釣行記

東北の有名アングラーらによる釣行リポート!最新の釣況情報、テクニックをカバー!!

越冬後の鮮やかな渓魚に逢いに行こう![渓流トラウト]

森本 正善 2021年2月11日 更新

東北も本格的な春を迎え、いよいよイワナ、ヤマメの活性が上がってくる季節。春の渓魚は秋の婚姻色の雰囲気がある個体や越冬のサビの残る魚など、美しい魚体のバリエーションも魅力のうち。岩手の渓流より森本正善さんからのリポートです。※2017年3月の掲載記事です。

3月も終わりに差し掛かり、東北地方も日中は春めいた気温が続いている。

海に川にだんだんに水辺が騒がしくなってくる季節ももうすぐそこまで迫っているが、川の中はまだまだ冬。しかしこの時期の溪流域でも越冬した良型の渓魚に出会えるチャンスは存分に溢れている。

秋の趣をそのままに残す越冬の個体は魅力十分
 
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この時期のイワナはリアクション重視で

3月という厳寒期。水温も5℃を下回るような冷水状態であり、いくら低水温に強い渓魚といってもその動きはハイシーズンに比べると格段に鈍い。

渓魚の中で最上流域を棲家とするイワナにおいても、流石にこの時季は動きが鈍い。そんな今時期だからこそ有効なのがリアクションを重視したアプローチだ。

ルアーの不規則なリアクションに堪らず口を使ってくることが多い

昨年の記事でもご紹介したヘビーシンキングミノーによるジャーキングアクションは、雪代が出る前のこの時期に特に有効だ。

ポイントはボトム付近での縦へのリアクション。低水温で流れを嫌い、ボトムでジッとしている傾向のあるイワナに無理矢理スイッチを入れることがこのメソッドのコツ。

流れに乗せながら速やかにボトムまでルアーを沈め、ロッドを縦にチョンチョンと煽るようにアクションさせ、フォール時に口を使わせる。フォールは完全なフリーフォールではなく、ほんの少しラインテンションを掛けながら行うと良い。

ルアーの縦への不規則な動きについつい反応してしまうところが、この時期のイワナの可愛いところ。顔付きは獰猛だが…

3月中旬、源流域への釣行。

流れの脇に位置していた大岩の下に居るであろうことを予測しながら、少し上流側へ「ima sukari 50SS」(アムズデザイン)をキャストし、流れに乗せながら速やかにボトム付近までミノーを沈める。ちょうど大岩の前に差し掛かったあたりでロッドを煽りながらアピール。すると大岩の下から大きな魚影がチェイス!

1回目はミスバイトするも、小刻みなジャーキングを加えながらアクションさせ続けることで一度入ったイワナのスイッチを切らさないようにチェイスさせ続け、足元でトドメのJ&Mメソッド。思い通りに口を使わせることが出来た。

口が割れた見事な大イワナ
黒ずんだ魚体と見事な体高は越冬の逞しさを感じさせてくれる1尾だった
超BIG!!・・・とは言えないサイズではあったが、40cmを優に超える見事な魚体だ

渓魚のスイッチを入れることが出来ても、フックアップまで持ち込むのはこの時期結構難しい。

低水温により、頭で反応してもきっと身体が付いてきていないのだろう。だからこそ、一度入った溪魚のスイッチを切らさないようアクションを加え続けることが重要になる。

渓魚がルアーに興味を持ち続けているうちは、足元までチェイスしてきても案外アングラーの姿に気付かないことが多い(特にプレッシャーの少ないこの時期は・・)。ルアーから魚の目線を外さないように動かし続け、しっかりと目で見てフックアップに持ち込もう。

イワナはヤマメに比べ、一度入った捕食スイッチが切れにくい。一度ルアーに興味を持ってくれたらこちらのものだ
水深があり狭いポイントでは、速やかにボトムに到達するバイブレーションも非常に有効だ。写真はバスデイの「レンジバイブ45ES」
縦の動きが特に有効なこの時季、敢えて少し高めの足場から攻めることも多い

ヤマメもこの時期は流れを嫌う

ヤマメといえば流れを好み、ガンガンと流れる瀬や流心に点在するストラクチャーに着いているイメージが強い。しかし、水温が低いこの時季、流れを嫌うのはヤマメも同様。エサが少ない為に身体も細く、まだまだ流れに順応しきれていない個体が多い。

サイズは良くとも、溪流域のヤマメは雪代が落ち着いてエサが豊富になるまでは細々しい

狙うべきポイントは、砂地に沈んだ枯れ葉などが絡み、少し開け気味の流れが緩やかな場所。暖かい砂地のボトムにタイトに着いていることが多く、陽が差すと浮くこともある。枯れ葉なども低温から魚体を保護する温床となりやすい。

具体的な例を挙げれば、堰堤の上のプールなど。堆積した砂や植物が水温を温めやすく、この時期にはヤマメの纏まった付き場になっていることが多い。

岩盤帯より、砂地や沈んだ植物が多いところにこの時期のヤマメは溜まりやすい
堰堤上のプールなどは日も差しやすく、砂や流下植物が堆積しやすい。ヤマメにとっても居心地が良さそう

使用するルアーとしては、イワナ狙いのものより若干軽めで沈みの遅いスローシンキングタイプのミノーや軽量スプーンなどが良い。私の場合、溪流域でスプーンは使用しないため、3~5g前後のシンキングミノーを多用する。

フローティングミノーは浮力がある故に動きのメリハリが強すぎるので、シンキングミノーの方がよりゆっくりとヤマメにアピールすることが出来る。私がこの時期ヤマメ狙いで多用するミノーは「ima sukari 50S」(アムズデザイン)や「Buffet DORAS 43」(タックルハウス)、「RYUKI 45S」(デュオ)など。

キャスト後はフリーフォールさせるのではなく、少しのテンションフォール(ラインが若干張る程度でOK)でゆったりと魚のレンジに合わせ、小刻みなアクションを加えながらアピールさせる。

魚がルアーをとらえきれない場合は、前回ご紹介したJ&Mでフックアップに持ち込む。これが私がこの時期のヤマメに多用するメインメソッドだ。

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解禁初期に有効なJ&Mテクニック

この時期、溪のヤマメは秋の名残を残す色彩がとても魅力的
紅に染まった魚体はいつ見ても惚れ惚れする。秋と早春だけに見られる”自然の限定色”だ
このヤマメはその色彩もさることながら、体中に点在する斑点が非常に綺麗。溪のヤマメの最大の魅力

勿論、堰堤下は例外なく魚が溜まりやすい。特にこの時期は目に見える以上の渓魚達が身を潜めている。餌釣り師、ルアーマンによるプレッシャーは非常に高いが、アプローチやルアーを色々試すことで、それまで反応しなかった渓魚を引き出すこともできる。

堰堤下は意外と難しい場所だが、必ずチェックしておきたいポイント
堰堤下の流れが淀んでいるエリアでチェイスに持ち込みHitさせた越冬の尺越えヤマメ
身体は細く、動きも鈍かったが、獰猛な顔付きはカッコイイの一言に尽きる
おそらく秋にはつがいだったのか?同ポイントでメスの良型越冬ヤマメもHitした

渓流ミノーイングに特化したトラウトロッド開発中!

現在テストを重ねているバレーヒル社のプロトロッド「Arcustream(アークストリーム)」。私が渓流ルアーゲームの主体とする、ミノーを使用したアプローチに特化させたコンセプトになっている。

今回の釣行ではSS-50をメインに使用した
SS-50は源流域でのイワナ狙いを主体としているが、小渓流域のヤマメにも問題なく使用できる。今後詳細なコンセプトをご紹介していきたい

溪は魚以外にも魅力が沢山!!

渓流はイワナやヤマメといった渓魚だけでなく、様々な生き物や景色など、見ていて飽きない魅力に溢れている。少し釣りの足を止め、そんな魚以外の魅力に目を向けるのも渓流の楽しみの一つだ。

これからますます生命感が溢れてくる渓。前後左右、上下360°全てに目を向け、その情景を楽しもう!! きっと仕事の疲れなんて吹き飛ばしてくれるはずだ。

溪には様々なキノコが実っている。見た目は面白いが、危険なので知識無く食べたりしないように(笑)
木に付着している苔をよく見てみると、小さな芽が沢山
何気なく岩に付着している苔も、拡大すればまるで草原のよう
足元には渓魚の栄養満点なエサとなる水生昆虫も
複雑な地形が作り出す様々な流れも、見ていて飽きない一景
岩肌には小鳥たちが一所懸命作った巣も。既に旅立った後だろうか
早春ならではの景色。これもこれで芸術だよね
水中に目を向けてみるのも非常に楽しい
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PROFILE:森本 正善

ロックフィッシュ中心に岩手県内陸より三陸に通うルアーアングラー。出身は秋田市で、日本海側のターゲットも積極的に開拓中!バスやトラウトなども得意。サポートメーカー=ベイトブレス、バレーヒル。ブログ「東北ロック」http://pirania.naturum.ne.jp/

 

※取材・テキスト/森本 正善

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