知っておきたい!釣りに役立つ目の話[第3回]渓流・鮎釣りの偏光サングラス選び
岩手県花巻市のメガネのおくやま・奥山剛さんが釣りと偏光サングラスの関係や目についてのイロイロを語ります。
[連載]知っておきたい!釣りに役立つ目の話
今回は、様々なフィッシングシーンのなかから渓流・鮎釣りのシーンでどのような偏光サングラスカラーが有効かを紹介したいと思います。
まず、偏光レンズを選ぶ前にカラーをグループ分けすると考えやすいと思います。
[グループ分け1]カラーの色味で分ける
グレー系、ブラウン系、コパー系、グリーン系、ブルー系など
[グループ分け2]レンズの濃度で分ける
薄いカラー(晴天、曇天、雨天用)、濃いカラー(晴天、快晴用)、中間カラー(全天候用)など
このグループ分けによって、自分のフィッシングスタイルに合ったレンズカラーが探しやすくなると思います。
渓流釣りで偏光サングラスに必要な要素
渓流釣りのフィールドは木が川を覆う様なシーンが多いと思いますが、そのような状況では晴天であってもレンズに遮光性を求める必要はあまりないと思います。木の影で実際の光量は少ないからです。そうすると、先程のレンズの濃度によるグループ分けで、濃いカラーはあまりマッチしないと思われます。
また、渓流釣りは水量もあまり多くなく川底の地形が見える状況です。偏光サングラスによってその川底の地形が見やすくなることで魚がいそうかどうかをキャストする前に把握できると思います。
その『魚がいそうかどうか』は川底の地形で判断する場合もあると思いますが、このような場合は、ブラウン系、コパー系、グリーン系などコントラスト性能がある色味が有効です。
注意して頂きたい点は、コントラスト性能が高い=自然な色味から遠ざかる、という点です。つまり、景色の色味が不自然で何となく違和感を感じる場合もあります。後でも述べますが、人それぞれで見やすい、楽に見えると感じるカラーは違いますので可能な限り、お試し頂いてからレンズカラーは決定したほうがいいです。
鮎釣りで偏光サングラスに必要な要素
鮎釣りのフィールドは渓流よりは開けた場所のため、晴天、快晴の日はレンズに遮光性を求める必要もあります。しかし、釣りの日が必ず晴れとは限りません。そのため鮎釣りは天候に応じてレンズカラーを使い分けることをおすすめします。
晴天、快晴用で注意して頂きたい点は鮎釣りに行く目的は『鮎を釣ること』であり、『眩しさを抑えること』ではありません。
濃いカラー、具体的に言うと可視光線透過率が20%未満のカラーは、見たい対象物も暗くなってしまう可能性があります。そのため、快晴用といっても濃すぎるカラーは鮎釣りでも必要性は低いかもしれません。可視光線透過率が25%〜35%くらいのレンズ濃度であれば遮光性もありますのでとりあえず偏光サングラス一本で鮎釣りをしたいという方はこのくらいの濃度がおすすめです。
鮎釣りでおすすめの色味はこれだということは言い切れず、使用者の好み、河川の地形、水量、流れの速さなどでいろいろな選択肢があると思います。
長時間釣りをする場合は、景色の色味の変化の少ないグレー系、自然な見え方でコントラスト性能も多少あるグリーン系がいいかもしれません。
比較的浅瀬の箇所であれば、だいたいのカラーで川底の地形を確認できますが、少し深い箇所の地形や岩の位置などを確認したい場合はブラウン、オレンジ系が少しの変化を察知しやすいカラーとなります。
偏光レンズのサンプルを持参して体験会を実施させて頂く機会がありますが、その時に、釣りのレンズカラー選びでインターネットではあまり触れられないカラーをお選び頂く方がいらっしゃいます。私の意見を申しますと、これでいいんです。使用者が実際レンズカラーを試してみてこのカラーが良さそうだというカラーをお選び頂いたほうが良いんです。そのような方は、おおよそ自分の釣りのスタイルを把握していて、場所、天候、時間帯などイメージできている方です。ネットにこのカラーが良いなどいろいろな情報が出ていますが、あくまでも一般論やその発信者の主観論の場合もあります。
私のこのコラムも一般論であり、そうではない選び方をしたほうがマッチする方もいらっしゃるでしょう。百聞は一見にしかずで、なるべくミスマッチにならないようにご自身で実際にお試し頂いてから偏光サングラスを選ぶことをおすすめします。
以下は釣りTiki東北サポートアングラー森本正善さんの、アーツ・スプルースグリーンのインプレをご紹介します。
森本正善さん「スプルースグリーン」(アーツ)インプレ
偏光サングラスをセレクトする際、大きなファクターとなるのは”天候”です。当然、天候は日々変わり、その日のうちにも目まぐるしく変わることもあるため、全ての天候で使用できるオールマイティーなカラーがあれば非常に便利になります。
スプルースグリーンはそんな便利なカラーです。光の透過度合いが抑えられている為、光量の少ない時間帯や天候に適していますが、偏光度は99%に設定されており、晴天時にも問題なく使用出来ます。
ナチュラルな視界を残しつつも、光の反射を抑えて水中の変化を際立たせてくれるため、様々なシチュエーションに適しています。
まず1本、と考えているアングラーにオススメしたいレンズカラーになります。
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岩手県花巻市出身1982年生まれ
日本眼鏡技術者協会SS級認定眼鏡士
釣りやアウトドアシーンでのオーダーメイド偏光サングラスの相談も多く対応している。自身で組み立てする偏光サングラスの製作本数は年間300本以上
メガネハウスおくやまのFacebookにて『メガネ選びの参考に』というタイトルで目とメガネに関する情報も投稿していますので、そちらも参考にしてみてはいかがでしょうか。
※写真・テキスト/奥山剛