釣行記

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三浦明の船宿でしか聞けない話☆第2回 いまも進化するカレイ釣りのテクニック

三浦 明 2022年2月10日 更新

三浦明の船宿でしか聞けない話
シリーズ第2回 いまも進化するカレイ釣りのテクニック

~直結仕掛けを生んだ南三陸の名物船長に、船上や帰港後の座談会で常連さんたちに教えている内容を語っていただきました!~

※この記事は釣り河北プレミアムメールマガジンの連載企画で2013年5月に配信されたものです。

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第2回 いまも進化するカレイ釣りのテクニック

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――前回は志津川湾のマコガレイ釣りのことを中心にお話をうかがいましたが、三浦さんは仙台湾(大型魚礁)のマガレイの数釣りもかなり研究されています。数を釣るための方法を教えてください。
以前、まだ某SC誌があった頃とは、釣り方が大分変わりましたね。その頃、昔はほとんど1日中ひたすら誘っていました。ところが、大型魚礁に通ってみて、考え方がちょっと変わった。1日中、本当に一生懸命に誘って130枚くらいを釣るんだけど、周りで、あんまり誘わないでほとんど聞き上げばっかりしているような人も110枚とか120枚とかいったりする。確かに魚がいるからこれだけ釣れるのであって、こりゃちょっと誘い過ぎだな、と気付いたわけです。

――気付きをもとに、釣り方を変えてみたということですね。
昔は200枚釣ったとか聞くと「なじょしてそんな釣れんのさ?」、という感じだったんだけど、釣り方変えたとたん最高247枚。200枚超したことが3回くらいありました。丸洋丸さんで釣ったときは、(釣れすぎのため)6時間でやめたんだけど、周りのお客さんが途中で釣りするのをやめて、200枚いくところをみにきたこともありましたよ。

――それはギャラリーも集まりますよ。実際、どんな釣り方をすればいいんですか?
あまり誘いすぎないということですね。魚が一杯いるなと思ったら、7回くらい誘ったら、オモリを上げないようにして待ちます。食いがたってきたらバンバン誘って食わせることもあるけど、誘いをかけてみて魚がいるんだけど食わないなと思ったら、誘いすぎないように気を付けますね。

――ダブル、トリプルのペースでいかないと200枚も釣れませんよね?
いや、ダブルは狙いません。一回アタリがあって、また待つということはしない。一番おもしろかったのは丸洋丸さんで180枚くらい釣ったときで、トリプル一切なし!180釣ってトリプルが全くなかったのはさすがにびっくりしました。普通、100枚釣ればトリプルの2回、3回くらいはありますよ。狙ったわけではないんだけどね。

あと、1回アワせてから、もう一回落とすのは好きじゃないんです。下バリから順に食わせていけばダブル、トリプルは多くなるから、なるべくはそうなるようにしているんだけど、これがなかなか思い通りにいかない。上バリに食ってしまったら下バリのアタリも取れなくなるから、即上げるしかありませんからね。

――上手な人の釣り方を色々と見てきたと思いますが…。
大会でよく入賞しているSさんあたりは1日中誘う方ですね。あの人の場合は、釣るときはぐんと釣るけど、ダブルスコアで負けることもある。経験が豊富な人になると釣り方にこだわりがあるので、こちらから何かアドバイスするようなことはあまり無いですね。

――逆にアドバイスをしてよくなることも?
震災前、釣り河北でもおなじみのHさんが乗り合いでマコガレイ釣りに来たときの話。2時間くらいやって最下位で、「三浦さんなんで釣れないんですかね?」っていうから、「Hさんの今日の釣りは大型魚礁の釣りになってるよ」と教えてあげて、そこから釣り方を変えたら、終わりの時間にはトップタイになっていたことがありました。

――どんな釣りをするのがいいのでしょうか?
カレイ釣りの面白いところなんだけど、その時の状況によりますね。さっきいったようにずーっと誘った方がいいときもあるし、魚がいても食わないなってときは、5回か6回誘ってから置いて食わせた方がいいときもある。オモリを上げないで、「食わせ」の間をつくるんです。特に魚が警戒してるようなときですね。誘っているばかりだと、やつら警戒して食わない。エサが動いてしまって、食う暇を与えられないんです。そういう時に限って下バリばかりに食ってきますから、エサの食い方からも魚の状況は分かります。

――誘った方がいいパターンは?
ハイシーズンでカレイの活性が高いときは、半分以上がオモリのそばに食うから、そういときは誘った人の方が得ですね。でもあまりに誘い過ぎの人には食わないことも。そういうときは、誘っても寄せてアピールして、少しだけ間を置くといい。

――カレイの活性がいいときの直結仕掛け
これは直結仕掛けのオーダーが来たときに教えたことですが、「カレイの活性が高いときはオモリのそばにハリ1本つけないと絶対だめだよ」と言いました。カレイの活性が高いときは30枚釣ったうちの15枚、約半分はオモリのそばにくるんですよ。釣り方だけでなく仕掛けも状況に合わせることがあります。まあ、ほとんどの人はそこまでする必要はなくて、仕掛けはだいたい同じでいいから、釣り方を変えるように言っています。

――「食わせる誘い」と「寄せる誘い」
カレイ釣りではコヅキという言葉をよく使いますが、おらいのは昔から誘いと言っています。誘いにも「食わせる誘い」と「寄せる誘い」というのがあって…「食わせる誘い」というのは、魚いるなと思ったときに、間を与えるような感じでしょうか。間を与えるまでしなくても、ゆっくらゆっくらとした誘いもよかったりします。「寄せるときの誘い」はビンビンビンビンといった感じで、エサがここにあるよと教えてやる。特に仕掛けを落としたばかりのときなんかにも使いますね。

――とにかく状況に合わせることが大切!
いい釣果を上げるために大切なのは、その日にどんな釣りが合っているのか見極めること。時間帯によっても変わってくるし、魚の活性やポイントによって変わるから、カレイ釣りは奥が深い。

カレイ釣りには誰が正しいという正解はありません。だから、「この前はよく釣れたのに、なんで今日はあんな変な釣り方の人の方が釣れるんだ?」というようなことがしばしば起こります。で、たまたま大当たりをすると、その日だけがおかしかっただけかもしれないんだけど、それで調子が狂ってしまって釣り方がおかしくなっちゃった人も結構多いです。

――状況に対応できるパターンを持っておく
誰しもに共通していえるのは、自分のベストだと思う釣り方はあっていいんだけど、それでもパターンは3つ、4つと持っておかないと、同じパターンだけでは絶対に勝負には勝てませんよ。そのときたまたま、あなたの釣りに合った状況になればいいけど、逆だと全く釣りにならないことになりかねない。皆さん、この前はこの釣り方でトップになったけど、なんで今日は全然ダメなんだ??ってことがよくあるんだけど、カレイ釣りは絶対そういうところがあるから。そこを状況判断して、その日の誘いがどういう誘いが合っているのか、変えた(合わせた)人が釣るということですね。

だから、同じ船に並んで釣るときは、よく釣っている人がどういう釣りをしているか見ないとだめですね。自分が一番だとは思い込まないこと。いつもよくいうんだけど、12人乗って、みんな同じ仕掛けで釣ったからといって、絶対に同じようには釣れないから面白いんですよ。そういうのは大体、エサつけとか、誘い方とかの違いが関係しています。

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[三浦屋オリジナル直結仕掛け]
三浦明さんが考案した「直結仕掛け」は、テンビンを使わないため感度がよく、微細なカレイのアタリも取りやすいのが特長。ヨリ糸と先糸の設定も抜群で、仕掛けトラブルも少ない。元祖は三陸のかかり釣り用に開発した「ショート2本バリ」、「ショート3本バリ」からはじまり、のちに3本バリに「流し釣り用ロングバージョン」が追加になった。また、近年はヨリ糸に回転スイベルを挟んで、マガレイのダブル、トリプル時の幹糸の絡みを防いだ「特製大型魚礁用」も登場。他、幹糸を太く設定し、夜光パーツを装着した「アナゴ用掛かり釣り用」もアリ。
直結仕掛けは三浦屋の船宿で購入可能なほか、通販もOK。一部釣具店で取り扱っているところもある。
※「つり具販売」コーナーに直結仕掛けあり。

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PROFILE:三浦 明

南三陸町志津川湾・戸倉漁港の三浦屋船長。独自のカレイ釣り理論を持ち、長年にわたり東北カレイ界をけん引してきた。三陸の船長業のかたわら、仙台湾のマガレイ釣りにも積極的に通い込み、マコガレイ、マガレイの両面からカレイ釣りを探究してきた。考案した「直結仕掛け」は東北のカレイファンなら知らない人がいないほど有名。

 

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