釣行記

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三浦明の船宿でしか聞けない話☆第5回 志津川湾の活きエサ五目

三浦 明 2022年2月10日 更新

三浦明の船宿でしか聞けない話
シリーズ第5回 志津川湾の活きエサ五目

~直結仕掛けを生んだ南三陸の名物船長に、船上や帰港後の座談会で常連さんたちに教えている内容を語っていただきました!~

※この記事は釣り河北プレミアムメールマガジンの連載企画で2013年8月に配信されたものです。

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第5回 志津川湾の活きエサ五目

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―まず、活きエサ五目のシーズンについて教えてください。
シーズンの始まる時季はエサのイワシ次第なのですが、早いときは5月末から始めたときもありますね。今年の水温は6月の前半で10.5℃。7月に入ってようやく表層が18.5℃になりましたが、底と表層で5~7℃くらいは違っています。7月からだんだん水温が上がっていき、だいたい、お盆過ぎ頃には表層から底層まで一緒の水温になると思います。大型魚礁のマガレイが例年、9月頃から食いが悪くなるのは、表層と底の水が混じって水温が高くなるため。仙台湾はマガレイの分布の南限に近く、北の魚だから夏の高水温は苦手なんですね。

―エサのイワシについて教えてください。
今年は仙台湾も志津川も宮城沖全体にコオナゴ(イカナゴ)が多かったんです。実は活きイワシの網漁が遅れたのもコオナゴが原因で、奴ら、イワシの網に入ると細いから全部イワシの網に刺さってしまうんですね。一回目の網入れでコオナゴが多すぎて、それからしばらく様子を見ていたんです。コオナゴが網の目の小さいところに詰まるとそれで網が上がらなくなりますし、脂が多いので巻き揚げ機械がヌルヌルになって大変なんですよ。コオナゴはこれから夏場にかけて砂に潜って夏眠の季節に入り、12月頃になるとまた出てきますよ。

活きエサのイワシですが、コオナゴが少なくなった6月末から、ようやく手に入るようになりました。イワシはカツオ船に調達するためのイワシ定置網から分けてもらっています。(志津川湾の)青島近くの20mちょっとのところに設置していて、今年はカタクチイワシが獲れています。去年はマイワシが結構いたんですが、マイワシは丈夫でいいんですよ。マイワシでも12~13cmくらいの中葉クラスだと、孫バリもいらないし、長持ちする最高のサイズです。

―イワシの種類やサイズによる使い分けを教えてください。
うちの五目釣りはエサの使い放題にこだわっています。おそらく他だと20匹限定だったりとか、大きいエサだと孫バリもつけないといけなかったりと大変でしょう。エサも使い放題だし、2本バリも使えるので、お客さんも安心して楽しめるんじゃないかと思います。

今頃のカタクチは11~12cmくらいのちょうどいいサイズですね。よく5月頃に網に入るやつで、産卵に集まったカタクチの15cmくらいの大型が入るんだけど、あいつはちょっと弱りやすいんです。その点、マイワシはなかなか死なないから。おそらく今年も8月頃から徐々に入るんじゃないかと思います。

最近、マイワシがだんだん多くなってきましたね。イワシの数にも周期があって、カタクチが多くなったり、マイワシが多くなったりするんですよね。最近はマイワシが入るようになったから、11月あたりまで長く楽しめるようになったんですよ。これがもしもカタクチイワシだけだったら、お盆過ぎには小さいエサばっかりになってしまって、とても五目釣りを続けられませんから。

―仕掛けは2本バリまで。
ヒラメ用の仕掛けは枝の部分にトリプルサルカンを使うか、ローリングサルカンを使うかというくらいで、大体の間隔とか長さ的には、どこで作っている仕掛けも大きな変わりはありません。うちのオリジナル仕掛けは2段仕掛けですが、これをもとにして作った市販仕掛けも結構あるみたいですよ。

―活きエサ五目の釣り方のコツを教えてください。
船長さんの「落としていいよ」のタイミングを見計らって、とにかく人より早く落とすことが第一ですね。(2段仕掛けの場合)エサの1匹は予め付けておいて、エサを弱らせないように2匹目をさっと付けて、合図に合わせてすぐ落とすのがいちばんの釣るコツじゃないですか。大体半分くらいは落としたときにすぐに来ますから。

あともう一つのコツは、流している最中は、弱ったエサをいつまでも付けておくのではなく、早めに交換することでしょうね。だからエサは使い放題にしています。使う人はかなりエサを使うし、やっぱりそういう人は釣りますよ。いちばんよくないのは、流し始めてから10分、15分とぜんぜん交換しない人で、これだとなかなか釣れません。「エサがいるんだから食うべ」ではなく「なんとか釣ってやりましょ」という考えじゃないとダメですね。

―志津川周辺では根周りのポイントも多いと思うのですが。
根の周りではタナ取りをこまめにすることですね。絶えず底を取ってもらって、オモリを常に底から30cmくらい離すようにします。高低差5~7mくらいのところが結構あるし、漁礁だって8mくらいのところがありますから、常に下には着けないこと。それをみんな同じようにやってもらえるといいんですが、一人はベタ底、一人は宙層となると、一番のオマツリの原因になります。速く流れることもあるから、根掛かりのほとんど無い砂地ならともかく、置き竿にはしないで20秒間隔で底を取った方がいですね。

―アワセのタイミングは?
早めのアワセはだめですが、本アタリを待って、グッと竿が大きく曲がるアタリがあったらサッと合わせるくらいの感覚でいいですね。大体が向こうアワセの釣りですから。エサが大きかったりするとカツカツとアタリがあるからって、いちいち反応していたらダメですね。大きなヒラメだとわりかし一発で食うことも多いんだけど、大多数の40cmくらいのレギュラーサイズは食うのに時間がかかりますからね。

―孫バリをつけるとハリ掛かりしやすくなる?
うちでは孫バリは基本的には使っていませんが、魚がくわえる場所によっては、孫バリを付けた方が掛かりがいいことがあるので、孫バリを付けるのもいいと思います。ただ、カタクチイワシがちょっと小さめだと、イワシが弱って動きが鈍りますね。これは孫バリが重するためなので、そんなようだったら孫バリはやめた方がいいでしょう。

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[三浦屋特製 ヒラメ仕掛け2本鈎]

活きエサ泳がせで使っている三浦屋特製ヒラメ仕掛け。ヒラメが出荷規制になっている間は五目で使用。2本バリの2組入りで600円と比較的リーズナブルなのも嬉しい。三浦屋ではオモリは50号に統一している
特製仕掛けは上バリのエダスが55cm、下バリが70cmの2段式。枝間130cm、捨て糸40cm。下バリは捨て糸より下まで落ちるので、オモリは底から少し浮かせるくらいが基本
枝部分はローリングサルカンをビーズで挟んだシンプルな形状を採用

※「つり具販売」コーナーあり。

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PROFILE:三浦 明

南三陸町志津川湾・戸倉漁港の三浦屋船長。独自のカレイ釣り理論を持ち、長年にわたり東北カレイ界をけん引してきた。三陸の船長業のかたわら、仙台湾のマガレイ釣りにも積極的に通い込み、マコガレイ、マガレイの両面からカレイ釣りを探究してきた。考案した「直結仕掛け」は東北のカレイファンなら知らない人がいないほど有名。

 

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