釣行記

東北の有名アングラーらによる釣行リポート!最新の釣況情報、テクニックをカバー!!

これから夏にかけて期待大!風合瀬沖のアカムツ(後編)

田村 努 2021年1月8日 更新

前の週のアカムツ釣行(前編)では何とか全員が本命の型を見ましたが、船中4名で1~3匹の合計7匹、最大960gで1キロupは姿を見せず、やや不完全燃焼です。其れならばと2週連続で風合瀬沖のアカムツに挑みます。

奇岩怪石の上に堂々と立つ鳥居埼灯台

風合瀬のシンボルで、奇岩怪石の上に堂々と立つ鳥居埼灯台。空や海の青さに紅白の縞模様が映えて独特の美しさがあります。先週より早く感じる夜明けの時刻は4:00、いざ出船。

沖に出る間も刻一刻と太陽が様々な変化を見せます

遠くに薄っすらと見えるのは津軽半島の西の果てとも言われ、日本海に突き出すようにある中泊町の権現崎。遥か遠くには北海道の松前半島までも見渡せる雄大なパノラマが展開。この美しさに週末アングラーの心は癒やされ、心身ともにリフレッシュされていきます。

北海道まで見渡せる雄大なパノラマが展開

ポイントに到着する頃にはすっかり明るくなり、海も穏やかでベストコンディション。先週はアブラツノザメの猛攻に悩まされましたが、今週はすっかり姿が見えなくなって好条件に。サメに狙われやすい光物や装飾などを躊躇せずに装着して釣り開始です。

暫くすると右舷艫からパワフルな電動リールの巻き上げ音が聞こえます。早朝から絶好調なのは上州屋秋田店スタッフで釣友の磯部さん!早々に良型マゾイを釣り上げます。

早々に良型マゾイを釣り上げたのは、上州屋秋田店スタッフで釣友の磯部さん!

磯部さんのタックルを見せて頂くとロッドはアルファタックルの「MPG ULTRA V10 231」 錘負荷が60~100号のカタログ表記ですが、十分なバットパワーはアカムツで使用する200号錘を背負わせても丁度良いベンディングカーブ。リールはシマノ「ビーストマスター3000」にPE4号400mとタックルバランスがとても良さそうです。

「深場胴突き仕掛け別誂アカムツ」(マルフジ)

使用されている仕掛けを見せてもらうと上州屋秋田店さんで販売されているマルフジの「深場胴突き仕掛け別誂アカムツ」、幹8号、間120cm。オモリまで150cmあるので、好みの長さに調整が可能。ハリス5号で枝60cmの3本ハリの仕掛けが2組入っている点も安心です。

船中1匹目の本命アカムツ。赤いメタリック色に朝日が反射してとても綺麗です

その後、数投目『またアタリました!』と勢いそのままに連続ヒット!グングンと竿先が真下に入るヒキを感じながら、浮かせたのは本命のアカムツ!船中1匹目を釣り上げた磯部さん。赤いメタリック色に朝日が反射してとても綺麗です。

撮影後、振り向くと左舷艫でオモリを底トントンに調整していた私の置き竿にも続けてヒット!チャンスタイム到来かもしれません!? 竿をゆっくりリフトアップして魚の重さを判別(微妙に軽く500~600gクラス)しっかりハリ掛かりさせてからロッドキーパーにしれっと戻してそのまま放置作戦。
(※幹糸の送り込みは近くの方の仕掛けが入っている場合はお祭りの原因になり、周囲状況の見定めが重要です。また近くの方の仕掛けが入っていない場合でも、潮の方向を判断して行わないと、離れた方に迄ご迷惑をかける場合もあるので、十分注意が必要です)

こちらが使用したタックル。ロッドはアルファタックル製「ショートブレード232」、電動リールはシマノ製「フォースマスター2000mk

30秒くらい放置後、更に一段と竿先がグッグッと海面に入るのを目視で確認。もう一匹魚が付いた可能性があるので慎重に対応します。1匹目と同様しっかりハリ掛かりさせ、船の上下動を身体で吸収しながら手持ちで巻き上げ開始。

巻き上げ終了後、仕掛けを手繰ると海中にぼんやりと緋色が2匹見えます!初めから本命のダブルは珍しく、お隣の磯部さんにお願いして下バリに掛かっているアカムツから、続いて中ハリに掛かっているアカムツと、上手にタモ入れしてもらい何とか2匹とも無事にGETです!

塩焼きにしたら美味しそうなサイズです

この時期はまだ痩せている個体が混じります。塩焼きにしたら細長いお皿にピッタリサイズ。私もこのアカムツのスタイルを見習らって痩せないと…(笑)

口周りが脆く裂けてしまうアカムツ

アカムツは口周りが脆くてバレやすい!

左舷艏から巻上げ音。暫くして「あれ?またばれたかも!?」と言う声は沖釣り先輩の浅野さん。「アカムツ何十年もやっているけど、4連続バラシは初めてだよ!」とのお話。「3匹はたいした事ないけれど…初めの奴はデカかった~。残り20mで大暴れしてバレた!」とがっかりのご様子。

アカムツは口周りが脆く、ハリの掛かり所が悪ければ簡単に裂けてしまいます。大きければ大きい程、派手に暴れる分バレやすく、最後のタモ入れまで一切気が抜けません。

大きい個体の方が派手に暴れる分バレやすいです

対策として、小さなアタリや竿先の違和感があったら見逃さず手持ちに切り替えます。本アタリに移行するまで違和感を与えずにテンションをキープして待つ(←最も重要)

本アタリに変化しても通常よりアワセのタイミングを若干遅らせるイメージで、聞き合わせる様に竿をリフトアップさせ、手巻きで数回転巻いて確実にハリ掛かりさせてから巻き上げをスタートします。

巻き上げ中は電動リールの変速は行わないようにします(※大型サメの奪喰いが多発する場合は一か八かの勝負なので例外)。巻き上げ時はバラシ防止で竿を手持ちにすることが大切です。

少し可愛いサイズに照れ笑いの浅野さん
右舷艏は秋田市の鎌田さん本命を釣り上げます
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シラスベイトって一体何なの?

浅野さんがバラシ防止の対策からヒットパターンを掴んだら、連続して良型アカムツを追釣して行きます。タモ入れと撮影している時に「あれっ?」と気が付いたのですが、殆どのアカムツがヤマシタ製「シラスベイト」の緑に食って来ています。

シラスベイト緑に良型アカムツがヒット!

このシラスベイトは「釣具の館秋田店さん(TEL:018-874-9262)」のオリジナル商品で、アカムツに絶大な威力を発揮します。私も殆どのアカムツを藤井商会さんの「フラッシャー毛バリ(ホタ16号)」か最近は自作のオリジナル毛バリ、そしてこの「シラスベイト+ホタハリ」の組み合わせで釣り上げています(※因みに一般的には・・ホタ針→ホタハリ、正確には・・ホタ釣→ホタツリと呼び、漁師さん達の知恵と工夫の賜物です)

シラスベイトは釣具の館秋田店さんのオリジナル商品でアカムツに絶大な威力を発揮
通称ホタハリ。正確にはホタ釣→ホタツリと呼び、漁師さん達の知恵と工夫の賜物です

「シラスベイト」は季節による潮の色にマッチしたカラーバリエーションと銀箔系のラメ、先端の夜光が特徴ですが、驚くのは動きです。どんな動きかイメージする為、海面に投入した仕掛けをリールのクラッチを切らないで落とさず、竿のリフトとホールを試すとゆらゆらと潮に靡くシラスベイトが急に「カクン」と真下に落ちる動きはベイトが逃げるように見間違えます。

シラスベイトとウキ止めゴム

「シラスベイト」と「ホタハリ」の組合わせを武器にした場合、つ抜けも難しくありません。但しシラスベイトのスリット部分がホタハリに被さるとアカムツが餌を咥えた時に違和感を与えて離したり、ハリ掛かりが不充分になってバラシの原因にもなります。ハリまで下がらないよう浮き止め用のゴムなどを利用して、ズレないように対策を施しましょう。

私もすかさず緑にチェンジして確実にGET!

船長さん情報では、数日前まではアカムツがシラスベイトの赤色に反応していたとのお話でしたが、本日は完全に緑に集中してヒット。私も自作のオリジナル毛バリからシラスベイト緑にチェンジして釣果を伸ばしていきます。

緑のシラスベイトにヒット!秋田市鎌田さん

春先から5月下旬にかけて少し暗めの潮の色の時期に赤や緑など濃い色にアカムツが反応するような気がします。試しに3本バリ全てをシラスベイト緑にした場合は逆効果で、不思議とアタリが遠くなりました。逆に目立たなくなるのでしょうか?カラーを選択し、見せバリや食わせバリを配置する技は経験が必要です。本日は下から2番目のハリに緑の配色でアタリが集中。その日のヒットパターンをいち早く見つけるのも楽しみの一つです。

遂に本命のアカムツ1kgアップが浮上する!?

ふと左舷艏を見てみると、浅野さんが慎重に手持ちで巻き上げ中。様子から1kgアップの本命の可能性が大きいかもしれません。船中に緊張が走ります。愛竿であるアリゲーター技研製の中原スペシャル・グラス系2.5mのヒラマサ竿が海面に綺麗な曲線を描きます。

今シーズン初の1キロupは確定!本日最大おめでとうございます

浮上してきた緋色の塊はデカく、計量するまでもなく今シーズン初の1キロupは確定。見た目1.2kgくらいありそうです。食ってきたのは4本ハリの下から2番目のシラスベイト緑。

笑顔とアカムツをスマホに納めているとシラスベイトの先端が光っているような気が…よく見ると先端にケミホタルが見え隠れ?! いつもながら細部にまで拘った釣技に驚かされます。

アカムツの外道~多種多彩な旨い魚たち~

後半も好調をキープして多種多彩な魚を釣り上げるのは磯部さん。一夜干しカレイの代名詞とも言われるソウハチガレイをGETです。焼くと皮目が非常に美味しく淡白な白身なのに絶妙な脂がのっていて最高のお魚です!

アカムツ6匹目で何とかノルマ達成とのお話。上州屋秋田店スタッフさん達や、ご友人のお祝い分と安堵の表情の磯部さん。

艏の両舷で同時に小型のアラが上がったのを見て、付け餌に集魚剤いかごろエキスを配合した「SUPERいかたん(ニッコー化成)」を試してみます、と磯部さん。アラはイカが大好物だから成る程と思っている最中に鋭角なアタリ!力強いヒキから浮上による水圧の変化でおとなしくなるのはアラの証拠。想像力と釣りのセンスにすっかり感心させられます。

青森でミズクサガレイ(水草)と呼ばれるムシガレイ
オキメバルと言うことの多いウスメバル。青森ではテンカラといいます
マゾイ(和名タヌキメバル)

船中4名の釣果はアカムツ5~8匹で計24匹。それにマゾイ10匹、アラ3匹、ムシガレイ3匹、ソウハチガレイ1匹、ウスメバル3匹でした。

今回の釣行でやっと1.2kgクラスが姿を見せてくれました。錦鯉みたいに丸々としたアカムツが釣れ始める夏頃にまた釣行を計画したいと思います。

なだらかな岩木山の山容をながめながら帰港

中深場のアカムツ釣りの魅力は、繊細な前アタリ、シャープな本アタリ、竿先が真下に入る力強いヒキ、見惚れる緋色の美しさ、美味しい食味など色々ありますが、兎にも角にも釣れると堪らなく嬉しくなる不思議なお魚です。

田村さんも通う宮城県仙台市の[つりえさ倶楽部マリン仙台新港店]。冷凍エサ、活きエサとも全国発送にも対応しているので、事前に釣りエサ屋さんに行く余裕が無い時にも重宝する。お店に行く場合は、仙台港のキリンビール仙台工場向かい、仙台港IC近く。
■TEL:022-786-3580

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PROFILE:田村 努

東北の沖釣りをメインに赤い魚を狙う船釣り師。最も得意とする釣りは中深場のアカムツ、オニカサゴ、アラを中心とした根魚。目標は東北の超深海釣りの開拓。仙台市泉区在住、職業はロケットエンジン用ターボポンプ計測担当

 

※取材・テキスト/田村 努

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