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三浦明の船宿でしか聞けない話☆番外編 南三陸復興事情

三浦 明 2022年2月10日 更新

三浦明の船宿でしか聞けない話
シリーズ番外編 南三陸復興事情

~直結仕掛けを生んだ南三陸の名物船長に、船上や帰港後の座談会で常連さんたちに教えている内容を語っていただきました!~

※この記事は釣り河北プレミアムメールマガジンの連載企画で2013年12月に配信されたものです。

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南三陸復興事情

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―今回は港や湾内の復興の状況についてお聞きします。防波堤を回っていると、26年3月、27年の12月までといった期限で、かさ上げ工事中のところが多くなっていますが?
早く進んでいる漁港はすでに半分くらい終わったところもあれば、まだ手が着けられていないところもあります。波天谷漁港や戸倉漁港は県管轄の第2種漁港(実際は合わせて波天谷漁港としての登録)なのですが、戸倉地区は主要な施設なので早くから復興が行われていました。すぐ近くでも波天谷の堤防(三浦屋旧店舗前の船揚場)や坂本漁港といった小さなところは後回しで、まだこれからという状態になっています。

―漁港ごとに順番があるということですね。
陸前戸倉駅から神割崎の各部落の漁港(第1種漁港)は町の管轄の漁港なので、むしろ優先して手が入っている傾向ですね。各部落はすぐに着手したところが多くて、折立、水戸部、津の宮、滝浜、藤浜、長清水、寺浜とどこも工事が進んでいます。一方、県管轄の方はいちばん使われる防波堤や岸壁などの進みは早いんだけど、波天谷や坂本などの使う人が少ないところはどうしても工事に入るのが遅くなっていますね。

―かさ上げをしないとやはり問題はある?
坂本も波天谷もかさ上げをしないと、秋以降の潮位だと満潮時に潮が上がってしまう状態です。大潮時に水びたしになってしまう所があるので、気を付けないといけません。波もウネリなんかが入ると、30回に1回くらいは大きいのが来るから注意が必要です。

―復興が進められている戸倉漁港の状況は?
戸倉漁港だと、船を着けるところの岸壁の工事がだいたい終わって、波消しのための外の防波堤を高くしているところです。カキ剥き場の施設も来年3月にはできて、ようやく元の状態が見えてきたという感じですね。

今から波消し防波堤の工事が終われば、釣り客の人も港内で安心できるようになると思うんだけど、完全に出来上がるのは来年(平成26年度)一杯かかるんじゃないでしょうか。もう少しの辛抱ですね。

―他の漁港の復興状況について。
南三陸の他の地域と比較すると、戸倉の方はあまり大きくは壊されなかったんです。比較的、新しく作ったところや、規模が小さくて波の当たりの少ないところは被害が小さいことが多いですね。被害がひどかったところは、志津川でも清水浜とか細浦です。十三浜の方だと相川あたりは前の防波堤がほとんど無くなっているんだけど、大室、小室のあたりはほとんど残っていたり、港によって港の被害にかなりの差がありました。

志津川漁港は一番大変な南防波堤が8割くらい完成しています。あと、西側から出てくる堤防も工事が始まったところ。港内の仮設の市場が出来て、あと1年半くらいすれば新しい市場ができるはず。造船所は2つとももうすぐ出来るんじゃないでしょうか。

―漁港の数が多いとはいえ、なかなか工事が進みません。
もう2年半以上経っているわけだから、正直言って遅いという印象はありますね。やっぱりコンクリートが足りていないので、早くプラントを作らないとだめなんじゃないのかという話も出ていますよ。

―漁港の内側に防潮堤の建設が計画されています。
陸側はかさ上げされた398号線が通るようになって、7.3mの高い堤防ができるはずなので、お店の場所も変わるかもしれません。ただその道路ができるまではまだ3年くらいかかりそうなので、少し先のことになりますが。

―防波堤が景観を妨げるという話題がニュースになっていますが?
台風や波が高い時は前の防潮堤でも潮が上がってきたりしたので、海岸に住む人にとっては堤防は高い方が安心して暮らせていいと思います。ただ、それもここの地域だからで、気仙沼や塩釜なんかの市街地と隣接した湾内の地域では機能や景観のために堤防を低くして、波が来たときは高台に逃げるという柔軟性があってもいいですよね。

―住まいは高台移転になるところが多いです。
チリ地震津波の頃まではなぜみんな高台に行かなかったかといえば、当時は今みたいに車を持っている人が少なかったから仕方なかった。今は重いものでもなんでも車に乗せて上がったり下がったりできるので、みんなすんなりと「じゃあ高台に行きましょう」となったわけです。これがもし車が無かったら、毎日重い道具を持って上がり下がりしてはやっていられません。車が普及して時代が変わり、昔とは事情も異なるということですね。

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PROFILE:三浦 明

南三陸町志津川湾・戸倉漁港の三浦屋船長。独自のカレイ釣り理論を持ち、長年にわたり東北カレイ界をけん引してきた。三陸の船長業のかたわら、仙台湾のマガレイ釣りにも積極的に通い込み、マコガレイ、マガレイの両面からカレイ釣りを探究してきた。考案した「直結仕掛け」は東北のカレイファンなら知らない人がいないほど有名。