2016年 岩手県渓流解禁釣行!! 極寒のミノーイングゲーム
2016年3月1日。今年も渓流王国岩手県の渓流がついに解禁した。昨年は終日雨降りの中での解禁釣行。今年もまた天気には恵まれず、吹雪の中での極寒解禁釣行となった。
今回は3月1日の解禁釣行の模様と併せて、この時期の渓流攻略のキモをご紹介したいと思う。
この時季、特に重要になるポイント選択
弥生とも呼ばれる3月。草木がいよいよ生い茂る月としての意味を込めての言葉だそうだが、そうは言っても東北屈指の雪国岩手県。3月はまだまだ冬真っ最中。
当然、渓流においても気温、水温共に非常に低いコンディションとなる。今釣行でも気温は氷点下、水温も0~2℃と非常に厳しい状況だった。
水温がこれだけ低いので、当然イワナ・ヤマメといった渓魚の動きも鈍くなり、この時期の渓魚たちは強い流れを嫌う傾向にある。
具体的に言えば、流れがよどんでいるようなプールや、直流が避けられ反転流だけが巻く大岩裏や、岩盤のエグレが主なポイントになる。それらを複合的に備える堰堤も外せない好場所だ。
岩手の渓流を大きく2つに分けると、「内陸河川」と「沿岸河川」がある。内陸河川はこの時季気温が低く、積雪量も多いために通行止めとなっている場所もあるなど、ポイント自体に入れない場合が多い。その為、シーズン初期は積雪が少なく気温も比較的高めに推移する沿岸河川を選ぶと良いだろう。
ちなみに今回の釣行では気仙川水系の河川を選択した。
上記のような有望ポイントでも、この厳寒期は渓魚の「居る」「居ない」がハッキリしている。数投して反応が無ければすぐ見切る。逆に反応があった場合はしばらく粘る価値有りだ。
魚の動きが鈍くてもミノーイングはとっても有効
今回はミノーイングのみを駆使しての釣行(というか、私のトラウトスタイルとしてミノーイングしかやらないのです(笑))
基本的なミノーイング操作とは、ロッドティップを小刻みに動かしながらリーリングする「トゥウィッチアクション」と「ヒラ打ちアクション」となる。渓魚たちはこの動きに堪らず反応(=リアクション)してしまいバイトに至る・・・わけだが、この時期はそうも簡単にはいかない。
その理由は「水温が低く渓魚の動きが鈍いこと」にある。魚の活性が低い早春は小型スプーンを使ったスローなアプローチが有効である。しかし、ミノーでも同じようなアプローチは可能(但しシンキング系ミノーに限る)
むしろリップの付いたミノーならスローなアプローチもリアクションアプローチも演出できる。ナチュラルドリフト(流れに乗せて自然に流下させるテクニック)だって可能なのだ。何よりスプーンと違ってオートマチック感が少ない ので、「自らのロッド操作によるアクションで食わせた!!」という満足感にも浸れる(笑)
シンキング系ミノーは自分のロッド操作次第でいかなるアクションも演出することができるのが最大の武器と私は思う。こちらは私が今釣行で携行したシンキング系ミノー、一軍選手たち。
各社のシンキングミノーそれぞれに特徴がある。まずは実際に自分で使用してみて、自分の求めるミノーを探していけば良いだろう。
また写真を見て分かるように、私は全てのミノーに対して、純正のトレブルフックを自作のシングルフックに交換している。
この時季有効なアクションとしては、ボトムまで沈め、小刻みでゆっくりとしたリフト&フォール、もしくは細かいトゥウィッチなど。逆に完全なリアクション目的で大きくロッドをシャクってやる気の無い渓魚のスイッチを入れる方法も有効。いずれにしてもフォール中にバイトすることが多いので、フォール時は集中力を研ぎ澄ませよう。
使用したタックルを解説
「シルファー SYKSi-56L」は数年前から愛用しているが、これ1本あれば小本流以下の規模のシチュエーションを全てカバー出来る。
全体的に張りがあるスローテーパーは、ULクラスのロッドを使用する方には硬すぎる印象を与えるくらいだ。しかしシンキングミノーのキャストアキュラシー性能は抜群。キャストの方向のタイミングさえ掴んでしまえば、ミノーはロッドの反発力で勝手に飛んでいく。腕に無駄な力が入らないので非常にコントロールしやすいのだ。ロッド操作がダイレクトにミノーに伝わる為、前述したアクションを演じやすい利点もある。
リールに関しては、使用するロッドウェイトにあったバランスの良いウェイトで、ハイギア仕様、そして頑丈であればそれで良いと思う。
私はPEラインメインのアングラーだが、さすがに気温や水温が0℃付近のこの時期はPEラインを使用するとすぐにガイドが凍ってしまい、PEライン自体にも傷が付いてしまう。またバイトする力もまだまだ弱弱しい時期でもあるので、ナイロンラインの高伸度が繊細なバイトを弾かない長所となる。フォール中の分かりにくいバイトも弾かない。
他に、渓流におけるラインの重要要素として、第一に人から見た視認性、そして魚から見た視認性がある。つまり自分から見やすく、魚に見にくければ良し。私はその2つの要素を含んだ「トラウティストエリアL.E.ステルス」を使用している。
ちなみにPEラインを使用する場合は、バリバス社の「スーパートラウト アドバンス [ダブルクロスPE]」、もしくはサンライン社の「キャストアウェイPE」を使用。比重のあるPEを使用することで、流れの中でも自分の意のままにルアーをコントロールすることが出来る。
ネットは個人の好みで良いと思う。しかし美しい渓魚をすくうわけであるから、どうせならば写真映えする色や形に拘りたい。
解禁日はお祭り気分で楽しむ
前述したように、当日は岩手県気仙川水系へ入渓。最初のポイントで小さいながらもすぐチェイスが確認できたので、期待に胸を膨らませて釣り上る。まず先手を切ったのは同行した友人。
さらに友人が綺麗な模様のイワナをゲット。
流れのよどんだスリット、エグレの絡んだ岩盤脇をトレースし、私にも待望の1本目!!
最初のポイントで無事魚の姿を見ることができた為、その後はサイズUPと数UPを狙って移動。里川チックなポイントではあるが、解禁当初から毎年魚影の濃い川だ。そこで良いサイズを含むヤマメを4本。魚を釣り上げる度に感触が戻ってくるのが分かる。
このポイントで尺を優に超えるイワナをチェイスへ持ち込んだものの、フッキングには至らなかった。
ここで昼食タイム(笑)
解禁日は全ての行程において、お祭り気分で楽しむこと。これがとても楽しく、とても重要なことでもあると思う。渓流の解禁日とは言わず、釣り全般に言える事かもしれない(笑)
午後の部は岩盤が多く、毎年早春時期から飛行虫のハッチが多く見られる、釣果実績の高い渓へ。
おそらく前日までは飛行虫のハッチも行われていたのだろうが、この日は猛吹雪状態で真冬に戻ったかのような気象条件。いきなり冷え込んだことにより、思いのほか反応が渋い状況が続いた。
降りしきる雪は、サイトフィッシングを基本とする渓流の釣りでは大敵。バイトが繊細なこの時季だからこそ、目で見て魚を掛けるサイトフィッシングは必要不可欠。午後の部は悪転する天候により苦戦を強いられた。
極寒コンディションの渓での注意点
解禁当初の極寒コンディションでは、いくつか気を付けないといけない部分もある。
他にも、スプール中のラインや、リールまでも凍る時がある。フィールドコンディションは勿論のこと、各ツールにも細心の注意を図ろう。
◆記事に書けない裏話や質問への回答はweb版 無料メルマガ(毎月25日発行)で配信中!
ロックフィッシュ中心に岩手県内陸より三陸に通うルアーアングラー。出身は秋田市で、日本海側のターゲットも積極的に開拓中!バスやトラウトなども得意。サポートメーカー=ベイトブレス、バレーヒル。ブログ「東北ロック」http://pirania.naturum.ne.jp/
※取材・テキスト/森本 正善