[連載]常笑upcoming fishing!☆第10回 船釣りの釣り座と釣り方の関係~前編~
連載:針生秀一さん 第10回 船釣りの釣り座と釣り方の関係~前編~
※この記事は2014年3月にプレミアムメルマガで配信したものです。
船釣りで釣り座をどこに取るかは釣りを楽しむうえで大きなところです。乗り合い船なら席取り、仕立てでも席の抽選は大事ですね。
・今日の潮先の席で釣果が第一
・揺れが少なく楽しめる胴の間
・トイレに近いところ
・寒い冬は日が当たる側、夏は日陰側
・基本的にミヨシ好き
・オレは大ドモが一番
・やっぱりオマツリ少ない四隅で
・コマセ釣りなら一番コマセが効くところ
・船長と話せる操舵席のわきで
など、それぞれの好みがあります。それも釣り物や季節、当日の海況、船長の流し方、乗り合う客層まで、長くやっていると、いろいろな計算をして、その日の釣り座を考えますよね。
釣果を出すのにアドバンテージがある「潮先」といわれる席。これは船で最初にポイントに入っていく側の席です。潮流し、立て釣りといわれるのは、ポイントを定めて風に船首を向けて帆に風を受け、潮と風速を計算して船を立てていく流し方です。ポイントの潮上から風を計算に入れて潮に乗せて入っていく。魚は潮の方向に向いてエサを求めているので、船の流れていく側、潮先の仕掛けに真っ先に注目するわけです。さて今日、自分の座った席はどうなのか?
釣っていて船下に道糸が入っていく場合、つまり自分の席側の方向に船を流しているので、これが右舷左舷で大別される潮先です。
それで道糸がトモ方向に出て行けば、前からポイントに入っていっている。ここから風と潮の流れを計算して、トモ方向に少し戻しながら船全体をポイントに入れて立てます。魚礁などのメバル釣りで、大きなポイントであればこんな感じ。
これで潮先側のミヨシから胴の間あたりにアドバンテージが与えられ、合図に遅れず投入してキッチリと手早くタナを合わせていれば、最初にアタリが出る確率が高くなります。
そんなメバル釣りで例えてみます。
自分より潮先のほうに続々とアタリが出ているが、どうも自分は潮後のようでアタリがなかなか出ない。こんなときは前にも記しましたが、思い切ってタナを上げて待ってみましょう。
最初にアタリが出た釣り人は腕がよく、順調に追い食いさせて巻き上げはじめた。こんなときのメバルは、釣られて上がっていくメバルとともに、上にエサを追って浮いてくるので、ここが絶好のチャンス!ウネリの上下を竿の操作でかわして仕掛けを安定させ、上で待ち受けます。
こんなメバルは食い気があるので、上で見つけた仕掛けにガツンと食いついてくる確率が高い。特に上に浮いてくるのは大型が多いので、大型の満貫が狙えます。こんなときのタナは仕掛け全長の2つ上くらい。3mプラス3mで底から6mあたりからが目安です。
真っ先に当たった釣り人が慣れていないようで、即にガリガリと巻き上げはじめた。こんなときは、メバルが追いきれずに反転して、群れが下に散り気味になることが想定されます。こんなときも潮後のチャンス。
メバルに警戒されていると思われるので、一旦タナを上げてメバルの視界から仕掛けを消し、上からサミングを入れながら落とし込み、反射食いを誘ってみましょう。これに反応して掛かってくれば作戦成功です。他の釣り人と協調して追い食いさせて釣れば、メバルの群れは散らずに釣れ続くでしょう。
三陸や仙台湾のヒラメ釣りでは、ピンポイントを狙うように船を立てる潮流しで釣っています。こんなときは、潮先、後問わず、まず手早く底に仕掛けを送り込むこと。着底して即アタリが多いことから、これが釣果に繋がる大事なことなのです。
ここからポイントに擦り寄るように流していきます。マメな底の取り直しをすることで仕掛けが新しいところに入り、イワシが刺激されて泳ぎ、アピールする良い誘いになります。特に自分の側に流してくるときは絶好のチャンス。こんなときは高めに仕掛けを上げてイワシをアピール、船の流しを計算して落としこんでみましょう。
風、潮の具合によって船長はコントロールして船を流し立てます。これが微妙に違う流し方の個性で、これを掴めるようになると、風向きなどを考えて、その日、その船の有利になる席が予想できます。潮後になる席でも、条件、流し方を考えて作戦を立てれば、それをアドバンテージに変えられますよ。
※今回は2週連続!後編では色々な釣り物を例に釣り座と釣り方の関係について解説していきます。
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※取材テキスト・写真提供/針生秀一