釣行記

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来たるトラウトハイシーズンに向けて[東北渓流ルアー]

森本 正善 2021年2月22日 更新

東北各地でイワナ、ヤマメが好季。春~初夏の恵みも含めた渓流シーズンの楽しみ方を岩手在住の森本さんが紹介します。

2017年も5月に突入!

例年と同じく、4月中旬より東北は10℃以上の暖かい日が続き、冬に蓄積した山の雪はみるみる溶け始め、雪代(雪解けによる川の増水)が始まり山は緑に賑わい始める。

この雪代が落ち着き始める頃、いよいよ溪のトラウトはハイシーズンを迎える。解禁当初の生命感がない溪は一転し、虫はハッチ(羽化)し、それをメインベイトとする渓魚は積極的に活動を始める。

今回はハイシーズン直前の溪の状況と、準備すべきタックルや装備などについてご紹介させて頂きたい。

ハイシーズンの渓魚は体高があり、その引きも非常にパワフルだ
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その景色すべてが魅力的な、山間の渓流

私がこの「トラウト」という釣りが好きな理由は様々ある。

川の複雑な流れを読みながらアプローチしていくテクニックの楽しさと難しさ、目で見えるトラウトのバイトシーン、フッキング後も全く油断することの出来ない短くて長いファイト中の緊張感、季節ごとの様々な行動パターンの奥深さ。

すべての理由を挙げているとキリがないが、一番の理由は「人間の世界から離れた幻想的な渓相の中で、1尾1尾個性を持った鮮やかな色彩の魚と戯れることが出来るから」だろう。

普通に生活していたら絶対味わえない、トラウティストだけの特権だ。

緑深く、人工的なモノが一切ない渓相は、身体に溜まったアク(ストレスや悩み)を全て綺麗サッパリ洗い流してくれるような気がする
渓魚はルアーフィッシング対象魚の中でもその個体差が一番多いと思う。1尾1尾、いちいち目に止まる綺麗さがある

今現在、山間の溪は雪代が落ち着き始めている溪と、今が最高潮の溪に分かれる。夏場に渇水状態になるような水量の乏しい溪は雪代が落ち着き始め、釣りする上(魚の活性的に)ではベストの状態だ。

反対に、夏場でも水量の豊富な渓は今現在絶賛雪代中。おそらく落ち着くのは5月中旬頃になるだろう。

雪代が最高潮に出ている溪は釣りで入水する上で危険な為、今時期は普段の水量が少なめの小渓流が狙い目だ。活性の上がった数多くの渓魚が楽しませてくれる。

雪代が落ち着いた後の渓魚は筋肉質な身体つきになる。ファイトもパワフル
ハマれば同じポイントで大釣りも可能
雪代の落ち着き始めがハイシーズン突入の合図。山のミネラルをたっぷり含んだ雪代の後は、一気に溪の生命感が溢れる
内陸河川の溪で出た、完全陸封の大ヤマメ41cm
雪代が落ち着いた初夏の溪で出た、そして自らの誕生日に出逢えたメモリアルフィッシュだ

溪のトラウトハイシーズンへの流れ

低水温と渇水、ベイトの少なさから、解禁当初は主に淵の底や岩陰でジッとしていた大多数の渓魚は、雪代により流されてきた川虫を積極的に捕食する(これは流れの先で待ち構えているだけで良いので、渓魚にとっては捕食は容易)。こうして徐々に体力を蓄える。

川虫は気温の上昇と雪代による山のミネラルを栄養に続々とハッチを開始。そしてその川虫をまた渓魚が捕食する。こうして溪はハイシーズンを迎える。

川虫は渓魚のメインベイト。キモチワルイが、魚にとっては生命を繋ぐための重要な要素
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解禁初期に有効なJ&Mテクニック

民家の脇を流れる里川も魅力たっぷり

平坦な田園が連なる民家脇の里川もトラウトを楽しむ上で魅力沢山。里川は規模が小さく、流れが絞り込まれているポイントが多い。そんな場所で育った渓魚は流下してくるベイトを効率的に捕食しており、思わぬ大物が出ることも多い。

雪代が落ち着き始めた今時期が大物と出会える絶好のチャンス。秋口もそのチャンスがあるが、初夏以降は蜘蛛の巣や成長したボサにより里川自体を攻めることが難しくなる。

里川で出た35cmオーバーのイワナ。コンディションは抜群
こちらも里川で出た大イワナ。里川は意外と大イワナが出ることが多い。侮ることなかれ

鋭意テスト中!!【Valleyhill】Arcustream

現在、実践テストを重ねているトラウトロッド、「Arcustream(バレーヒル)」。私がメインとしている源流域、渓流域、小規模本流域に焦点を当てた計5種のラインナップ。スピニング3機種にベイトが2機種だ。

スピニングモデルはASS-50、ASS-56、ASS-66(いずれも2ピース) ベイトモデルはASC-38、ASC-44(いずれも3ピース)

今後、ハイシーズンの釣行と共にそれぞれのコンセプトをご紹介していきたい。

現在私の右腕となっているArcustream。来年の解禁前に発売出来るようテストを重ねている状況だ

適材適所のライン選び

トラウトはなんだかんだ言ってもナイロンラインがメイン。しかしフロロカーボン、PEという選択肢もある。かく言う私も、ハイシーズンにはPEをメインとするが、あくまでラインは適材適所。それがロッドであったり、フィールドであったり、ルアーアクションであったり、スピニングなのかベイトなのかであったりもする。

例えば、感度=PEであるが、強い流れがある渓流では本当にそうだろうか?

PEは軽いがゆえにラインが流れにより水中でフケやすく、トラウトにおいて決して感度が良いとは言えないかもしれない。それが横の釣りなのか縦の釣りなのかでもまた変わる。縦の釣りなら流れの影響を最も受けにくいフロロカーボンが最も感度と操作性が良い。しかしルアーを流れに馴染ませてドリフトさせるなら・・・?

考えるとそれぞれのラインに捨てがたい特徴がある。私自身も今現在、ナイロン、フロロカーボン、PE全てを適材適所で使い分けている。

自分自身の”やりたい釣り”に合わせて、適材適所のラインセレクトをしよう

ハイシーズンに向けて準備したい装備

これからのシーズン。まず気にしたいのが虫の存在。渓魚のベイトになるような虫は良いとして、嫌なのが目の前を飛び回る通称”メマトイ”。黒いものに反応するようで、目の前をブンブン飛び回るうっとうしい経験をしたことがある方も多いだろう。

そしてその中に紛れ込む小さいブヨや、夏場に現れるアブ。釣りに集中出来ない上に、刺されると痛いし痒い。

そんなうざったい虫たちに絶大な効果を発するのが、バレーヒルから出されている虫よけスプレー、「ANGLER’S SPLAY(アングラーズスプレー)

100%天然ハッカ成分で、虫除けに絶大な威力を発揮する。首筋や手、キャップのツバなどに吹きかけることで、本当に虫が寄り付かなくなる。私も初めて使用した際にはその威力に驚いた。ハッカ成分により、夏場にはクールダウンにも一役買ってくれる。最高なアイテムの1つだ。

私はかなり虫に刺されやすい体質(酒豪だから??)。今やこのアイテム無しでは生きていけない(笑)

そして一番怖いのは熊の存在。山間の溪は勿論、場合によっては民家のある里川にまで出没する。

しかし、もともと彼らの棲家を人間が開拓して住まわせて貰っているので、彼らが現れる事は当然のことと言っても良い。だからこそ、いざという時の対策は万全にしておきたい。

まずは熊にこちらの存在を気付かせる熊除け鈴の装備は絶対だ。人間の存在に先に気付いた熊はほぼ100%逃げてくれる。私も経験済みだ。

いきなり遭遇することが最も恐い。渓流ではラジオは川の音と同じような雑音に聞こえやすい為、音の通りやすい鈴や、火薬銃(爆竹音が出るおもちゃの銃)などが効果的だろう。

音の出る装備は携帯必須。海釣りでのライフジャケットと同じように必須装備だ
安全の為にさらなる装備を揃えるなら、熊撃退スプレーもオススメだ。値段は高めだが安全には代えられない
どんな釣りも常に危険と隣り合わせ。万全の装備で最高の趣味を楽しもう

この時期特有のお楽しみ

春は山の恵みも沢山。釣りだけじゃなく、少し目線をズラしてそのすべてを楽しもう!!

山菜の王様といえばタラの芽!! 私が最も好きな山菜の1つだ。天麩羅が最高!!
コシアブラも天麩羅に最適
湯がいておひたしにもGood
溪で良く見かけるコゴミも天麩羅との愛称抜群
マヨネーズ和えも良いよね
山間に咲く一輪の花も逞しく綺麗
山桜もこの時期特有の一景
カナヘビを捕まえて遊んだり・・・
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PROFILE:森本 正善

ロックフィッシュ中心に岩手県内陸より三陸に通うルアーアングラー。出身は秋田市で、日本海側のターゲットも積極的に開拓中!バスやトラウトなども得意。サポートメーカー=ベイトブレス、バレーヒル。ブログ「東北ロック」http://pirania.naturum.ne.jp/

 

※取材・テキスト/森本 正善

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