北上川水系リバーシーバス調査[旧北上川~迫川の川スズキ]
シーバスはもちろん海の魚だが、河口から遠く離れた流れの中でスズキとのファイトを楽しむのもリバーシーバスの醍醐味だ。スズキは夏のハイシーズンになるとアユなどの豊富なベイトを追って河川を遡上。河川にもよるが、河口から50km以上まで河川内に入ることが知られている。
北上川水系の実績ポイントでは追波川は北上大堰、旧北上川は脇谷の水門が川鱸の限界とされているが、旧北上川支流の迫川や江合川ではちょっと意外なほど上流側からもシーバスが釣り上げられた実績がある。
ここでは東北の巨匠こと村岡博之さんが北上川水系の川スズキの遡上を実釣調査。過去には某誌の企画でスズキ探検隊長にまつり上げられていた村岡さんだが、この流域に来るのはそれ以来のこと。実績のある最上流部、迫川の堰堤からスタートし、旧北上川河口近くまで降っていくことにした。
迫川の実績ポイント最上流:山吉田橋上流の堰堤下
旧北上川の支流、迫川の実績ポイントで最上流域となるのがここ。国道346号線の山吉田橋(右岸がクランク状になっている緑色の橋)のちょっと上流側、堰堤下の流れがシーバスの捕食ポイントになっている。
コンディションさえよければ7月のハイシーズンにシーバスが遡上してくる場所なのだが、7月21日の取材時は最も渇水がひどく、とても期待できそうにない状況だった。ここは諦め、仕方なく下流側へ移動することに。
鱸止めの堰から川沿いに降っていくが、渇水がひどく、水門周りなどポイントになるはずの場所も川岸が露わになって釣りにならない状況。合流点近くまで降り、一級ポイントの橋脚跡に行ってみることに。
流れに変化があり雰囲気抜群!:二ツ屋橋下流の橋脚跡
豊里町の市街地に近い、二ツ屋橋のすぐ下流側にある橋脚跡の釣り場。ここは古い橋脚が堰堤のようになり、流れに変化がついてベイトが集まりやすいポイントを形成。水門から流れ込みがあり、これがベイトの供給源になる。
ハマれば好釣果もありえる場所だが、やはり渇水で水深が浅く、流れ込みにもベイトっ気はなく厳しい状況だった。
リバーシーバス:流域、ポイントによるロッド、ルアーの使い分け
河川上流域と河口域では使うルアーも異なる。河川の上流域は水深も浅く、サクラマスでも使うような流れの中でも使いやすいミノーが有効。一方、下流域のデイゲームはボトムまでレンジで探れるバイブ系がメイン。これは日中の話で、ナイトゲームであればシンキングペンシルなど表層系のルアーが有力になる。
タックルは汎用性に優れたものがあればそれだけでも釣りは可能だが、流域とルアーにより2、3本を使い分けるのがベター。
村岡さんのロッドはジャクソンの「クロノタイド」。5本のラインナップのうち主に使用するのは3本で、上流域のミノーには取り回しのいい8102M、下流域の1ozくらいまでのバイブレーションには962ML、ナイトゲームのシンキングペンシルには982Mを選択。
■CRNT-8102M:河川の中上流域や港湾などにも適したモデル。取り回しのよい8ftちょっとのレングスに十分なパワーがあり、強い流れの中で30gくらいのルアーまで扱うことができる。
■CRNT-962ML:30gくらいまでの軽めの鉄板、バイブを使うのに適したリバーシーバスでは使いやすいモデル。中下流域や河口の釣りで十分な遠投力も期待できる。
■CRNT-982M:40gくらいまでのルアーを使用可能な、ロングレングスパワーモデル。シンキングペンシルを使ったナイトゲームなどに適する。
■写真上)アスリート・ピンテールチューン27:アスリートのヘビーウエイト仕様。とにかく飛ぶので遠投して広範囲を探れる。速巻き専用モデル。
■写真中)アスリートダッシュチューン:ノーマルのアスリート9Sのテール側に1gウエイトを追加し飛距離を大幅アップ。スタンダートで最も使いやすいモデル。
■写真下)アスリート9S:ノーマルのアスリートミノーSはダッシュチューンの登場で使用頻度が少なくなったが、それでもゆっくりルアーを見せたい時に優れた実釣性能を発揮する
遠くのポイントに届く遠投性を備え、深い層まで各レンジを攻略可能。リアクションを誘う速巻きにも対応した中下流域デイゲームのメインウエポン。14g、20g、26gの3サイズをラインナップ
今日のお昼ごはんはココ!「らーめんはうす 味よし」
日頃から満腹系ランチの調査にいそしむ村岡さん。この日は米山の「らーめんはうす 味よし」で日替わりランチ(月~金曜)をいただいた。日替わり丼の麻婆丼にラーメン、シュウマイ付きで700円とかなりお得。同じ700円でチャーハンセットも選べる。夜は地元民の居酒屋として賑わうお店だ。
ちなみに、この周辺だと「道の駅よねやま」の野菜たっぷりカレーもおすすめ。「初ちゃん食堂」のラーメンもリーズナブルでおいしく、昼時はかなり混雑する人気店だ。
江合川合流の超一級ポイント:神取橋
江合川が旧北上川に合流する神取橋付近も実績ポイント。河川敷は公園状になっていてアクセスもしやすいが、夜間は立ち入りが禁止されるので注意が必要。本来はウェーディングが必要なのだが、この日は渇水で河岸が露出していた。
ここまで迫川から江合川の合流点まで降ってきたところ、どこも渇水でコンディション的に期待薄。本来ならば旧迫川の釣り公園周辺や、流れは細いが江合川も及川橋付近などに実績があるのだが、この渇水状態では・・ということで回避。上流は諦め、石巻市街近くの旧北上川下流域まで一気に降ることに。
最近、釣れている下流域のポイント:石巻北部バイパス下
神取橋から下流の旧北上川は水門周りにポイントが多いのだが、佳景山周辺の実績ポイントもスルー。向かったのは、三陸道女川インターから石巻専修大学方面を結ぶ石巻北部バイパス下。
石巻専修大下など、付近は取材時の頃によく釣れているエリア。この時は上げ潮で、潮止まりのちょっと前。下流域は潮が下げていることが第一なのだが、この時は上げ止まりの直前とあまり良くないタイミング。
また、船溜まりのところに用水路からの濁りが溜まっているのも条件の悪さを示していた。流れがあれば濁りは流れ込みの一部だけなのだが、濁り水が溜まっているのはそれだけ水の流れが無いという証拠だからだ。
潮が悪く、ピーカンの日中ということで期待せずに橋下の船溜まりを「テッパンバイブ」で探ってみると、数投でヒット!? さらにエラ洗いもして、サイズはあまり大きくないもののシーバスと確信。結果的にはバレてしまったのだが、シーバスの存在を確認することができた。
おそらく日中に日陰で休憩していたところ、目の前にルアーが通ったのでリアクションで反応してしまったという魚だが、時合いさえ合えば間違いなく釣れるポイントだ。
旧北上川最下流域の人気ポイント:中瀬周辺
先ほどの北部バイパス下から河口までの旧北上川には開北橋や真野川合流点などといった実績あるポイントが連なり、水門周りや流れ込み、カーブ付近などで竿を出せる場所はシーバスが出る可能性が高い。
ただし、河口域は立ち入り禁止になっているほか、中瀬にかかる398号線の架け替え工事を行っていたり護岸工事中の場所もかなり多くなっている。工事中の場所や立ち入り禁止場所には入らない、他の車の迷惑になる場所、私有地には駐車しないなど、当然のマナーを守って気持ちのよい釣行を心がけてほしい。
ボディ全体をソフトマテリアルで覆ったソフトバイブレーション。独特のライブ感ある波動、アクションでアピールする。ソフトボディはストラクチャーにぶつかっても壊れにくいので、橋げたを直撃するようなポイントにも向く
水深30~60cm、河口、港湾のシャロー攻略に向くリップレスミノー。流れが緩ければスローでウォブンロール、流れが効いていればデッドスローで水流を受けてスイングアクションし、アップ、ダウンどちらでも扱いやすい
石巻市内の旧北上川下流域は時合いさえ良ければシーバスと出会える確率が高い。潮が下げている所に、朝夕のマヅメ時が重なればさらにGOOD。夏場の高水温期であれば、溶存酸素が多い所もシーバスが好む条件になる。
下流域が潮汐による影響が大きいのに対し、海水の影響がほとんど無い中上流域は水量が重要なファクターになる。今年の梅雨は空梅雨で(7月27日時点)水量が少なく、本来期待される条件は整っていない。河川内で有望なのはある程度の水量があり、流れの中でも特に溶存酸素が多いところ(流れ込み、白泡など)。さらに時間帯が朝夕のマヅメなら期待は大だ(潮は気にしなくてOK)
「最近は上の方まで釣ることはほとんど無くなったけど、川鱸調査隊の時は夏になると毎年のように駆り出されていたね。そしてサイズは全然大きくないけど、毎回必ず釣果は上がっていた。当時(約10年前)も暑かった印象があるけど、今ほどは暑くなかったよね」と村岡さん。
シーバスが川に入るには梅雨の増水も関連してくるのだが、ここ数年は梅雨らしい梅雨が無く、空梅雨か一部の地域が豪雨になる激烈な気象が続いている。冬に山間の積雪量が少なくなっていることも河川の水量減に影響している。
ここで気象の問題を嘆いていても仕方ないのだが、水量さえ安定すれば河川内にもシーバスが遡上するはずなので、チャンスが訪れた際はリバーで爆釣を狙ってみて頂きたい。
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※取材協力/ジャクソン
※解説/村岡博之
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