岩手渓流シーズン開幕!解禁初期のイワナ、ヤマメ攻略テクニック
解禁直後のトラウト釣行を岩手県在住の森本正善さんがリポート!初期の渓流ミノーイングゲームに欠かせないJ&Mとは?
※2017年3月掲載の記事です。
2017年も3月1日を迎え、岩手県では遂にトラウトファンが待ち望んだ渓流解禁を迎えた。 一体、今年の渓流シーンはどのような姿を見せていくのであろうか・・・
渇水の解禁釣行
「昨年より総降雪量は多いだろうか」
そんな印象を受けていた2017年初期。確かに降雪量は昨年より多かったかもしれない。しかし1月や2月だというのに時たま暖かい日が続くことが多く、雪が降っては溶け、降っては溶けの日々を繰り返していたように思う。
結局、今年の岩手渓流は十分な水源(雪)を蓄えることなく解禁の日を迎えた。今年も解禁日に選んだのは雪が比較的少ない沿岸河川。
更に昨年の8月30日に岩手を襲った台風10号の影響か、大木が倒れ、川は土砂で寸断され、渓魚達の遡上を阻む障害物として変わり果てた姿を見せる河川も見受けられた(私自身、昨年の台風後は沿岸河川への釣行は無かった為、今年になって初めてその姿を見ることとなった)
そんな中、毎年解禁釣行を共に迎える釣友と最初に入った渓。果たして魚は居るのだろうか?
答えはすぐに返ってきた。
幸先良いスタートを切れたのもつかの間、その後の実績ポイントは土砂等により水深が浅くなり、壊滅してしまったポイントも見受けられた。やはりそんなポイントでは魚の反応もイマイチ。
最後のポイントで40cmに迫るイワナをチェイスに持ち込んだものの、その動きの鈍さにフッキングのタイミングを誤ってしまい、結局最初の溪では1本のみで終了した。
解禁釣行の釣り人で賑わう溪へ
次に向かった小規模な渓でも今年は魚の反応を得ることが出来ず、昼食後、解禁釣行の釣り人で賑わう溪へ向かった。
我々が入りたいポイント帯はちょうど空いており、準備を済ませて入渓。先に釣友が探るもノーチェイス。交代し、釣友が攻めきれなかったより遠くのポイントにアプローチするとイワナがチェイス! この時期必須のテクニック、足元での”食わせの間”に成功し、今期2本目の渓魚をランディングに持ち込んだ。
その後は午前中の先行者のプレッシャーに苦しめられながらも、最後のポイントで深みのボトムを探っていた私に3本目。
釣り人は多いものの、やはり実績ポイントだけに魚影は濃い。それでも昨年よりは厳しい印象を受ける・・・。
少ない水量により活性がより低く、アプローチを少しでも間違えるとバイトしきらないし、バイトしたとしても食いが浅く、フッキングまで持ち込みづらい。釣友が苦しんでいたのはそこだろう。
しかし、諦めなければ結果は出るもの(釣友いわく99%は諦めていたらしいが(笑))。最後の最後に苦しんでいた釣友が奇跡の1本!!
解禁日の1本はこれだけ喜べる価値がある。厳しいなりにも貴重な渓魚に出会えた解禁釣行となった。
雪深き内陸河川へ
解禁4日目に迎えた休日。今度は雪無き沿岸河川から一転、雪深き内陸河川へ足を運んだ。
この日のメインターゲットはイワナ。この時期は雪深いだけにマイポイントになる予定だったが・・・
しかし、シーズン初期はイワナの魚影が濃い溪だけに期待は持てていた。開始しばらくは全くの無反応だったものの、とあるポイントで水面に波紋が浮かび上がる。
水中に目を向けてみると・・・
この厳しい環境の中、たとえ小さくとも逞しく生きている渓魚達。思わずホッとする気持ちになれた一瞬だった。
解禁当初に有効なミノーイングテクニック
解禁当初は低水温により渓魚の動きも流石に鈍い。ハイシーズンと比べ、ミノーの動きに明らかに付いてくることができていない場面を多々見受けられるだろう。すぐ手前までチェイスしてきてバイトしきれずにミノーのピックアップを迎えてしまう経験が何度もあると思う。
大型の個体の一部に限っては解禁当初でもミノーの動きに遅延なく付いてこられることもしばしばだが、大抵の場合は”食わせの間”が最大のキーポイントとなる。
この時期、特に私が多用している”食わせの間”はシンキングミノーを使用したスローローリング。
まずはロッドジャークによるトゥウィッチやダートで渓魚に興味を沸かせ、そこからリーリングではなく、ゆっくりとした縦へのロッドストロークでシンキングミノーを限りなくスローにレンジキープさせる(着底はさせないように)
その際、大抵のシンキングミノーは微妙にローリングアクションをする。ここが”食わせの間”になる。まさにシンキングミノーを使用した”ジャーク&ミドスト”。
ミノーが自重でフォールする力を縦へのロッドワークで出来るだけ相殺させることが最大のキモであると思っている。
この時期の渓魚はバイト時に口を開ける瞬間が鮮明に見えるほど動きが鈍いことが大抵。ジャークによるリアクションで魚に興味を抱かせ、ミドストによって魚の鈍い動きにアジャストさせることがこのテクニックの強み。
微弱に発生するローリングアクションも、渓魚の興味を削がない大きな武器である。
J&Mで尺越えイワナ!
この日は時間の経過と共に快晴だった朝とは一転、大雪に見舞われることに。
そんな中でも、J&M(ジャーク&ミドスト)テクニックに綺麗な渓魚達が反応してくれる。
そしてとある大場所の淵に差し掛かった時、ボトム付近のJ&Mでズシンとした重々しいバイト!!
無事ランディングに持ち込んだ魚は35cmほどの逞しい尺越えイワナだった。
その後もポツポツとイワナが顔を見せてくれ、最後に良型のイワナで締めくくった一日となった。
源流域のヤマメ狙いへ
翌日、今度は再び沿岸方面の溪へ。前日のイワナ狙いから一転、今度はヤマメ狙いの釣行。
イワナより動きが俊敏なヤマメだが、この時期はやはりスロー。この日もJ&Mを多用し、ヤマメの数釣りを楽しんだ。
前日(もしくは朝一?)の先行者のプレッシャーが掛かった状態ではあったが、この日は運良く渓魚の反応に恵まれた釣行であった。
タックルセレクト
最後に使用タックルをご紹介。
ロッドは今季より使用しているプロトロッド「Arcstream」(バレーヒル)。ミノーイングを中心とした釣りをする私が求める性能を詰め込んだロッドであり、現在鋭意テスト中。今回は「SS-50」、「SS-56」を使用した。
リールは今年発売された「THEORY 2004H」(ダイワ)。ラインはシーズン初期の厳寒期ということで、ナイロンの「TROUTIST AREA L.E. STEALTH」(サンライン)
ミノーは、この時期特に多用するのは「ima sukari 50SS」(アムズデザイン)と「Trout Tune HW」(ジャクソン)だ。
最後に、ランディングネットはバレーヒルの「ハンドメイドランディングネット」。S及びMサイズを使用している。
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ロックフィッシュ中心に岩手県内陸より三陸に通うルアーアングラー。出身は秋田市で、日本海側のターゲットも積極的に開拓中!バスやトラウトなども得意。サポートメーカー=ベイトブレス、バレーヒル。ブログ「東北ロック」http://pirania.naturum.ne.jp/
※取材・テキスト/森本 正善