釣行記

東北の有名アングラーらによる釣行リポート!最新の釣況情報、テクニックをカバー!!

ベイトリールを使ったキャスティング基礎講座![ベイトタックル・投げ方]

編集部 2021年5月8日 更新

大型ロックフィッシュゲームには欠かせない、ベイトタックルのキャスティング技術。バス釣りの経験が少なく、これまでソルト系中心だったアングラーには、「ベイトリールを使ったキャスティングはちょっと苦手」という方も多いはず。ここでは初心者を代表して営業ケーイチを例に、ベイトリールを使ったキャスティングの基本技術(オーバーヘッドキャスト)を、アーネストのタカさんに教えていただいた。
※アブ・ガルシアのベイトリールを使用しています。

【講師&生徒】

■講師:遊漁船アーネスト・キャプテンの佐藤尚行さん(以下、タカさん)。バストーナメンターとして活躍した経歴も持つ、正真正銘のプロのガイド。
■生徒:ケーイチ。東北6県の釣具店や船宿を飛び回る当メディアの営業マン。釣りの技術はここ10年進歩なし。「陸っぱりというより、陸釣りなら得意なんですが‥」

 

磯周りの根魚ゲームにベイトタックルは欠かせない

11月24日(土)、バークレイロックフィッシュオープン2012東北本戦の取材に訪れたケーイチは、大会本部で実行スタッフをしていたタカさんと雑談をしていた。途中、話はベイトでのキャスティングの話題に…。
ケーイチ「それにしても、みなさんよくあんな上手にキャスティングできますよね~。僕だったら1発でバックラッシュですよ」
タカさん「あれっ?ケーイチさんもしかしてベイトリールを使って投げられないんですか?」
ケーイチ「な、なに言ってんすか!!そんなことあるわけないじゃないですか~。僕だってベイトリール用タックルで投げたことくらいありますよ。2回くらいだけど…」
タカさん「あっ、そうなんですかー(棒)。それならちょっとだけ今からやってみましょうよ」
ケーイチ「えっ!? 今から!ほら、風も吹いて寒いですし、やめときましょうよ」
タカさん「いいから、いいから!それとも、もしかして自信が無いんですか?」
ケーイチ「そ、そんなはず無いじゃないですか!じゃあ、お願いします…」

【使用タックル】
■ベイトロッド:ロックスイーパー・ボートスペシャルNRC-702EXH-TKR-BS(アブ・ガルシア)
■ベイトリール:レボ・エリートIB-L(アブ・ガルシア)※左巻きモデル
■ライン:FCロックスピリット(サンライン)

ベイトリールにブレーキを正しくセッティングする

正しいベイトキャスティングを教えてくれるというタカさんに促され、渋々岸壁へやってきたケーイチ。まずはブレーキの調整方法から教えてもらった。
タカさん「本当はリールを使い慣れた人に設定してもらって練習するのが一番ですけどね。自分で調整する場合は、最初はちょっときつめに、ロッドを揺らすとちょっとずつ落ちるくらいにメカニカルブレーキを設定しておきましょう。レボ・エリートIBのIBインフィニブレーキシステムはマグネットブレーキと遠心ブレーキを併用したものですが、こちらはLOWとMAXの真ん中くらいに固定しておき、ブレーキの特性が分からないうちはメカニカルブレーキの方だけを調整するのが簡単だと思います」

【マグネットブレーキ(遠心ブレーキ)の設定】

マグネットブレーキ(IBインフィニブレーキシステム)は最大と最小の中間くらいに目盛を合わせておく

【メカニカルブレーキの設定】

メカニカルブレーキつまみで、バックラッシュしないようにブレーキをややきつめに調整しておく
あくまでも目安だが、メカニカルブレーキはクラッチを切った状態でティップを揺らすと、ちょっとずつルアーが落ちて行くくらいに調整しておく

【タラシ】

タラシは10cmくらいにしておくとトラブルも少なく、投げやすい

初心者ケーイチのキャスティングをチェック!

キャスティングの基本ともいえる、オーバーヘッドキャストにケーイチが挑戦。ツッコミどころ満載ですが、本人はいたって真面目にやっているつもり。

【ケーイチのキャスティング(修正前)】

ベイトリールのクラッチを切ってスプールを押さえ、スプールを上にした状態で、まっすぐ上にスイングを開始する
左手をロッドのエンド付近に添えながらロッドを振る
竿が垂直に立ったところ。すでに腕がネジれてスプールの向きが変わってしまっている
後ろまで振りかぶったところ。スイングパワーがロッドに伝わっておらず、ルアーのウエイトがロッドに乗っていない
前へスイング。無理やり力を入れて振っている感じ
再び捻りが加わり、スイングパワーを分散
目標地点に竿先を向けてリリースするが、残念ながらルアーは手前に落ちてバックラッシュ…
 
[PR]

上手にキャスティングするためのポイント

【基本1】ベイトリールの持ち方

スピニングタックルを長く使ってきた人はスイング途中で手首を捻りがちで、これがバックラッシュ等のトラブルの原因になる。これを防ぐためには、最初からベイトリールを90°横向きに構え、そのままリールの向きを変えずにスイングする。

×ケーイチの場合

スプールを上にしてロッドを持っている。そのままロッドを振ると頭上あたりにきたときに手首が曲がってしまう

◎タカさんの場合

最初からリールを90°傾けて、スプールが横向きになるように構える。こうすると手首と腕の動きだけで、ネジレの無いスイングが可能になる
「よくオーバーよりサイドスローの方が投げやすいという人がいるんですけど、それはそのまま水平にスイングできるからなんです。構える時に手首を曲げておけば、あとはそのまま上下に竿を振るだけなので簡単に上から投げられますよ」

【基本2】目線を上に向ける

ケーイチ「ちゃんとポイントに狙って投げてるんですけど、なんで手前に落ちちゃうんですか?」
タカさん「目標の点に向けて真っすぐ飛ばそうとすると、重力と遠心力の影響で失敗が多くなります。斜め上に向けてリリースして、着水で目標に合わせるのが基本です。もし対面側に目標になりそうな山などがあったら、その山を狙うイメージでリリースするといいですよ」

リリース時は斜め上45°を目標にする。水面方向は狙わない

美しいキャスティングフォーム

ここでお手本となるタカさんのキャスティングを再確認。ベイトロッドを握る向き、スイング軌道、リリースポイントに注意し、あとは力まずにキャスティングすること。「まずは飛距離より正確に投げれるようになることです。正確に投げられるようになれば、飛距離は後からついてきます」

タカさんのキャスティング。スムーズな流れで真っすぐ上下にスイングし、斜め上にリリースしている
手元に注目すると、リールのハンドルを下にしたまま(左ハンドルの場合)、手首や腕を捻らずにスイングしているのが分かる

問題点を修正し、ケーイチが再挑戦!

明らかになった問題点に気を付けて、再チャレンジ!
構えからリールの向きに気を付けてスイング開始
腕を捻らずに真っすぐ上へスイング。ロッドもきれいに曲がっている
斜め上45°にリリース。真っすぐ前方に飛ばすことができた!

タカさんに指摘された点を修正したところ、ケーイチでもすぐに上手く投げられるようになった。飛距離のコントロールは、スイングのスピードやサミングで調整可能。また、リリース後のロッド操作でも着水点をコントロールできるので、あとは日々の練習あるのみだ。

バックラッシュの直し方

どんなに注意してキャスティングしても、ベイトリールにバックラッシュはつきもの。もしバックラしてしまったら、スプールを親指で押さえながら糸を出して巻き直す。ラインが引っ掛かって出なくなったら、いったんスプールを押さえながらラインを巻き込んで、正常にラインを送り出せるようになるまでこれを数回繰り返す。途中、ラインが出て行かない原因(コブなど)が出来ているようなら、その部分を解くか、絡みが酷いようなら問題の部分を切ってしまうのも一手。

軽度のバックラッシュであればちょっとの操作で直すことができる
親指でベイトリールのスプールを押さえながら、引っかかって出て行かなくなるまでラインを送り出す
スプールを親指で押さえながらラインを巻き取る。巻き取ったら、再び上と同じ方法でラインを送り出す。後は、スプール内の絡みが取れて、ラインがスムーズに出るようになるまで同じことの繰り返し
ラインがスムーズに出るようになったら、出てしまったラインをレベルワインダーの前でしっかり張りながらきれいに巻き直す。なお、バックラ復旧中は多量のラインが出るので、出したラインが絡まないような注意もお忘れなく!

おまけ:根掛かりの外し方(切り方)

ロックフィッシュゲームとは切っても切り離せない根掛かり。どうしても抜けない場合は適当なところで見切って、ラインを切ってしまうしかない。この時、やみくもにラインを引っ張るのではなく、意識して瞬間的にラインを切るようにすると、ラインの伸びや不要な根ズレを防ぎ、結果的にラインを痛めずに釣りを続行できる。

【ダメな例】

がっちり根掛かりしてしまって外れない状態にも関わらず、ロッドをむやみにあおってもラインやロッドを痛めるだけだ
ダラダラと後ろに引っ張って切ろうとしているところ。ラインが伸びるばかりでなかなか切れず、結果的に残ったラインも痛めることになる

【瞬間的に糸を切る方法】

根掛かったラインをなかなか切れないケーイチを見かねてタカさん登場
まずはベイトリールのドラグを締めて、余ったラインをしっかり巻き切る
ラインを巻き取りながら、ロッドをできるだけ前に伸ばす
リールから糸が出ないように固定した状態で、前に伸ばし腕を一気に胸元に引き付ける
瞬間的に力を掛けることで簡単にラインを切ることができる

そうこうしているうちに大会の帰着時間が近付き、「そろそろ大会本部に戻らないと…」ということで今回の講習はここまで。先生の指導が的確だったおかげか、最初はあまり乗り気でなかったケーイチも、上からならそれなりにキャストできるようになりました。次回はあるのか?

◆記事に書けない裏話や質問への回答はweb版 無料メルマガ(毎月25日発行)で配信中!

※取材協力/アーネスト(宮城・塩釜港)TEL:090-3641-4621

YouTubeチャンネル登録もお願いします!

?