釣行記

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ライトタックルで楽しむ 三陸の船ヤリイカ!

針生 秀一 2021年2月4日 更新

夏のスルメイカ釣りで紹介した越喜来湾がヤリイカ狙いにシフトした。スルメイカに比べて身が軟らかく、上品な味わいのヤリイカ。スルメ並に釣れ盛ることもある好調の今季、カレイ竿でも狙えるので、このチャンスに三陸ならではのヤリイカ釣りをぜひぜひ体験をば! ※2010年12月の取材記事です。

関東のライトマルイカ感覚!カレイ竿でも十分狙える

大船渡市・崎浜港の第二荒神丸はサンセットタイムから出船。向かうは越喜来湾と吉浜湾の間にある首崎周辺のポイントだ。船を固定し釣り始めると、すぐに連続で乗ってきた

三陸沿岸では、岸壁、堤防などからのヤリイカ釣りが人気ですが、磯寄りの浅場に繁殖、産卵で乗り込んでくるヤリイカを、船からライトタックルで狙うのも、ホットな乗りと繊細な釣趣が味わえ、抜群の面白さです。

越喜来湾の夜ヤリイカ釣りの名船、崎浜港第二荒神丸では、10月20日に出船開始。いつも初日に申し合わせて同船する上州屋盛岡店スタッフの富澤さんが30杯のヤリイカを上げ、近年の初日としては良いスタート。そこから出船毎に上向き、12月1日には竿頭256杯という、まるで夏のスルメイカのような爆乗り!今季は4年前の当り年を凌ぐヤリイカの沸きで、期待できそうです。

取材日は12月12日。午後2時半に崎浜港駐車場に着くと、もう富澤さんグループは準備完了。私も防寒装備を整え、荒神丸に乗船、左舷の胴の間に席を取ります。

越喜来湾の夜ヤリイカはオモリが50号なので、仙台湾、三陸沿岸で使っているカレイタックルが使えるライト感覚が魅力。関東で盛んなマルイカ釣りで、東北カレイ専用竿がマッチするといわれるように、浅場の夜ヤリイカにも、手感度に優れたカレイ竿は良い感じです。また2.1~2.7mの先調子の長竿も、シャクリのストロークが大きく取れて、穂先の曲がり具合でアタリを視認しやすく、この選択も良いでしょう。

越喜来の夜ヤリイカはライト感覚が魅力で、感度、操作性に優れた先調子のカレイ用タックルなどが適する。針生さんのタックル=ロッド:幻風東北カレイ小突S180、ベイリアカレイ170PT、リール:電動丸400C、バイオクラフトクイックファイヤー300XHタイプG、道糸:PE2号(ロッド、リールはいずれもシマノ)

仕掛けはプラヅノ11cmダブルカンナ、5~7本のブランコ仕掛けが標準。ダブルカンナがバラシを減らしますが、乗り渋りにはシングルカンナが効くこともあり、使い分けると良いでしょう。

扁平形のサカナ針の実績高く、江刺船長も薦めます。前回、富澤さんが使って好調に乗せたという下田漁具のビードロ針や、やや太めのタマゴ針もいい感じです。浅場で潮も澄む冬なので、淡い色の組み合わせが良いのですが、経験上、濃いブルーに良く乗ることが多いため、私はこれを必ず入れています。スッテ、エギなどを、コマセヅノに入れるのも効果的です。組み合わせる水中ライトは、小型の青、緑、白色が良いでしょう。

イカは新しいツノに乗りが良く、傷ついたり、カンナ針の錆付いたツノには乗りが渋いです。使ったツノはぬるま湯で洗い、乾かして保管すれば2、3回は使えます。

左上)仕掛けはプラヅノ11cm、5~7本、コマセヅノにスッテ、エギなどを入れるのも効果的。第一精工のツノマット類も持っておくと、投入、回収がラクになる。左下)上州屋盛岡店、富澤さんの自作仕掛け。右)ヤマリア、ヨーヅリ、美咲など各社からそのまま使える市販仕掛けが出ている
使ったツノは綺麗に洗って乾かせば、数回であれば再利用できる。傷つき、錆びたツノは省いておくのがベター
 
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初っ端からスルメ、ヤリ爆乗りペースで好調!

予約の9名がそろい、午後3時半に出船。30分ほど走って首崎に到着。江刺船長は慎重にポイントを定めてアンカーを入れます。海底の地形を確認しながらロープを調整して、船が安定したところで開始のホーンを鳴らします。

マットに並べたツノを順番に送り出して投入。水深は40m、着底したらゆっくり大きくシャクリ上げ、5秒ほど留めてスッと竿先を下げます。落とし込みが最も有効なので、上でツノを見せてから、スーっと落とします。叩きを入れて巻き落とし、10m上まで探ります。ツノが水平になったときに乗ってくるので、ツノを泳がせるイメージで誘うのが基本。落とし込みをズシッと受けるように乗るときのアタリは明確ですが、フワっと竿先が振れる程度の微妙なサワリもあります。これを捉えて乗せるのが、ヤリイカ釣りの面白さのひとつです。

振り下げからのアタリを取る上州屋盛岡店の富澤さん。大きくシャクリ上げた後、3カウントほどポーズして、また振り落とすというのが基本の動作

開始してすぐに、左舷ミヨシの田上さんがスルメ、ヤリを連続で取り込みます。私も中層まで巻き上げ、そこからサミングを加えて落とし込みます。見切られた仕掛けをいったんイカの視界から消し、落とし込みで反射乗りを狙うのです。着底して、ソフトに聞きアワせるように竿を立てていくと、ズシンと伝わる重量感。追い乗りを狙って、ゆっくり巻き上げていきます。

好調にヤリイカを取り込む盛岡の田上さん。簡単そうにやっているが、ツノさばきに慣れないうちは手を怪我したりしないよう注意が必要

残り5mでキーパーに置き、道糸をホルダーに掛けて水中ライトを船内に入れ、上ヅノから順に取り込んでいきます。2番目のツノと1番下のエギスッテに、胴長20cmほどのヤリイカの2杯掛け。周りからも噴射音が響き、まだ薄明るいうちから乗りは好調です。

集魚灯が点いて、右舷ミヨシの富澤さんも次々にヤリイカを上げていきます。これは今晩も爆乗りかと思われたのですが、6時半ころから、ポツンと単発で上がるくらいに渋ってきました。満潮の潮止まりのようです。

微妙なサワリを感じ取って乗せる繊細さがヤリイカ釣りの面白いところ。その一方で、落とし込みからシャクリ上げたときに、ズシンと伝わる熱い感触もヤリイカの醍醐味なのだ

三陸ヤリイカは今が絶好のタイミング!

釣っている最中はカゴに入れてスミを吐かせる。船上灯に輝く美しさもヤリイカの魅力(タイトル下写真)で、複雑な色素の変化に目を奪われる

徐々に上向いてきた8時すぎ、ヤリイカ2度目という方に江刺船長が釣り方のレクチャー。教えながら大型を2杯掛けした船長を撮影していると、「その写真はカットだ~(笑)」と声がかかります。この和やかさが、またイイのです。

午後9時ころには再び盛り上がり、9時半に納竿。好調の田上さんは70杯ほど、富澤さんもヤリ50杯、スルメ3杯。私はヤリ30杯、スルメ3杯の釣果。これでも今季の平均以下という夜でしたが、ヤリイカは良型多く、乗りと食味を充分に楽しめました。

今季は混じるスルメイカが少ないのですが、冬至スルメと呼ばれる大型が乗ってきます。これから小型のメスヤリを追って、大型のオスヤリが多くなると予想され、さらに期待できそうです。荒神丸では、1月いっぱい夜ヤリイカで出船する予定とのこと。食味も乗りも最高のヤリイカを味わいに、是非出かけてみてください!

上)この日はトップで70杯、平均30杯程度だった。写真はヤリ50杯にスルメ2杯の富澤さんの釣果。下)ヤリイカは氷に直接触れないよう、ジップロックに詰めて持ち帰る
針生さんが乗船した越喜来・崎浜港の第二荒神丸は漁港中央の遊漁者用駐車場付近から出船。江刺船長は気さくに何でも教えてくれるので、ヤリイカ初心者は船長のレクチャーに従って釣るのが上達の早道(下写真、でか槍を釣っているのが船長)。ヤリ以外にメガラ(オキメバル)もオススメ
 

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写真・テキスト/針生秀一
取材協力/第二荒神丸(TEL:090-7065-3004)

PROFILE:針生秀一

船釣りを中心に、防波堤や河川の小物釣りなど、なんでもこなすオールラウンダー釣り師。全国各地の釣りと釣り具の知識が豊富で、釣りの生き字引的存在。泉区のロックバーラグ(Rag)オーナー。シマノフィールドモニター

 
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