハリの軸に真っ直ぐ通し刺しにします。ハリのフトコロで曲がって丸まると、引き釣りで回転して食いが悪くなるので注意です。喰い渋りにはタラシを短く詰めましょう。
キャストして底に着いたら、ゆっくり歩く速度くらいで巻いてきます。これが引き釣りという誘いです。置き竿でも釣れます。引いてきて、底に変化を感じたところで止めて待ち、手前まで探りましょう。基本的に遠投して長い距離を探ってくるのが有利ですが、特に夏場の波静かなときやポイントによっては、ごく岸寄りで釣れます。アタリは強く明確。アワセは重要ではなく、そのまま巻いてくる巻きアワセで十分です。
これでキスを釣って気が付くのは、今までイシモチ、カレイの投げ釣りで、こんなアタリがあったのに釣れなかったこと。そう、ハリの大きさ、エサ付けが合わなかった為、キスが喰ってきていたのに掛からなかったのかもしれないのです。実はキスの釣れるポイントは身近にもあったのですよ。
船からの釣りも抜群の面白さです。東北では山形、秋田、青森でキス船が出ています。陸奥湾内の夏泊半島・大島周辺での貸しボートでの釣りも注目です。
今年は秋田県男鹿半島の北浦でシロギス釣りをやりました。ここはシロギスの魚影濃く、誰でも気軽にシロギスの数釣りが楽しめる、オススメのポイントです。仕掛け、エサ、船は「加藤釣具釣船店・おが丸」でおまかせ安心です。
船キスのタックルを紹介
竿はシロギス専用がベストですが、20号負荷程度のカレイのかかり釣りの竿でも大丈夫。8~10号の松島、万石浦での船ハゼ釣りで使っている竿も良いでしょう。リールは小型スピニング。小型両軸でも使えますが、キャストして巻きで誘うのが基本になるのでスピニング有利です。
道糸はナイロンでもやれますが、PE1号にするとアタリが敏感に伝わって、さらに面白くなりますよ。先糸としてフロロカーボン3号を1mくらい結んでおくと、穂先絡みのトラブルが減ります。
オモリは潮、風で流れないときは5号から。速く流れるときは40号を使うこともあるようですが、多くは10~20号を使います。軽いオモリが有利になるのは、キャストして着水音が小さいことがひとつ。水深が5~10mと浅いので着水音が警戒されるのです。そして巻いてくるときのヨブ(砂のミゾ、流紋)でハネて誘いも効果的。軽いオモリのメリットは大きいのです。
ハリの軸に真っ直ぐイソメを通し刺します。キスが捕食するときの抵抗から、細いイソメが良いのです。ジャリメが多く使われて良い釣果なのは、この細さと丈夫さがマッチするからです。アオイソメでも細いものを選んでキッチリと刺せば釣果の差は出ませんよ。よって食い渋りには、捕食するときの抵抗、重さを軽減するために「エサを短く」がセオリー。ハリの号数、形状にこだわりがあるのも、この理由があるのです。仕掛けのハリスにビーズを通すのは、抵抗となってメリット少なく、私はお薦めしません。
東京湾、相模湾で流行の胴突き仕掛けよりも、キス天秤で全長80~120cmの2本バリ仕掛けを薦めます。浅場なので船下は船影、エンジン音を警戒されます。アンダースローでキャストして、ゆっくり歩く速度くらいでサビいて誘います。オモリを少しハネ上げるようなアクションを加えて変化をつけるのも良いです。
キスのアタリは激しく、一呼吸置くくらいで竿を立てて巻きアワせます。キス天秤が弓形なのは、この強いアタリをクッションで吸収するためなのです。最初はハリを呑まれることが多いですが、タイミングを掴めるようになれば、口元に掛けられるようになって、手返しが早くなってきますよ。小さな魚体で強い魚信、これがシロギス釣りの魅力なのです。
ハリのセレクト、誘いパターンなども奥深いものがあります。これはまた機会があれば、じっくり説明します。極上の天ぷらネタで食味抜群のシロギス。この夏から秋に狙ってみては!
※取材テキスト・写真提供/針生秀一