釣行記

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階上沖マスナタ釣法のヒラメ 好釣継続中!

坂下利助 2021年1月8日 更新

活きエサが無いとなかなか釣れないヒラメを冷凍イワシで釣ってしまう、マスナタ釣法のヒラメ釣りが好調だ。今季は例年より少し早く、8月から良型中心に数が釣れており、本来のハイシーズンであるこれからの季節はますます期待が持てそうだ。

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伝統漁具マスナタのヒラメ釣りとは?

一人40枚超の日もあるなど今季絶好調!

震災の影響により、さかした釣具店の協力船も数が少なくなってしまったが、坂下さんが操船する第三浩丸をはじめ、写真の正栄丸など8隻の遊漁船の斡旋を行っている。乗り合い料金は5,000円(エサ、仕掛け別。竿は数本までなら無料貸し出し可能)

昨シーズン、「伝統漁具マスナタのヒラメ釣りとは?」で紹介した階上沖のヒラメ釣りが好シーズンを迎えている。

今回、解説をしてくれた坂下利助さんが店長を務めるさかした釣具店は震災の津浪で壊滅的な被害を受けたが、現在は営業を再開。稼働可能な協力遊漁船とともに、連日ヒラメ狙いで出船を続けている。

今季の階上ヒラメだが、例年ならまだ早いはずの8月頃から釣れ始め、調子のいい日には一人40枚超などという大爆釣もあった。震災後、ポイントが大きく変化したが、水深20~30mの浅場のポイントに魚が集まり、釣りやすい状況のまま現在に至っている。例年10月頃はトップシーズンにあたり、まだまだシーズンを折り返した頃。今後も11月中旬くらいまでは十分に狙える見込みで、ポイントが深場の根に移ると、50~60cmの型物が多くなるので楽しみだ。

絶好調だった8月下旬の釣果。この日は少ない人で10枚以上、トップは40枚ほどと大爆釣した
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イワシをただ泳がせただけでは釣れません!

階上のマスナタ釣法には、タコベイトを付けた2段仕掛けを使う方法と冷凍イワシをエサに1段仕掛けを使う方法とがあるのだが(詳細は昨年の企画で解説)、主流は冷凍イワシを使った釣り方。ということで、ここでは冷凍イワシの1段仕掛けで狙う方法を中心に解説してもらった。

「マスナタを使って冷凍イワシを泳がせるんですが、基本的には活きエサのヒラメ釣りと一緒の感覚だと思ってください。せっかくヒラメが食っても、早アワセでバラしてしまうというのはよくあることです。特に食いが悪いときほど、小さいアタリをしっかり取ることが大事ですね。このアタリが分かるかどうかが、1枚目を釣るためのポイントになります」と坂下さん。アタリを取るために竿を止めて「聞き」を入れるのも一つの方法だ。

そして、ヒラメが食いついてきたときに、高活性であれば一発でガツンと食い込むこともあるのだが、普通はアタリがあってから食わせるための間が必要。活きエサであれば、そのまま竿を止めて食い込むのを待つわけだが、マスナタの場合は、泳いでいるナタが沈まないように惰性で泳がせつつ、ヒラメが自然に追い食いできるように操作する。竿操作はその時々で異なるのだが、竿を上げた状態で保つのが基本だ。

こちらが階上式のマスナタ(ヒラメナタ)。通常、製造販売されているのはナタだけで、自分で穴を空けてカスタマイズする。さかした釣具店では坂下さんが穴空け調整したものも販売しており、初中級者にはそれがオススメ
上がバケ仕掛けで、下が冷凍イワシ用のタコキャップ仕掛け。両者の違いはコチラで解説しているが、今は下の仕掛けのみをナタの後ろに付けて、冷凍エサで狙うのが主流。とてもシンプルな仕様だが、ハリスの材質や長さが釣果に直結する

取っつきにくい分、ハマる要素も多いのだ

マスナタを泳がせるための竿の振りも、毎回同じことをしていたのでは通用しないという。「潮や活性によるものと思いますが、昨日、今日で釣れる誘い方が全く違ったりするんですよ。上手な人だと、最初の1枚を釣ったときにその日の感覚をつかんでしまい、それを1日続けて数を伸ばします」。冷凍イワシを使う場合は、大きくシャクらずに、エサをしっかりアピールさせることが重要。竿をタテに振ってマスナタを動かすだけでなく、竿を横にスライドさせてわざと横走りさせてみるなど、慣れてくると色々な組み合わせが可能になる。ナタに空ける穴の位置など、チューンによっても動きが全然違うので、お気に入りのナタの使い分けもこの釣りの面白いところでもある。

「あと、大切なのが竿の選択ですね。長さが2.1mくらいで、胴が強くトップが軟らかいアジビシ用の竿などがシャクりやすいです。長い竿ほどナタはよく泳ぐのですが、負荷が大きすぎてとても体がもちません。以前、合わない竿でやっているのを見かねてレンタル用の竿を貸したんですが、たちまちアタリが取れるようになったことがありました。貸し竿は無料ですので、最初はそれで練習してもらうようにおすすめしています」

ここまで大まかなところを解説してもらったが、様々なテクニックが関わってくる釣りだけに、ゼロから始めるのは難しいのでは?「たしかに船の中でもかなり釣果に差がつきます。最初はナタを泳がせるだけで精一杯で、なかなかアタリが取れないのですが、めげないで2回、3回と挑戦してほしいですね。慣れれば確実にアタリが取れるようになりますし、分かってくると本当に奥が深くて面白い釣りなんですよ」

ここ数年は、「こんなもので本当にヒラメが釣れるの?」という疑念を抱きながら他県からやって来て、ハマっていく人も多いそうだ。1回目がだめで、悔しくてリベンジをかけた2回目に釣り、そのまま通う人も。これからもどんどん挑戦してほしいところだが、遊漁船の隻数が減っているため、1週間前までに予定が埋まってしまうこともある。予約はお早目に。

竿の操作は、水面から肩くらいまでの高さまで竿を振るのが基本。大きく速く振ることより、しっかりとイワシを泳がせることを意識する。また、上の写真のように竿に支点を設けて、テコの原理を利用して竿を振る方法も、疲れにくくておすすめだ
この方は2回目の挑戦にして15枚以上の釣果を達成。初めての挑戦は0枚に終わったそうだが、コツさえつかめばしっかり釣れてくれるのもマスナタの魅力だ
定番外道のアブラメ(アイナメ)。階上沖は根魚の宝庫でもあり、ヒラメの後はアイナメ、メバル狙いが本格化する
さかした釣具店の店内にはチューンナップされたマスナタがズラリ。しっかり泳ぐ穴の位置、角度は大体決まっていて、初心者でも釣れるよう坂下さんが調整している(サイズは350号と400号)。また、ポイントによっては根掛かりも多いため、決して安くは無いマスナタをロストしないように道糸はPE6~8号の太めを用意したい

【アクセス】
さかした釣具店の店舗は遊漁船の出船港である階上・追越漁港のすぐ上。八戸道の南郷ICから約20分。初めての場合は八戸IC、八戸市街方面から海岸線を南下する方が分かりやすい
さかした釣具店(TEL:0178-89-2252)

 

PROFILE:坂下利助

青森県階上町のさかした釣具店店主であり、第三浩丸の船長。船長として海に出ながら、釣法、仕掛けを研究しているので、当地の釣りのことは熟知している。坂下さんのオリジナル商品の詳細はHP

 

取材・解説/坂下利助
取材協力/さかした釣具店・第三浩丸(TEL:0178-89-2252)

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